個人指導
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発行者:新菜
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ジャンル:恋愛
シリーズ:年の差恋

公開開始日:2015/11/12
最終更新日:2022/04/19 21:00

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個人指導 第17章 バレンタイン

◇「お返しよろしくねーー♪」

男「やったー!サンキュー!」

男「これで一個ゲットできたぁ!」

◇「あはははw」



今年のバレンタインは

〇〇とたくさん作りすぎちゃったから

学校で配っても配りきれなくて


塾の男子にもおすそ分け。



玲「それにしてもラッピングが…義理感、満載。」

◇「何よ。文句あるのー?」



玲於が不満そうに言ってきた。



玲「お前、本命の男はいないの?」

◇「えっ…」



ドキッ。



すぐに頭に浮かぶ、大好きな先生。



◇「むふふ…♡」



早く渡したいなー♡



玲「おい、人の話聞いてんの?」

◇「ああ、何だっけ。」

玲「あのなぁ!」



玲於が私の頭をガシッと掴むと

その手を誰かがガシッと掴んだ。



玲「いて…っ」



顔を上げると、玲於の後ろに

背の高い登坂先生。



臣「何やってんだよ。授業終わったんだから早く帰れ。」

玲「ちっ…」

臣「あぁん?お前今、舌打ちした?」

玲「してねぇよっ!」

臣「ふんっ」



玲於はよろけて、そのまま帰って行った。


あいつ、いっつも偉そうにしてるけど

登坂先生には逆らえないんだ。



臣「何笑ってんの。」

◇「早く帰りたいなって思って♡」

臣「ん、待ってろ。」

◇「はい♡」



車のキーを受け取って

先生の仕事が終わるのを待つ。


今日はこのまま先生のおうちにお泊まり。


ケーキとチョコレート、渡すんだもん♡



わくわくソワソワ、待っていたら…


〇〇から嬉しい報告がLINEで届いた。



『悟空さんに渡して、告白したよ♡』



◇「きゃーーー♡」



ちゃんと告白できたんだ!



__バタン。



臣「何一人で騒いでんだよ。」

◇「あ、先生!聞いて聞いてーー♡」



私まで嬉しくて、すぐに報告。



臣「ふーん、で?」

◇「え?」

臣「あいつも返事したの?」

◇「あ、ううん。返事はホワイトデー?にもらうみたい。」

臣「……引っ張るねぇ…」

◇「……」



確かに。


引っ張りながら、どうせ今頃またエッチのレッスンしてるんだろうな。


全くもう、悟空さんってば。



◇「うふふー♡」

臣「なんだよ、ご機嫌だな。」

◇「だって…♡」



早く先生の家に着かないかなー♡

なんて、助手席でウキウキるんるんしていたら…



臣「何してんだよ、行くぞ。」

◇「……」



先生のマンションに着いて…

先生が後部座席から取り出したのは…



◇「ねぇ先生、なにそれ…」

臣「あ?」



大きな紙袋。


中身は見なくてもわかる。



臣「ほら、行くぞって。」



動こうとしない私の肩を、先生が強引に抱いて。



◇「…っ」



その隙に、その紙袋を奪ってやった!!



臣「あ、おい!」

◇「!!!」



やっぱり~~!!!


何これ!!すごい量なんだけど!!!



◇「……」

臣「……」



むすぅぅぅっとしてる私を

先生が呆れて見てる。



臣「ほら、行くぞ。」



強引に部屋まで連れていかれたけど。



◇「……」



むすぅぅぅ。



ソファーの上で、体育座り。



臣「何なのそれ。」

◇「……」



反抗心の、現れです。



……ムカつくから…全部見てやる!!



臣「あ、勝手に開けてやがる。」



そんな言葉も聞こえないふり。


何個あるんだか、山のようなチョコを仕分けすると…


その7割が本命と見た!!



◇「はぁ……」



嫌になっちゃう。



臣「なーにため息ついてんの。」



頭なでなでしてくれたって、ダメだもん…っ



◇「なんでこんなにもらうの…」

臣「俺に言われても…」

◇「多すぎ…」

臣「岩田なんて俺の倍もらってたよ?」

◇「岩田はどうでもいいの!」

臣「…呼び捨てかよww」



先生がお腹を抱えて笑ってる。



◇「先生、もらいすぎ!」

臣「いや、だから俺に言われても…w」

◇「だって…受け取ったのは先生じゃん。」

臣「お前だって配ってたじゃん。」

◇「あれは…っ」



どう比べたって、全然違うもん!



◇「あんなのただの余り物だもん!義理だもん!」

臣「……」

◇「でも…これはどう見てもほとんど本命だもん!」

臣「……」



こんなこと言ったら…


くだらないヤキモチ妬いて、子供みたいって…思われる?



