狂っていく感覚もないままに、狂っていた。
こんなことになるってわかってたら、俺は違う道を選んでた?
そんなことはわからない。
考えたところで仕方がない。
時間はもう、巻き戻せないんだから。
………………………………………………………
いつからだったろう。
直人さんが本当に幸せそうな笑顔を見せるようになったのは。
健「直人さん最近マジで絶好調っすね~~」
直「まぁね~~w」
岩「やっぱり綺麗な彼女が出来ると違うのかな~~」
隆「え!岩ちゃん直人さんの新しい彼女、もう会ったの?」
岩「いや?会ったどころか写真も見せてもらってないw」
隆「なんだ~~びっくりした~~」
岩「でも直人さんがいつも美人だって誉めてるからw」
臣「ほんとにそんなに美人なんすかー?w」
直「おいお前!失礼な奴だな!」
健「わははははw」
直「本物見て腰抜かすなよ~~?」
健「ハードル上げすぎっすわ、直人さんw」
二人が付き合いたての頃は、そんな風にみんなで笑っていた。
いつも長続きしない直人さんがいつまでも惚気てるから…しばらくすると俺たちも「ああ本気なんだな」って察したりして。
直人さんはしばらく俺たちに彼女を会わせてくれなくて、1年以上経った頃だったかな。
「いい加減紹介してくださいよ」ってゴネる俺たちの前に、初めて連れてきてくれたのは。
❀「初めまして、❀❀です。」
とある番組収録の日。
直人さんが楽屋に連れてきたその人は、本当に綺麗で…
俺たちは全員、息を飲んだ。
直「ほらな?見惚れるだろ~?w」
誇らしげに頬を緩める直人さんの隣で、「もう直ってば」とクスクス笑う姿も可愛くて。
色っぽい女。それが第一印象だった。
岩「ほんとに美人…。やっべ……///」
隆「直人さんずるいっすよ!!///」
直「何がだよw」
健「ほんま綺麗やわ~~~~///」
臣「………」
みんなからの賛辞にも「ありがとう」と微笑むだけで、照れたりする様子もなく、大人な女だなと思った。
一度会わせてくれた直人さんは、もう壁がなくなったのか、それから頻繁に彼女を現場に連れてくるようになった。
直「❀❀~~~おいで♡」
❀「もう、直ってば…w」
直人さんはいつも必ず彼女を膝に乗せたり、足の間に挟んだりしてイチャついて。
そんなスキンシップで、本番前の緊張を落ち着かせてるようにも見えた。
健「直人さん、イチャつきすぎっすわー!w」
岩「俺たちに見せつけてんすかーーーもうっ」
直「別にそんなんじゃねーよw」
そう言いながら直人さんは、人目もはばからずキスをする。
❀「なーお、みんな見てるよ?//」
直「いいから…、」
❀「ん……、」
二人のキスは日常茶飯事で、次第に見慣れていった俺らは、目の当たりにしても照れなくなった。
またイチャついてら…
それくらいに思ってた。
隆「❀❀さんまた差し入れ作ってきてくれたんすかーー♡」
❀「うん、食べてね♡」
隆「めちゃめちゃ嬉しいっすーーー♡」
❀「隆二くんはいつも一番喜んでくれるから嬉しいな♡」
彼女は料理も上手くて、隆二は完全に胃袋をつかまれてるし…
❀「健二郎くん、ステキ♡今のダンスすごくカッコイイ♡」
健「ほんまっすか?///」
❀「ねぇ、もっと見せて?」
健「はーい…///」
人を褒めるのも上手で、彼女がいると直人さん以外のメンバーもモチベーションが上がる。
❀「もう岩ちゃん…これ畳んでおくからね?」
岩「いつもすんませーーん///」
散らかった楽屋を片付けてくれたり、みんなの面倒も良く見てくれて…
臣「出来た人ですね、❀❀さんってw」
❀「急になぁに…?w」
臣「直人さんにはもったいねーなって思って。」
❀「やだ、…ふふふ…っw」
直「こらー!俺の悪口かーー!」
岩「いやーでもほんとに!俺も❀❀さんみたいなお姉さまと付き合いたーい!♡」
隆「はいはい俺もーー!♡」
健「ほんなら俺もや!」
❀「やだ、みんな…ww」
そう言って笑う顔も、やっぱり可愛い。
彼女はある意味、俺たちの憧れだった。
