DEAREST
第4章 TUESDAY
「…ラト…お前、何かあったのか?」
朝食を済ませ自室に戻るために食堂を後にするラトに、ジオは真顔で尋ねた。
この朝食の時間、いつもは夢の中にいるはずの親友に心底驚いているらしい。
「…別に…何も。」
「…まさか…東棟の変態神父に呼び出されて夜遅くまで説教食らったあげく襲われたとか…?」
「…てめぇ…いい加減にしろよ?」
あまりに的外れで失礼な揶揄にラトが声を低くする。
顔のことで色々と嫌な思いをした記憶があるラトは、その手の冗談が大っ嫌いだ。
その目は据わりジオを睨みつけている。どうやら本気で怒っているようだ。
「じょ、冗談冗談。悪かったよ。」
ジオが慌てて謝罪しながら顔の前でぺこぺこと頭を下げる。
何せこの綺麗な親友は、怒ると本気で恐いのだ。
その迫力と威圧感に勝てる者はこの棟、否、この教会にはいないだろう。
それくらい恐い。
掠れた声と引きつった笑顔で必死に謝るジオに溜め息を吐いたラトは、さっさと自室に戻ってしまった。
その背を彼の親友が心配そうに見つめていた。
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