(□□side)
朝も晩も、毎日隆二に抱かれてる。
前と同じ生活に戻ったみたい。
隆二に抱いてもらえると、安心するの…。
隆二に注いでもらうと、希望の光がさしこんでくるみたいで。
……でも。
また赤ちゃんが欲しいとか…
そういう具体的な話は、一切出来なかった。
出来なかったけど、あたしが中で出してってせがんだら、必ず応えてくれるから…
隆二もわかってくれてるんだと思う。
……お腹の中の命が消えてしまった、あの日…。
身も心も、引き裂かれそうなくらい、ショックだった……。
□「…っ、ひっく…っ、ひっく、…っ、ふぇぇぇぇんっ!」
臣「□□…!」
□「やだ…!やだよ…!臣…っ、臣ぃぃっ!」
臣「□□…っ」
□「うわぁぁぁぁん…っ!」
ただひたすら、泣き叫ぶしか出来なくて…
そんなあたしを、臣はずっときつく、抱きしめてくれていた。
□「どうして…!?どうして死んじゃったの…?!」
臣「…っ」
□「嘘だって言ってよ!臣っ!臣…っ!」
臣「□□…、っ」
□「いやだっ、いやだっ!いやぁぁぁぁっっ!!」
臣「…っ」
信じたくなくて…
現実を受け止めきれなくて…
臣「□□…、っ」
□「…っ」
気付けば、あたしを抱きしめてくれてる臣の腕も震えていて…
ゆっくり顔を上げたら、臣の目からも、涙がこぼれていた。
□「お…み…っ」
臣「…っ」
一緒に…泣いてくれるの…?
□「あたしと…臣の赤ちゃん…いなくなっちゃったよ…。」
臣「…うん…。」
二人とも、涙が止まらなくて…
あたし達は今、同じ哀しみを分かち合ってる。
そう思った…。
臣「□□と俺の赤ちゃんって、…言ってくれんの…?」
□「え…?」
……ほんとだ、あたし…、今…、、
臣「俺の子供だって…わかってたけど…、隆二は全然取り合ってくれなかったから…、お前がそう言ってくれるだけで…嬉しい。」
□「…っ」
臣「……産んで欲しかったよ、俺たちの子供…。」
□「うん…、ごめん…ね…っ」
臣「□□はなんも悪くない。」
□「臣…、っ」
臣「でもなんで…、なんでいなくなっちゃったんだろうな…、っ」
□「うん…、っ、…うん…っ」
あたし達は二人でぽろぽろと泣き続けて…
ひたすら強く、抱きしめ合っていた。
まるでこの世界に、あたし達二人しかいないみたいに感じられて…
どうしようもない孤独と哀しみを、たった二人で分かち合ってるみたいだった。
ひとしきり泣いて…
涙が枯れるくらい泣いて、叫んだせいだろうか。
その日の夜、隆二が帰ってきた時には…
心はもう、落ち着いていた。
臣にぶつけたみたいな感情は、もうなくて…
ただ静かに、涙がこぼれるだけだった。
「とりあえず明日からは少しゆっくり休んで…。気持ちも身体も、休めよう?」
隆二はそう言ってくれたけど、あたしは結局一日休んだだけで、すぐに仕事に戻った。
家に一人でいたら、ずっと塞ぎ込んでしまいそうだったから…。
哀しみに押し潰されてしまいそうだったから。
だから、一人でいるより、臣と一緒にいたかった。
臣は仕事の合間に、必ず毎日、あたしを抱きしめてくれる。
□「…臣…、」
臣「ん…。」
□「もう赤ちゃん…いないんだよ…?」
臣「うん。だから今は、お前にパワー注いでる。」
□「ふふ、優しいね…、ありがとう。」
慰めてくれてる、というよりは…
辛い気持ちをやっぱり分け合っているみたいな感覚で…。
臣にぎゅってしてもらうと、心が少し、安らぐの…。
□「赤ちゃん…今頃どうしてるかな…。」
臣「泣き虫なお母さんのこと心配して、空から毎日見てるよ、きっと。」
□「ふふ、じゃああたし、泣けないじゃない。」
臣「そうだよ。……でも、我慢はしなくていい。泣きたかったら、泣いていいよ。俺がいるから。」
□「…っ」
どうしてそんな風に言ってくれるの…?
