DEAREST
第2章 SANDAY
日曜の朝。
見習い生の朝は早い。日の出前に起床し身支度を整えた後、礼拝堂の掃除をする。それが終われば中庭、門周りなど休むことなく全てをこなし、食堂で神父達の朝食の準備を済ませたあとに、漸く彼らも食事にありつけるのである。
…が、それはあくまでも真面目に生活している見習いの日課だ。
カーテンの薄い布越しに降り注ぐ柔らかい日の光に、ラトはゆっくりと意識を浮上させた。
無意識に窓の外に目を向ければ、既に太陽はしっかりと昇り、掃除どころか朝食の時間も過ぎている。
さすがに寝過ぎたかと自分の寝汚さに舌打ちしたが今更考えても仕方ない。
と、そのとき年季の入った木のドアをコンコンとノックする音が聞こえてきた。
「ラトー、起きてっかー?」
軽い口調で言葉をかけ、返事も待たずに部屋に入ってきたのはラトと同じ見習い生のジオだ。まだベッドの上で寝巻きのままのラトを見て呆れたように溜息をついている。黒髪に碧眼のラトとは違い見事な金髪と碧眼の持ち主だ。
寝起きの悪いラトにとって、ジオは神様のような存在だった。
それというのも、のんきな性格の反面、彼は毎朝ご苦労なことに、毎度寝坊する親友のため食料を調達してきてくれる、なんとも殊勝な男なのである。
「ジオーっ!!待ってたぜっ!!!俺もう腹空きすぎて死にそうっ!!」
「あー・・・ハイハイ。・・ホラ餌だぞ。」
「お―――っ!!サンキュっ!!」
そして今朝も例に漏れることなく、お世話になるラトであった。
4