だから思いもしなかったんだ。
彼女に、とんでもない裏の顔が…あるなんて。
直「もうお前ら飲みすぎだって~~!w」
隆「でーへへw やっぱりメンバー飯会は最高~!!」
臣「酒おかわり~~~!!」
❀「はい、どうぞw」
直「こら、臣!人の彼女を使うなw」
岩「俺もおかわりーー!!」
直「こら!w」
❀「いいのよ直、ふふっw」
直人さんはふわりと笑う彼女の手を引いて膝に座らせ、相変わらずの溺愛ぶりを見せつける。
直「いいからお前はもうここにいなさい♡」
❀「直も酔ってるでしょw」
直「俺は酔ってもいいの!リーダーだから!」
健「なんすかそれぇww」
久々に直人さん家に7人集まって、ワイワイ飲んで。
楽しくて仕方ない俺たちはやっぱり飲みすぎてしまった。
隆「もうベロンベロンで帰れましぇ~~ん」
岩「直人さん泊めてぇ~~~」
直「勝手に雑魚寝してろ、ばーかw」
臣「マジで泊まってっていいっすかぁ~~~」
健「俺も俺もぉぉ~~~~」
直「好きにしろw」
❀「じゃあ毛布持ってくるわね♡」
彼女は俺たちに毛布をかけてくれて、そのまま直人さんに連れられ、寝室へと消えていった。
すぐさまいびきをかいて眠りに落ちたのは健ちゃんと岩ちゃん。
俺も結構飲んだけど、そこまでベロベロじゃない。
帰るのが面倒臭いから泊めてもらうけど。
隆「なぁ臣……」
臣「んー?」
隆「直人さんたち…寝たかなぁ…?」
臣「さぁ?ヤッてんじゃね?w」
隆「……っ////」
臣「なに想像してんだよw」
隆「だって…、奥の寝室……少しだけドア、開いてる。」
臣「え、マジ?」
起き上がって首を伸ばせば、本当に少し開いている。
臣「覗いてくれって言ってんじゃね?w」
隆「うん、声とか…聞こえそうじゃない…?///」
臣「行ってみる?w」
隆「うん////」
俺たちはゆっくりと立ち上がって、静かに寝室の方へと歩みを寄せた。
酔った勢い。
もしバレても笑って誤魔化しゃいいかw
って、それくらいの思いだった。
さすがに直人さんもマジギレはしねぇだろうし、なんてったって…
あの綺麗な人がどんな風に男に抱かれるのか…、どんな声で啼くのか…、そっちの興味の方が勝ってしまったから。
細長い廊下。
足音を立てないように、ゆっくりゆっくり近付いて……。
一番奥の寝室の扉から1メートル手前くらいで、もう二人の声が聞こえてきた。
向こうからは見えないだろうけど、こちらからは中の様子も見えてしまう。
俺と隆二は二人で足を止めて、息を殺した。
❀「ん……、直……っ、あ……、あぁ……っ」
直「すげぇ綺麗だよ、❀❀……」
隆「うっわ、もうヤッてた!////」
臣「シッ……!」
興奮する隆二の口をおさえて、二人で様子を窺う。
❀「んっ…んっ……、んん…っ」
直「…………は…ぁっ」
わずかなドアの隙間から、興奮を抑えながら目を凝らす。
激しいキスを交わしながら、どんどん体勢が乱れていく二人。
❀「もっ…と…!…来て…っ、な…お…っ!」
直「…ん…ぁッ……」
直人さんが腰の動きを速めると、彼女の甘い啼き声はより一層大きくなる。
❀「あぁ…っ、あ…っ、……気持ちイイ…っ!なお…っ!///」
その声はひどく官能的で……
臣「……///」
想像以上の光景と、彼女の甘い喘ぎに、当たり前のように反応してしまう身体。
隆「やべ、勃ちすぎて…いてぇ…///」
臣「俺も……///」
二人して勃起させて、何やってんだって思うけど…
それでも見惚れてしまうくらい、直人さんの下で乱れる彼女は妖艶で、魅力的で、たまらない。
男の本能で思ってしまう。
俺も抱きたい、………って。
あんな綺麗な女を、あんな風に惑わせてみたい。
そして、柔らかそうなあの身体を…
奥の奥まで感じたい。
隆「ちょっとごめん……、俺…抜いてくる…///」
そう言って隆二はトイレに向かったけど…
俺は二人から目が離せなかった。
こんなチャンス、もうない。
少しでも見逃したくない。
彼女のあんな、エロい姿を。