愛する剣
第1章 部活動
県下でも特に荒れた中学校にその少年はいた
少年の名前は、寛吉
「くそ はなこ」と甲高い声が聞こえてくる
はなことは、担任の木下華代先生
授業を邪魔するかのように
「早く やめろ」と
次から次妨害する言葉を放った
何度校長室に呼ばれてもそれは変わらなかった
当時は(昭和初期)、今のように世間が
騒ぐ時代ではなかったので
悪ガキには、やりたい放題でした
一年生のか弱そうな生徒を見つけては
自分の学帽を渡し、「この中にいくらか持って来い」
放課後は、カツアゲの毎日でした
そんな寛吉が唯一真面目に取り組んでいたのが
部活動でした
その部活動とは、剣道でした
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