日本をナナメに見る
第25章 それは悪夢なのか?望まぬ円安
もう疑う余地はないのかもしれない。
伸びない個人消費に、進まぬ設備投資…おまけにさえない株式市場。
すでに景気は後退期に入ったとしか思えない動きだ。
だがこの状況自体をあまり悲観的になる必要はないのかもしれない。
なぜなら景気は循環するものであり、どんなに優れた政策を続けても後退局面に入ることは避けられないからだ。
人間だれしもが『ずっと良いことが続けばいい』と求めるものだが、それはかなわぬ事なのである。
だが時の政権にとってはそれではすまぬことなのかもしれない。
だとするならばどういう手段が残されているのであろうか?
既にご存知の通り政府、日銀が一体となって大規模金融緩和を続けており、仮にさらなる金融緩和を進めてもこの局面が果たしてよくなるのであろうか?
いや…むしろ意外な副作用があるのかもしれない。
そもそも現在の冴えない経済指標の原因は、国内需要が伸びないことだ。
なぜなら企業自体は十分と言っていいほどの利益を上げ続けている。
なのに国内需要が伸びてこないのである。
これらの状況を見れば”脱デフレこそが景気の好循環になる”と言った論理はうまくいかなかったと言う事ではないだろうか?
つまり、少し進んだインフレは国内需要を増やすどころか、逆に需要を減らしてしまったのではないだろうか?
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