優しすぎるよ…。
□「もう少しだけ…ぎゅって…してて?」
臣「いいよ、いくらでも。」
どうしてなのかな…。
こんな風に、赤ちゃんの話は…臣としか出来ない。
死んじゃった赤ちゃんの本当の父親は、臣だから…?
でもそんなの、ひどいよね…?
隆二は臣の子供だってわかった上で、父親になるって言ってくれたのに…
あたしは心の底ではやっぱり、臣が父親だって思ってたってこと…?
違う。
そうじゃない。
そうじゃないけど…、、自分でもよくわからない。
□「りゅぅ、りゅぅ、…だいすき…っ///」
隆「俺もだよ、///」
□「んっ、…あ…っ、あぁ…っ!///」
隆「…ッく///」
隆二を好きな気持ちには、何も変わりない。
今でも隆二が好き。愛してる。
だから朝も夜も、毎日のように、こんな風に抱き合ってる。
□「りゅぅ、りゅぅ、っ、…もっと…して…っ///」
熱い身体は、一つになって、何度果てても、また昇る…。
□「りゅぅっ…!愛してる…!」
隆「俺も愛してるよ、」
□「きて…、っ、…いっぱい…出して…っ!///」
隆「…ッ、…く!///」
□「中に出してぇっ…///」
ビュクビュクビュク…ッ!!
びくびくんっ!!
.
.
.
岩「最近どうなの?」
□「え?」
岩「隆二さんとは。上手くやってる?」
□「うん、ラブラブだよ、へへへ///」
岩「そっかw」
恋人同士に戻ったみたいな感じで、あたし達は毎日愛し合ってる。
岩「…子作りも再開してんの?」
□「えっと…、子作りするぞー!って言葉にしてるわけじゃないけど…、毎回中で出してくれてるよ///」
岩「じゃあそういうことじゃんね。」
□「うん///」
岩「また授かれるといいね。」
岩ちゃんは優しく笑ってくれた。
岩「来週から隆二さんいないでしょ?」
□「あ、うん!」
ソロの仕事で地方に行くって言ってた。
あたしも臣の仕事で地方に行くから、入れ違いで二週間くらい会えないんだよね。
岩「寂しかったらいつでも呼んでね、俺のこと♡」
□「え?」
岩「酒の相手でも、エッチの相手でもw」
□「はぁ!?もう!何言ってんの!」
岩ちゃんはすぐふざけたこと言うんだから。
でもあの哀しかった出来事から、あっという間に時は過ぎて…
季節はもう、夏になろうとしていた。
臣と隆二のソロツアーももうすぐ始まる。
……本当だったら今頃、安定期に入って、両家に挨拶してたはずなのにな…。
とか、たまに考えちゃうけど…
いつまでも泣いてたって、ダメだから。
ちゃんと前を向いて、歩かなきゃ…。
臣「□□…?」
□「…っ」
臣がふと、あたしを抱きしめてくれた。
□「なぁに…?」
臣「なんか…泣きそうな顔してたから。」
□「…っ」
どうしてわかっちゃうのかな…。
□「泣かないよ。だって赤ちゃんが空の上から見てるんでしょ…?」
臣「ん、そうだな。」
臣は優しく笑って、あたしのほっぺを撫でてくれた。
□「臣が毎日こんな風に、ぎゅってしてくれるから…。ありがとう…。」
臣「……これは、うん…。俺も…、だから…。」
□「え…?」
臣「なんでもない…。」
臣は今度は少し困ったように笑って…、あたしのほっぺをむにっと摘んだ。
臣「ちょっと上にこもるから、終わったら連絡する。」
□「うん、今日は缶詰だもんね。頑張ってね。」
臣「ん。」
あたしはエレベーターに乗った臣を見送って、自分のデスクに戻った。
しばらく事務仕事を片付けて、午後の会議の準備をしようと廊下に出たら…
マ「あ、□□さん…!」
□「!!!」
ここにいるはずのない人が目の前にいて、驚いてしまった。
□「えっと…、また…取材ですか?」
マ「そうなんです、月刊誌の。」
□「お疲れさまです…。」
マリアさんは最近また国内で勢力的に活動してて…
メディアでもよく見かけるようになった。
マ「□□さん、まだ隆二くんと付き合ってるんですね…。」
□「え…?」
マリアさんが小さな声で耳打ちしてきた。
マ「やっぱり□□さんが好きなのは、隆二くんなんですか…?」
□「…っ」
前にもここで会った時に、聞かれたよね…。
マリアさんから送られてきた動画のこととか…、
臣がびしょ濡れで泣いてたとか…、
臣は今でもあたしのことが好きだとか…、
あの時、わけのわからないことをたくさん言われて、あたしはもうパニックになって…
この人の前から逃げ出したんだ。
それからしばらく、頭の中が混乱してて…心の中もぐちゃぐちゃになったけど…
その後にすぐ妊娠がわかったから、もう考えないようにしてた。
……なのにどうして今、また会ってしまうの…?
