Negative Reaction1
第2章 Phase2
「こんなええ天気の日に教室で読書か?」
「何か用?」
僕は淡々と返したつもりだったけど、おびえていた。肩に手を置いたロクちゃんは、にやにや笑って僕を見下ろしてた。横縞のランニングシャツから、よく陽に焼けた肩が剥き出しで、光っていた。
「健康にええ運動させたるから、来いや」
「遠慮しとくわ」
ロクちゃんは後ろにいた三人の男子にあごで合図した。僕は脇を二人に抱えられて、ばたつかせた半ズボンから出た足も、揃えてもう一人に押さえられた。
「いややて! 何すんの! 離してやっ!」
ただでさえクラスでちっちゃい方で、運動神経はまあ普通だけど、腕力のない僕は、三人で押さえられたら、もがいてもどうしようもなかった。おまけに
「いたっ……」
三人にがっちり押さえられた僕のお腹を、ロクちゃんがごぶしで思い切り殴った。息が詰まった。涙がぽろぽろ出てきてしまった。誰も助けてくれなかった。
「外出たらいっぱい運動さしたるちゅうねん。ちょっと大人しくしとれ」
そう言って僕のお腹をもう一発殴ったロクちゃんの目は、冷たくはないけど興奮した変な感じで、今までで一番こわかった。
4
NIGHT
LOUNGE5060