ところが、さっき本間達との打ち合わせで告げられたのは、
まったくビジネス以前の話であった。
本間達が運営するアパレル会社のショッピングモール内にある店では、
今日から一週間に渡りセールのイベントをするらしく、
その宣伝用のチラシを千枚、このモール内で配って欲しいと、
まるでバイトがするような仕事を聖哉は頼まれたのだ。
あまりに事前に聞いていた話とは違う非礼な申し出に、
さすがの聖哉も憤りを覚え、さっさと断って帰ろうとしたのだが、
本間から今日中にチラシ千枚を一人で配り終える事がきたなら、
アプリ開発のお願いをすると殺し文句を囁かれ、
聖哉は思い留まり、その非礼な申し出を引き受けることにしたのだった。
ただ、本間達は一人で千枚のチラシ配りという無茶な提案に対して、
さらにゲーム的な要素を加えてイケメン社長を甚振った。
まず、チラシ配りに大勢のお客さんを惹きつけるべく
聖哉のために与えられた衣装は、白のタンクトップと青のショートパンツ、
それに黄色の海水パンツの三点で、
それを仕方なく身に纏った聖哉の体は、
程良い筋肉の隆起した胸元や腕の筋肉が露出し、
ショートパンツからは尻肉の一部がはみ出てしまっていた。
その姿は、とても若きイケメン社長にはふさわしくない扇情的なもので、
大勢のギャラリーの注目の的になることは間違いなかった。