◇「…もらう時…告白とか…された?」

臣「……あーー…、うん。」

◇「!!!」



されたの!!??



◇「なんて言われたの!???」

臣「いや…、別に…普通に…」

◇「普通に、何!!!」

臣「好きです、って。」

◇「!!!」



……ショックすぎて、言葉が出ない。



◇「…それで…なんて、返事…したの…?」

臣「返事っつーか…、ありがとーって、チョコもらっただけ。」

◇「ありがとう?!!」

臣「…他になんて言うんだよ。」

◇「…っ」



ありがとうって何!!

そんなの、嬉しいみたいじゃん!!



臣「なーにをお前はそんなにふくれてんの?」

◇「…っ」



なんで…

私の気持ち、わかってくれないの…?



臣「なんで泣きそうになってんの?w」

◇「なんで笑ってるの!」

臣「だって…w」



先生は呆れたように、私を抱き寄せた。



◇「こんなことしたって…ダメだもん…っ」

臣「んーー、」



チュッ



おでこに触れた、唇。



◇「そんなのも、ダメだもんっ」

臣「んーー、」



チュッ



今度はまぶたに落ちてきた唇。



◇「ダメ、だもん…っ」

臣「んーー、」



チュッ



今度は、ほっぺ。



◇「……///」

臣「ん、」



チュッ



最後は、唇。



臣「機嫌、直った…?」

◇「……///」



……ずるい。



◇「…告白…されないで…!」

臣「無茶だな…w」

◇「ありがとうとか言わないで!」

臣「…じゃあ…なんて言うの?」

◇「俺には大好きな彼女がいるから、告白されても全然嬉しくない!望みゼロ!今すぐ諦めろ!…って、言って!」

臣「ぶっ、鬼かよww」

◇「鬼でいいのっ!」

臣「……」



わがままだって、わかってるけど…



◇「私以外の子に…優しさなんか…見せないで…」

臣「……」



最後にポツリ、そう言うと…


また優しく、腕の中に抱きしめられた。



臣「俺の大事な彼女が、他の女に告白されるとヤキモチ妬いてふてくされて泣いちゃって、手に負えないんだけど…」

◇「…っ」

臣「それでも俺、そんな彼女が可愛くて仕方ないくらい好きだから…ごめんね?」

◇「…っ」

臣「って、言うわ。」

◇「////」



何それ…



臣「これ…、全部持って帰る?」

◇「…っ」



チョコがどっさり入った、紙袋。



◇「…いらない…の?」

臣「いらないでしょ。」

◇「……持って…帰る。」

臣「はいw」



持って帰って、お父さんにでもあげよう。



臣「で?」

◇「え?」



目が合って、数秒…見つめ合う。



臣「早くよこせよ。」

◇「???」



先生が手を出してきて、催促のポーズ。



臣「まさかお前、義理は配っといて、俺にはないわけ?w」

◇「!!!」



忘れてた!!



◇「あるよ!!あるに決まってる!///」



慌てて紙袋を開ける。


先生に喜んでもらいたくて

毎日練習して、一生懸命作ったんだから。



◇「はい、ハッピーバレンタイン♡♡」

臣「おわ、すっげーじゃん!!」



箱を開けると、先生の目が輝いた。



◇「すごいー?すごいー?♡」

臣「すげーよ!」

◇「えへへ///」



頑張って良かった♡

すっごく嬉しい♡



ピポピポ♪



臣「ん…?」



先生の携帯が鳴って…

LINEかな?



