主「おお、ありがとう、助かるよ!」
❀「……いえ//」
身体を拭いて、制服を整えて…
何事もなかったかのように、オフィスに戻って、主任に本を渡した。
❀「……//」
ドキン…
ドキン…
向こうには、同じように平静を装って仕事をしている岩田さん。
さっきまで、資料室で…
あんなに激しく、私と…
❀「////」
信じられない。
朝から、あんな…
あんな…
女「今日のランチはどこにしよっかー」
女「新しくできたイタリアンはー?」
はっ!!
さっきの余韻が忘れられなくて、ボーッとしてるうちにお昼になってしまった。
女「❀❀は体調どう?大丈夫?」
❀「あ、うん…っ」
女「じゃあ一緒に…」
その声を遮るように現れたのは…
岩「❀❀さん…っ」
❀「…っ」
爽やかに現れた、王子様。
岩「よかったら、お昼一緒にどう?」
❀「…っ//」
女「あ、岩田さんと行くのー?じゃあ私たち行っちゃうねー」
❀「あ、私っ!みんなと行くっ!」
女「えっ…」
❀「岩田さん、ごめんなさい!//」
そう言って私は財布を掴んでオフィスを飛び出した。
だって…
だって…
さっきまで資料室であんなことしてた人と、どんな顔してお昼食べたらいいの??
無理!!
無理だもん///
女「岩田さん…かわいそ…」
❀「…っ」
女「せっかくお昼誘ってくれたのに…なんで逃げ出したの?」
❀「えっと……」
女「あの岩田さんだよー?」
女「そうだよ。贅沢もの。」
❀「……//」
岩田さんが社内でもすごく人気があるのはわかってる。
だってあんなにカッコよくてあんなに優しいんだもん。
だから私は…
手の届かない憧れの存在って思ってて…
遠くから見てるだけで満足だったのに…
女「手の届かない憧れの存在。」
❀「えっ!!」
女「って、さっき男どもがまた言ってたよ、❀❀のことw」
女「またー?w」
❀「……」
女「ほんっと❀❀は人気者ね~~」
女「もしかしたら岩田さんも❀❀に気があるんじゃない?」
❀「そんなの絶対ないよ!!///」
女「なんで断言できるのよ。」
❀「……///」
い、い、岩田さんが…
私に気があるなんて…
そんな自惚れ、間違ってもしちゃいけない。
でも……
じゃあどうして……
私と、あんなこと……
朝のあんな出来事のせいでやっぱりムラムラしちゃう私は…
女「お先に失礼しまーす。」
❀「お疲れさまです。」
今日もみんなが帰るのを見送って…
男「❀❀さん、また最後?」
❀「ああ、はい。もう少しやっていきます♡」
男「帰り気をつけてね?」
❀「はいっ!」
オフィスに一人になるのを待つ。
❀「……はぁ。」
やっと全員帰って、暗くなったオフィス。
岩田さんは…
営業に出たきり、「直帰」になってる。
今日はランチから戻ってきた後も、岩田さんの顔を見れなくて…
ずっと避けてたら気付いた時にはもういなくなってた。
❀「ううう…//」
岩田さんを想うだけで、疼いてしまう私の身体。
なんて破廉恥なんだろう…
❀「は…ぁ…、//」
ダメなの。
ムラムラして、止められないの。
……く、ちゅ…っ
❀「ふ…、…ぅ…」
岩田さんの逞しい身体。
汗ばむ肌。
男の人の色気。
❀「……ん、…ふ…、っ」
くちゅっ、くちゅっ、、
私を的確にそこへ連れて行ってくれる指先。
くちゅ、くちゅ、、、
❀「は…ぁ…、岩田…さ…、ん…//」
誰もいなくなった暗いオフィスで
こんな風に、はしたなく脚を開いて
私はうっとりと快感に酔いしれる。
__この時間がたまらなく好き。
くちゅ、くちゅ、くちゅ、
❀「ん、…は…、ぁっ」
目を閉じて、岩田さんのことばかりを考えて…
思い出して…
____ガタン。
❀「!!!」
嘘…っ
また、物音がして…
私は慌てて脚を下ろした。
嘘でしょ…?
もう誰もいないって確認したはずなのに…
私は必死に平静を装って、パソコンと向かい合った。
仕事をしてるフリをしてると、そこに現れたのは…
❀「……岩田…さん…?」
どう…して…
岩「……」
今日は直帰じゃないんですか?
❀「……」
岩「……」
しばらく無言で見つめ合って、
こちらへ近付いてくる岩田さん。
さっきの…気付かれてる…?
ドキッ…、ドキッ……
❀「お、お疲れ…さまです…っ」
すぐ隣まで来た岩田さんに、パソコンを見たまま声をかけると…
岩「❀❀さん…?」
岩田さんは鞄を下に置いて…
キィ……
私の椅子を、自分の方へ向けた。
❀「…っ」
恐る恐る見上げると、にっこり私を見下ろす王子様。
心臓が、バクバクする。
❀「直帰じゃ…なかったんですね…」
岩「うん、契約書置きに戻ってきた。」
❀「…そう、ですか……」
岩「❀❀さんはこんな時間までまた一人で残って、どうしたの?」
❀「…っ」
岩田さんがクイッと、私の顎を上へ向ける。
岩「みんなが帰るの待って、また一人で…イケナイこと、してた…?」
❀「////」
私は小さく首を横に振った。
❀「して…ません…、//」
だって、見られてないはずだもん…っ
すぐに、隠したし…
岩「本当のこと、言って…?」
岩田さんは今度は私の目の前にしゃがんで、私を見上げる形で、私の手を取った。