三毛猫は笑う
第2章 新マネージャー
大量の資料を前に豊耀はため息を零していた。
嫌な会議から逃げようと試みたが優秀な秘書に止められたあげく、ためてあった資料にも目を通さないといけなくなった。
「優秀すぎるのも問題か。」
「でも、秘書が優秀でなかったら辛くなるのはあなたよ。」
「…わかってるさ。みゆ。」
気配もなく暗闇から現れた少女は松本 みゆ(まつもと みゆ)と言う。
「いや、ミケと呼んだほうがいいかな?」
「どちらでも?どちらも私の名前ではあるし、どちらも私の名前ではないからね。」
クスクスと笑う。
「今日はクロは一緒じゃないんだな?」
「クロは今日はお留守番。」
「そうか。」
「いつも一緒だと思った?…ネコはきまぐれなのよ?」
後ろから豊耀の首に抱き着くように腕を回し、耳元で囁く。
「承知してるよ。だが、仕事はきちんとやってくれよ。」
「もちろん。餌をくれるならきちんとするわ。」
4つの写真を豊耀の前に出す。
「彼らを護ればいいのでしょ?お行儀の悪いワンちゃんから。」
「ああ。護ってくれよ、可愛い俺のベイビー達を。」
俊介、要、実、純也の写真を懐になおしミケは微笑んだ。
「Mikeにお任せあれ。」
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