破壊と再生
第2章 第1章 春一番
目が覚めたコウガは、まだ強く脈打つ心臓で、寝ぼけた頭の中にある鮮明な夢をかき消さんが如く、夕べのコーヒーの残りを一気に口に流した。
頭を振り、ゆっくり時計に目をやると9時。
ガイダンスは9時からだ。
(……。…っやっべ!)
ボサボサの頭で学校に到着したのは9時40分。掲示板の上に並んだ無数の学生番号から自分のを探しだし、教室を調べるのに10分。
掲示板の隣の校舎案内図(落書きだらけで見辛い。何やら、矢印がたくさん描かれている。)から、教室を見つけるのに5分、エレベーターを待ち、4階へ上がるのに5分。
教室に入り、誰も居ないことに気付いた時には、最早、時計は10時を指していた。
コウガは項垂れながら教室を出た。
「コウガ!」
図太い声に振り返るとそこにGが立っていた。相変わらずの図体で、その体に似合う大きな笑顔で手を振ってこっちに向かって来る。
「やー俺も遅刻だよ。夕べミナト達と飲み過ぎちまった。ガハハ。」
「飲み過ぎたってお前らまだ未成年だろ。」
「なぁに人生勉強だよ。というか、その様子だとコウガも俺らと同じクラスか。あーよろしくな。ガハハ。」
「俺ら?…同じ…クラス?」
「あぁ。さっき、ミナトとシュウからメールもらったんだ。俺ら三人一緒だったってな。ここ俺らの教室。そこにいたってことは、コウガも同じクラス。だよな?」
「…マジか?」
「マジだ。ガハハ。」
愕然とするコウガをよそに、Gは話し続けた。
「今、クラスの皆は図書館を見学しているらしい。早く合流しようぜ。」
「あぁ。」
ガタイのわりに、良くしゃべるやつだと思いながらも、コウガはGと図書館へ向かうことにした。
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