マ「今、臣が何してるか、聞きたいですか…?」
□「え…?」
黙っていたあたしに、マリアさんが意味ありげに微笑んだ。
マ「臣ね、毎日□□さんの名前を呼びながら、私を抱いてくれてるんです。」
□「…っ」
どういう…こと…?
マ「毎晩、私に、注いでくれる。」
□「…っ」
マ「私は臣の子供が欲しいから。すごく嬉しいの。幸せ…。」
□「…っ」
何を…言ってるの…?
マ「勘違いしないでね。付き合ってるわけじゃないです。だって臣が好きなのは、あなただから。」
□「…っ」
マ「でも私は今でも臣が好き。愛してる。だから臣の子供が欲しいの。」
□「…っ」
マリアさんの言ってることがめちゃくちゃすぎて、頭に入ってこない…。
マ「それにね、臣、やっと…女遊びをやめてくれたんです。」
□「……え…?」
マ「今は私のことしか抱けないって、私だけなの…。」
□「…っ」
マリアさんは恍惚とした表情を浮かべてる。
マ「臣の子供を授かれたら、仕事も全部辞めるつもりです。女の幸せを全うしたいから。」
□「…っ」
マ「それじゃ、また。」
マリアさんは笑顔のまま、あたしの前から去っていった…。
なに…?
なんなの…?
どういうこと…?
胸の中に、真っ黒な感情が広がっていく。
マリアさんが臣の子供を妊娠したら、すごく嫌だって思ってしまうのは、どうして…?
だってあたしは、臣との子供を失ってしまったのに…。
マリアさんは、今からそれを、手に入れようとしてるの…?
嫌だ…!
絶対に嫌だ…!
どうして…?
あたしの名前を呼びながらって、何…?
どうしてあたしの名前を呼びながらマリアさんを抱いてるの…?
もうわけがわかんないよ…っ
……コンコン。
臣「ああ、□□。」
□「ごめんね、定時になったから帰る。」
臣「そっか、」
ちょうど休憩中だったみたいで、レコーディングルームには臣しかいなかった。
臣「どうした?大丈夫か?」
□「え…?」
臣「顔色、良くないから。」
□「…っ」
臣はまたあたしをふわりと抱きしめてくれた。
「臣、やっと…女遊びをやめてくれたんです。今は私のことしか抱けないって、私だけなの…。」
マリアさんの言葉が、頭の中でぐるぐるしてる。
□「離し…て…。」
臣「え…?」
こんな風に、マリアさんにも優しくしてるの…?
マリアさんのことも抱きしめてるの…?
臣「□□…?」
□「…っ」
どうして?
そんなこと、わかってたことなのに…
どうして今更、こんな気持ちになるの…?
□「ごめん、帰るね…。」
臣「□□…!」
あたしは部屋を飛び出して、急いでエレベーターに乗り込んだ。
もう何も考えたくない。
嫌だ。
.
.
.
