Love Addict
第9章 ー確かめたいー
放課後、また〇〇のところへ行こうと
裏庭を渡って
英語準備室の窓の下まで辿り着くと
中から話し声が聞こえた。
臣)先客か……
そこに座って
先客が帰るのを待っていると
楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
女)先生の教え方本当にわかりやすい!♡
女)聞きに来て良かったね♡
女)うん!!
〇)良かった。
勉強頑張ってね。
女)ありがとうございます♡
チラッと中を覗くと
ここからはソファーしか見えなくて
女子生徒しか見えなかった。
女)ね、ね、先生はどうして笑わないんですか?
女)すっごく美人なのにー!
女)全然笑わないから
先生のこと怖いって言ってる子たちもいるけど…
実は憧れてる子もすごく多いんですよぉ♡
へぇ…そうなんだ…
全然知らなかった。
女)どうしたら先生みたいに
キレイになれるのかなぁって。
女)ほんとに憧れるーー♡
女)先生になりたいよーー♡
〇)何も…
女)え…?
〇)何もいいことなんてないわよ。
女)……
〇)私になったって…
女)そんなことないです!!
女)先生くらい美人だったら
絶対先輩も振り向いてくれるもん!
女)あははは♡
〇)私はあなたたちの方が羨ましいわ。
女)えー??
〇)素敵な恋をして…青春を楽しんでね。
時間は絶対に…戻らないから…
女)……
女)そっかぁ…
女)きっと高校生活なんて
あっという間だもんね。
女)よし!青春を楽しもう!!
女)あははは♡単純〜〜♡
女)じゃ、先生!ありがとうございましたぁっ!
女)お茶もごちそうさまでした!
〇)気をつけてね。
女)さようならー♡
騒がしい黄色い声が聞こえなくなって
俺は窓をのぼった。
トンッ。
〇)……
臣)……
目が合ったけど
〇〇は何も反応せずに
湯呑みを洗ってる。
何を話していいのかわからず
とりあえずソファーに座ると
しばらくして〇〇は
俺の前にお茶をおいて隣に座った。
臣)ありがとう。
〇)……
臣)たまには俺以外も来るんだね。
〇)…ふふ、そうね。
臣)女子たちに憧れられてる〇〇先生。
〇)……やめて。
臣)先生になりたいって…
〇)……
臣)俺もなりたい。
〇)え……?
臣)〇〇に。
〇)……
臣)そしたら…俺のことどう思ってるか
貴女の気持ちがわかるのに。
〇)……
臣)……
俺が手を握ろうとすると
避けられた。
〇)私の…気持ち…?
臣)……
〇)……
臣)うん…
〇)……
臣)……
話して…くれるのかな…
臣)聞いても…いいの?
〇)……
〇〇は返事をせずに目を閉じた。
「俺のことどう思ってる?」
そう聞きたいけど…
臣)すごい今更だけど…
付き合ってる男とかいんの?
〇)……
〇〇は静かに目を開けた。
〇)本当に今更ね…ふふ…
臣)……
〇)……
臣)え、いるの?
〇)さぁ、どうかしら…
臣)……
曖昧な返事に胸の中が一気にざわついた。
臣)好きな男、いるの?
〇)……
臣)……
〇)……
臣)ねぇ…
〇)……
全く答えてくれない。
昨夜はあんなに近くに感じた〇〇が
今はすごく遠く感じる。
その距離を少しでも埋めたくて
俺が無理矢理手を握ると
〇〇が真っ直ぐに俺の目を見た。
〇)好きじゃない。
臣)……
え…?
〇)私、広臣のこと…「好き」じゃない。
臣)……
そんなことわかってた。
わかってたのに…
臣)じゃあどうして…
俺に抱かれるの…?
〇)……
情事に理由を求めるなんて女みたいだけど…
聞かずにはいられなかった。
でも貴女の口は一向に開かない。
臣)〇〇…
〇)……
臣)……
〇)…んっ…、…ふ…ぅ…っ
開かない唇がもどかしくて
自分の唇を重ねる。
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