週末の日曜日の早朝、聖哉は郊外にある大型ショッピングモールへとやって来ていた。
このモールへはこれまで買い物などで何度か訪れたことがあったが、
今日の聖哉はビジネスの打ち合わせのために訪れ、
カッチリしたスーツに身を包んでいた。
まだオープン前のモール内をTシャツ姿の男と一緒に歩き、とある店の前まで来ると、
そこで聖哉は二十代から四十代の同じくTシャツ姿の男達に迎えられた。
「おはようございます。株式会社フロンティアの吉川聖哉です。本日はどうぞ宜しくお願いいたします」
聖哉は爽やかな笑顔で挨拶をすると深々と頭を下げた。
「これはどうも、こちらこそ本日は宜しく」
四十代の一番年長の男が聖哉の前に出て挨拶をし、二人は名刺交換をした。
四十代の男が手渡した名刺には『本間勇三』と記され、
今日これから打ち合わせする取引先の部長らしかった。
「君みたいな若くて優秀な人と仕事ができるなんて嬉しいよ」
本間は、聖哉の名刺を両手に握りしめながら、
意味深な笑みを浮かべて聖哉の顔を見つめた。
「こちらこそ光栄です。ありがとうございます」
聖哉も得意の営業スマイルを浮かべ、本間に応えた。
それから他のTシャツ姿の男達とも名刺交換を終えた聖哉は、
ショッピングモールの中にある開店前の店内に通され、
そこで早速ビジネスの打ち合わせを始めたのだった。