つまみ食い
つまみ食い
完結
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発行者:新菜
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2017/08/07
最終更新日:---

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つまみ食い 第1章 秘密のKISS

岩「お邪魔しました~~~!!」

健「泊めてもらってありがとうございましたー!」

「ふふっ、またいつでも遊びに来てね♡」

直「いやいや、そんな甘やかしたらマジでこいつら遠慮なく来るからw

隆「また来まーす♡」

直「ほら!w

「ふふ、いいじゃない♡楽しかったもの♡」

直「も~~~~w



直人さんは彼女の腰に腕を回しながらご機嫌で俺らを見送ってくれた。



彼女は朝起きてからも特に変わった様子もなく、いたっていつも通りで


みんなと同じように俺にもおはようと笑いかけ、朝飯をふるまってくれた。



時々目が合っても柔らかく微笑むだけで



俺は彼女の唇を見るたびに昨夜のキスを思い出してしまうのに、彼女は何事もなかったみたいに普通で。



臣「女ってわかんね……



そう呟いてタクシーに乗り込んだ。



隆「はぁ……昨夜、すごかったよな///

臣「あ?」

隆「あの二人だよ!///

臣「ああ。」



つーかお前すぐ寝てたじゃん。



隆「毎日ヤッてんのかなーー」

臣「さぁね。」

隆「いいなーーー///

臣「……



溜まってた俺は早速その夜、適当な女を呼びつけた。



女「臣くん久しぶりだねぇ♡」

臣「いいからとっとと脱げよ。」

女「やだーー/// そんなすぐシたいのぉ?」



だから呼んだんだろが。



臣「ほら、いいから早く。」

女「あんっ♡」



適当に服を脱がせて、ベッドに押し倒す。



女「……あ、……っ、///



適当に愛撫してやれば、一応声を出すけど



なんか違う。



俺が聞きたいのは……



女「あん、っん


臣「もっと色っぽく啼けねぇの?」


女「えっ、やだ、なに//


臣「もっとイイ声出せって言ってんだよ


女「あっ、やぁんっ!あぁっ♡」




ほら、感じさせてやるから。


あの人みたいな声で啼けよ。




女「あぁんっ!気持ちぃっ!あぁんっ♡」


臣「……




全然ちげぇ。


冷めてきた。



誰でもいいと思ってたけど、SEXってこんなもんだっけ。



キスだって、全然気持ち良くない。



……昨夜のキスはあんなに……




女「あんっ!臣くぅんっ!もぅっあんっ///


臣「うるせぇ。イカせろ。」


女「あぁぁぁんっっ!」




どうでもいい女を適当に抱いて、適当に欲を吐き出して。


でも全然満たされない。



なんだよ、これ……



こんなSEXより昨日のキスの方がずっと……




女「臣くん、またおっきくなってるよぉ///


臣「……




それはお前に欲情したんじゃねぇよ。


でも。




臣「うん。お前が可愛いから。」


女「え///


臣「舐めてくんない?」


女「いいよ?♡」




適当なことを言って利用する。



女なんてそれでいい。



なのに……




……臣くん…………




あの人が呼んだ俺の名前が、頭から消えていかない。




柔らかい唇。


甘い吐息。



俺を翻弄させた、魅惑のキス。




臣「は、ぁ……

女「臣くん、気持ちいーい?♡」




うるせぇな。

黙って舐めてろ。




俺は彼女とのキスを何度も思い出しながら、どうでもいい女の口に、また欲を吐き出した。





………………………………………………………






隆「あ!今日は❀❀さんいるんだー♡」

「ふふふ、今日も来ちゃった♡」

直「❀❀~~~、来て。」

隆「あ~~!俺が話してたのに~~~!」

直「これは俺の。」

隆「そうやってまた見せつける~~!!」



今日はミュージックビデオの撮影。


直人さんはまた彼女を連れてきて、休憩時間はずっとイチャついてる。



直「ん、……♡」

「もうまたぁ?くすくすw



キスをねだる直人さんに、彼女は優しく笑って


