少年との遭遇と妄想癖
第1章 1章 通勤電車の中で
私は いつから 男のペニスを 口に含み
放出される スペルマを 呑み込んでしまうことにも
平気に なったんだっけ?
10年くらい前 30代前半の
一番 仕事を バリバリとこなしていた頃だった
私が 独りの男を
いや 男の子かな
電車の中での 痴漢行為を 見逃さずに
公安に 突き出してやったことがあった
私の 尻をまさぐっていた 手首を掴み
「いま 何をしていたの?
次の駅で降りて 警察で 話しましょう」
凛とした 声で 周囲にも宣言した
そのとき 初めて 顔を正視した
おどおどして 目をそらす 若い男の表情
夜遅く 混雑はしていたけれど
周りに 私と男を見比べて
中には 薄ら笑いさえ浮かべても
何も言おうともしない 人々
私だって 誰の援助も期待なんかしていない
どうせ 事勿れ主義 疲れた男たちの群れよ
独りで 掴んだ腕を離さず 停まった駅に引きずり
そのまま 駅務員に突き出し
公安を 呼んでもらう
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