臣「ぶっww」



画面を開いて、吹き出す先生。



◇「どうしたの?!」



私もその画面を覗けば、



「〇〇からもらったバレンタイン♡♡すごくない?上手でしょ!天才だと思わない?」


それは、悟空さんからのメッセージで、写真は今まさに目の前にあるケーキとチョコレート。



臣「隆二とお揃いかよーーww」



またお腹を抱えて笑う先生。



◇「だって…一緒に作ったんだもんw」

臣「ほんと仲良いね、お前らw」



そう言って笑いながら、先生が周りのチョコを一つ手にとって、口に入れた。



◇「……」



ドキドキドキ…



臣「ん、美味いじゃん。」

◇「////」



嬉しい!!やったぁ!!♡♡



ティロリロリロ♪



臣「ん?電話まで来た…」

◇「えっ…」



先生がスマホを耳に当てると、

私にまで聞こえて来るくらい、嬉しそうな悟空さんの声。



隆「ねぇねぇ、見たぁ?♡」

臣「見た。」

隆「うん、既読になったから電話しちゃったw」

臣「なんなんだよお前はw」

隆「だって嬉しくってさ~~///」

臣「はいはい、良かったねーー」

隆「ケーキもチョコもめっちゃ美味いの!」

臣「ふーん、ケーキはまだ食ってない。」

隆「へ?」

臣「お揃いみたいよ、俺たち。」

隆「あ、一緒に作ったって言ってた!」

臣「うん。今もらったとこ。」

隆「そうだったんだ!あ、一緒にいんの?」

臣「うん。」

隆「俺も今一緒~~~♡」

臣「じゃあ電話してくんなよw」

隆「だって〇〇、寝ちゃったんだもん。」

臣「へ?こんな時間に?」

隆「ああ、…えーと、うん、まぁ…///」

臣「……ああ、そういうことね。」

隆「そういうことって、なんだよ///」

臣「そういうことだろw」

隆「////」

臣「じゃあ切るぞ。」

隆「え、待ってよ!臣と話すのも久々なのに!」

臣「お前がいなかったからな。」

隆「そうだよー!ね、ね、聞いてよ。」

臣「なんだよ。」

隆「〇〇ってばさ、俺が他の男に義理チョコあげちゃダメーーって言ったら…」

臣「……」

隆「律儀に守って、誰にもあげなかったんだって、へへっ♡」

臣「ふーーん…」

隆「超可愛くない?///」

臣「……」

隆「俺、義理でもやだもん。他の男が〇〇のチョコ食うなんて。」

臣「……」

隆「でも…今年もらったのは俺だけ~~♡」

臣「はいはい、良かったね。」

隆「でさ、」

臣「もう切るぞ。」

隆「えーーーー!冷たい!」

臣「俺だってイチャイチャしてぇんだよ!」

隆「えっ///」

臣「じゃーな。」

隆「…邪魔して…ごめん、///」

臣「おう。」



電話を切った先生は、そのままスマホを放り投げて。



◇「////」



私は最後のセリフが嬉しくて…



◇「……ぴと♡」



先生の腕に、くっついた。



臣「なんだよ。」

◇「イチャイチャ、する♡」

臣「……」



あれ…?



臣「〇〇ちゃんさー、」

◇「うん?」

臣「隆二以外の男に、あげなかったんだって。」

◇「あ、うん。悟空さんに禁止されたって言ってた。」

臣「……」

◇「……??」



先生が私の顔をじっと見て、ほっぺたを引っ張ってきた。



◇「なにー??」

臣「俺も来年から禁止にしよっかな。」

◇「え??」

臣「他の男に配るの、義理でも禁止。」

◇「えっ///」



何それ何それ!!!



臣「…って、なんでそんな嬉しそうなわけ?」

◇「だって!ヤキモチ?!///」

臣「いや、それほどじゃないけど…」

◇「ええっ!」

臣「まぁ、でも…いい気分でもないし…」

◇「////」



うそ…っ

すごく嬉しい。



だってほんとは、禁止されてる〇〇が

ちょっと羨ましいな、なんて…思ってた。


だってそれって…

束縛、っていうか…愛情の一つだし。


他の男なんて見るな!

俺だけ見てろ!

…っていう、メッセージな気がして。


いいなぁって…思ってたんだ。



◇「私も、来年から禁止?」

臣「うん、そうする。」

◇「////」

臣「だからなんで嬉しそうなんだよ、変な奴w」

◇「ね、先生っ♡」

臣「なに。」

◇「もっと禁止事項、作って!♡」

臣「はぁ?w」

◇「えへへ♡」



もっと、先生に縛られたい。


先生だけのものだって、思わせてほしい。



臣「じゃあねぇ…」



少し考えたあと、ニヤッと口角を上げた先生。



臣「俺がしようとすることに、逆らうの禁止。」

◇「うんっ♡」

臣「え、いいの?w」

◇「うんっ♡」



禁止されちゃった♡

もうなんでも嬉しい♡



◇「先生に逆らわない♡」

臣「……」

◇「なんでも先生の言うこと、きくーー♡」



先生の首に腕を絡めて、ぎゅっと抱きついた。



◇「先生、だーいすき♡」

臣「ん、いい子…w」



……ドサッ



◇「…っ」



あれ…?


先生が、私を見下ろしてる。



臣「今日さ、なんかエロい格好してんね?」

◇「…っ////」



先生の瞳に、妖しさが差して、ドキッとする。



だって今日は…

〇〇も隆二さんのためにミニスカートで行くって言ってたし…


私も頑張っちゃおうって…気合い入れて…



臣「わざと…?」

◇「////」



私の考えてることなんて、お見通しみたいな余裕の笑み。


でも、


その表情が余計に私をドキドキさせるの。



◇「わざと…だよ?///」



そう答えれば…



臣「……イイね。」



なんて、またニヤッと笑って


太ももを滑る、先生の指先。

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