Negative Reaction1
第2章 Phase2
五年生に上がってまたロクちゃんと同じクラスになったとわかって、僕は何だかいやな気分がした。ロクちゃんはその頃から体がぐんぐん大きくなって、目つきの暗さは相変わらずだった。考えたら、ロクちゃんはすごくかわいい男の子だった。二重の大きな目で、愛嬌があって、見るだけで大人の人の顔がゆるむくらい。三年生くらいまではね。けど、今はこわい。
僕は相変わらずひょろっとして小さかった。お父さんが病院を継げっていうから、一生懸命勉強してる。勉強は好きじゃないし、面白くもないけどね。
一学期の後半頃から、ロクちゃんを中心に、おかしなグループができはじめた。クラスをまたいで、七、八人かな。黒板にエッチなラクガキとか、ポスター破ったりとか、トイレットペーパーが、窓から垂れ幕みたいにぶら下がったりとか……何て言うか、目立つ割に罪のないいたずらが多かった。刺激的だったから、クラスでも子どもの中ではわりと「ウケ」がよかった。先生も、事件のたびに大声で叱って、見えないところでゲンコツも飛んでたみたいだけど、そう深刻にはとらえてなかったみたい。
僕は関わらないようにしてた。実際関心もなかった。ただ何となく、前よりちょっとだけロクちゃんの目つきが柔らかくなったような気がしてただけ。
でも、七月に入って、相変わらず昼休み、窓際で本を読んでた僕の肩を、ロクちゃんが叩いた時から、僕の「日常」は大きく変わってしまったんだ。
3
NIGHT
LOUNGE5060