□「はぁっ、はぁっ、りゅぅぅ…っ///」
隆「□□、どうしたの?今日すげぇ激しい///」
□「もっと、もっとなの…っ///」
隆「わかったから///」
その日は、朝まで何度も、隆二を求めてしまった。
隆「□□、可愛い…、ほんとに///」
□「りゅぅ…///」
隆「愛してるよ///」
□「あたしも、愛してる///」
隆二に愛されてると、すごく安心する。
ずっとこの腕の中に、いたくなる。
そうだよね…。
ここがあたしの帰る場所だよ。
臣の腕じゃない。
隆二だもん。
……それからあっという間に一週間が経って。
隆二がいなくなる日がやってきてしまった。
隆「明日から二週間も会えないのか…。」
□「うん…。」
隆「さすがに寂しいな…。」
□「寂しすぎるよ…、泣きそうだもん…。」
隆「……かわい…///」
隆二は困ったように笑って、あたしにキスをくれた。
□「寂しいから、今日はいっぱい抱いてね?///」
隆「今日に限らず、□□がいっぱい抱いて欲しいのはいつものことだろw」
□「そうだけど!///」
隆「ほんとに俺のこと大好きなんだからw」
□「そうだよ、大好きだよ///」
離れたくない。
ずっとそばにいてほしい。
□「りゅぅについていきたい///」
隆「そしたら臣が困るだろw」
□「…っ」
臣の名前なんて、今は聞きたくない。
隆「わっ、□□…!///」
……ちぅっ、…ちゅ、ちゅ、…ぺろ…っ、れろぉ…っ
隆「ちょ、待っ…、んん…っ///」
あたしはあっという間に隆二を襲って、隆二の上に跨った。
□「…挿れて…い…?///」
隆「□□、エロすぎ、///」
□「…きら…い…?」
隆「……すげぇ好き、///」
そう言ってくれた隆二は、あたしの腰をグイッと掴んできて…
ぐちゅぷぅぅっ!!
□「あぁんっ!やぁっ、深い…っ!///」
奥の奥まで隆二を感じて、強い快感に思わず身震いしてしまった。
隆「やじゃないでしょ…?こんなにぎゅーぎゅーしてんだから。」
□「あっ、あっ、だめぇっ!///」
隆「ほら、悦んでるよ…?」
□「やっ…、気持ちぃっ!あぁんっ!///」
ズプッ!ぐちゅっ!ずちゅぅっ!
□「やぁっ、おっきぃ!すごい…っ!///」
隆「気持ちぃ?」
□「すっごい気持ちぃよぉっ、もっ、だめぇっ///」
隆「じゃあもっとしてあげるね。」
□「!!!」
隆二の容赦ないピストンに、あたしはあっという間に果ててしまって…。
でも少し休めば、また欲しくなって。
いつもその、繰り返し。
何度だって飽きもせずに、一つになる。
隆「……ん、おはよ…。」
□「ふふ、おはよ///」
隆「…っ、ん…っ、□□…?///」
□「はぁっ、あっ、…んんっ!///」
夜が明けて、朝になったって、そう。
隆「はぁ、やべ…、ほんと気持ちぃ///」
□「うん、もう離れたくないよ…///」
隆「ずっと繋がってよっか///」
□「うん///」
あたし達は時間が許す限り、ギリギリまで身体を繋いでいた。
でも最後は、隆二がたっぷりとあたしの中に、注いでくれたの…。
隆「□□…、浮気すんなよ…?」
□「えへ、なぁにそれ、するわけないでしょっw」
隆「だって二週間も会えないからさ。」
□「りゅぅだって!浮気したらやだよっ?」
隆「するわけねぇだろ。俺の辞書に浮気なんてねぇっつーのw」
□「あははは♡」
そうだよね。
隆二がそんなこと、するわけない。
あたしだって同じだよ。
こんなにこんなに、隆二のことが大好きなんだから。
□「りゅぅ、愛してる///」
隆「俺も愛してるよ。」
□「行ってらっしゃい。」
隆「行ってきます。」
最後に少し長めの、甘い甘いキスをして…
あたし達は、別れた。
……この後に、運命の歯車が狂い出すことなんて、何も知らずに…。