しばらくはしゃいでいると広寸がドアから室内に入ってきた。
倭「あれ?スンスン野郎、さっきまでこの部屋にいなかったっけ?なんで外から入ってくんだ??」
純「どーせいつものあれだろ!」
広寸はえらく息を切らしてハァハァ言ってる。
広「み…、みずきちゃん…。はぁ…はぁ…。いちごおーれ…はぁ…はぁ…買ってきた…スンスン…はぁ…はぁ…。」
水「ぁ!いちごおーれー♪♪わーーい♪♪」
広寸は水希ちゃんにいちごオーレを手渡すと、死んだように崩れ落ち満面の笑みを浮かべてハァハァしている。
広寸は水希ちゃんファンで、みずから進んで水希ちゃんの奴隷になる道を選んだのである。
純「ほらな、やっぱいつものやつじゃん。」
倭「それにしても、やるなスンスン野郎!どう見ても完全に奴隷じゃん。満面の笑みがキモすぎるな!!」
水希ちゃんはさっそくいちごオーレにストローを指してちゅーちゅー飲み始めた。
水「ぁ!おにーちゃん!明日からおしごとだからーー♪じゅんぺーと、やまとと、すんすんと、あと…たつとしくんと、えーーっと、あと、わたしの6人で行くからね――♪♪」
夏「そーなんだ!!2週間も休みだったから、体なまってるかもな…。今日中にウォーミングアップ済ませとくよ!!」
水「ぅんーー♪おにーちゃんがんばがんばーーっ♪♪」
お仕事とは、主に隣国との戦争である。
この国には彼らの属する帝国軍と、政府軍の2つの軍があり、
基本的に帝国軍は防衛担当。政府軍は遠征・侵略担当である。
龍「そうと決まれば、さっそく実戦訓練でもするか。」
倭「賛成――!!新しい龍歳とかいう、わけのわかんない奴の実力を拝見するとしよう!!」
純「だな、上司として相応しいかチェックしないとな。」
夏「2人ともえらく上からだな!!わけのわかんないやつとか言っちゃアカンだろ!!」
「俺も思ってたけど…(小声)」
龍「聞こえてんぞ夏希!まぁ、実力なんてものは初見で9割分かるのがプロってもんだからな。おまえらはめでたく全員アマチュアってことだな。」
純「9割!?それは言い過ぎじゃないっすか龍歳さん?」
龍「いや!少なく見積もって9割って言ったんだ。実戦なんて交えなくてもお前ら全員の能力も弱点も癖も習慣も99%わかってるぞ。」
夏「いやいやいや、それはないでしょ!!」
龍「ま、百聞は一見に如かずだ。10分後みんな屋外訓練場に集合な!多分、全員ちびって漏らすからウンコ済ませとけよ!!」
夏「漏らさねーよッッ!!」
なんやかんや言いつつも夏希も純平も倭も広寸も4人そろってウンコに行った。
4人はそろって5階から飛び降りて屋外訓練場に向かった。
屋外訓練場は5㎞四方ほどの広大な訓練場である。
この軍の人間は9割が飛行能力を持っている。
倭はまだ未熟なので高いところからゆっくりと降下することはできるが、上昇や維持はできない。
広寸は30秒、純平は5分、夏希は無制限に自由自在に飛行できる。
倭を除いては飛行能力で訓練場へ向かった。
倭「いやァー、爽快、爽快!!60㎏ぐらい出たZE!!」
夏「いや、出すぎだろッ!!つ―かお前体重60㎏だから、60㎏出したらなんも残んねーじゃん!?」
倭「あー、わりぃわりぃ、70㎏だったわ!!」
夏「増えんなや!!」
純「俺も昨日のマスクメロンカレーのおかげでいっぱい出たわ!」
夏「それ、完全に下ってるだろッッ!!そして、お前も食ってたんかいィィ!!!」
広「下らねぇ話をしてやがるな愚民(ゴミ)共!この王(キング)は80㎏出た スン!!」
夏「きーてねーよッッ!!てか、お前も下らねぇ話してんじゃねーかッッ!!!」
くだらねー話に20分も費やすと、10分遅れで龍歳が屋外訓練場にやってきた。
龍「おう、お前ら早いな!」
夏「てめぇがおせーんだ!!自分で言った時間ぐらい守れや!!」
広「とうとうこの時が来たスンスン!!この王(キング)が世界の王になる日が!!」
夏「いつもだけど、何言ってんのお前?王になる日が今日なら、今、お前は王(キング)じゃないな!!」
広「ナニイッテルカワカラナイヨ」
夏「カタコトでごまかすなや!!」
龍「元気がいいな。イジメがいがありそうだ。こってりしごいてやるぞ!!」
夏「とんこつらーめんじゃねーわッッ!!あと、イジメる宣言すんなやッッ!!」
龍「じゃあ、ま、始めるとしようか。」
純「だな。まずは何をする?」
龍「ん?4対1の実戦に決まってんだろ?」
純「は?いくら上司っつったって2番隊No3だろ?夏希と2つしかNo(ナンバー)違わねーじゃんか!!4対1とか、強がんなくていーんじゃねーの?」
龍「そうだな…。じゃあハンデとして右手と右足を封印してやろう。それでもお前らには十分すぎるだろうがな。」
倭「えらく自身あるよーだなァ!?俺の翠(みどり)の雷剣(らいけん)を見ても同じことが言えるのかなァァ??」
夏「いや、言えるだろッッ!!お前の弱さは折り紙付きだからなッッ!!」
「…。とはいえ4対1である上に右手右足封印って…、龍歳テメェ、どんだけ舐めきってんだよ??」
龍「ゴチャゴチャとうるせぇ奴らだなまったく…。とっととかかって来いよ。」
そう言うと、龍歳は背を向けて歩き始めた。
夏「…。本当にいいんだな!?後悔すると思うぞ?」
龍「お前らがな。」
龍歳のその言葉に反応して4人が一斉に動き始めた!