そのまま口付けた。



臣「……っ」



何度も見慣れてる光景なのに、なんでだろう。


今日はなんか違う。



他の女を抱いても紛らわせられないくらい強烈だった、彼女とのキス。


甘い果実のような柔らかい彼女の唇は今、直人さんに触れている。



これは嫉妬じゃない。

そんなんじゃなくて



ただ、羨ましい。




その気持ち良さをもう知ってしまったから、俺もキスしたいんだ。



だって



隆「あれ、臣どこ行くの?」

臣「ちょっと。」



そう言って俺は控え室を出てトイレに向かった。



臣「……



俺マジで何してんだろ。


昨日一応発散したじゃん。


なのに……



臣「……っ」



トイレでこんな一人で……



………シュッ、シュッ



臣「は、ぁ……っ」



シュッ、シュッ……



自分でこんな……



臣「っ」



すげぇ虚しいのに……


あの人とのキスを思い出すだけで、我慢できないんだ。




……




一応処理して控え室に戻ると、そこにはもう直人さんはいなかった。




「臣くんは一番最後だって言ってたよ♡」

臣「ああ、そうですか




俺はパイプ椅子に腰掛けて、そのままテーブルに突っ伏した。




……どうしたの?」




ふわりと香る、甘い匂い。

さらりと触れる、柔らかな手。



彼女の指先は、俺の髪を優しく掬っていく。




「今日はご機嫌ななめかな?」

臣「……そう見えますか?」


「うん、少しだけ……

臣「……




あんたが何考えてんのかわかんねぇ。




「でも臣くんはどんな時でもカメラの前だと完璧だもんね♡」

臣「……は?」


「カッコイイ臣くんになる。」

臣「……


「いつも見てるからわかるよ?」

臣「……




いつも見てるってなんだよ。

あんたが見てんのは直人さんだろ。




「ほら、何があったのかわからないけど元気だしてーー♡」




何があったのかって


俺にしたキスは、なんだったんだよ。




っ」




俺の髪を撫でてる彼女の手を掴んで、俺は起き上がった。




「臣くん……?」




目の前には、甘く熟れた唇。


今ここでキスしたら、どうなる




臣「……




俺はそのまま、あの夜みたいに……


彼女の頬に右手を滑らせた。




相変わらず柔らかい肌。


もちもちと吸い付くようで




その頬を手のひらで撫でながら、瞳の奥を見つめると


彼女は恥ずかしそう俯いた。




「臣くんの手、あったかい…///







「ドキドキしちゃうよ…///







臣「っ」




彼女はそのまま俺の手を覆うように触れて、ゆっくりと瞼を上げた。



長いまつげが綺麗に上がって


潤んだ瞳が、俺を見つめる。




「ドキドキ、しちゃう…///

臣「……




さっきから、まるで


俺を誘うような仕草。言葉。



どういうつもりなのか、全然わかんねぇ。



でもいい。


この手を払いのけないあんたが悪い。




……グイッ




///




あの夜と同じように、後頭部を引き寄せ


近付いていく、唇と唇。




その甘い果実に手が届きそうな直前で……




ガチャッ___




直「ふ~~~疲れた~~~~」

岩「直人さんはちきれすぎww

健「ほんま何なんすか今日の直人さん~~!w




パフォーマーが戻ってきて、彼女は何事もなかったかのように直人さんの元へ駆け寄っていった。




「おかえりなさい♡」

直「ただいま♡イイ子にしてた?」

「ふふっ、なぁにそれ。」

直「ああ、臣もいたんだ。二人だったの?悪さされなかった?」

健「ぶははははw

臣「……




する前に戻ってきたからな。




隆「終わった~~!次臣だって~~~」




隆二も戻ってきて、入れ替わりで俺が部屋を出ようとすると


最後に俺の視界に入ったのは


彼女と直人さんのキスシーンだった。




さっき目の前にあったのに


もう少しで届きそうだったのに



届かなかった唇。




俺のフラストレーションは溜まるばかりで




俺はその夜も別の女を呼んで全てを発散させた。

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