ワイバーンギフ
第1章 誕生前夜
ワイバーン
wyvern:西洋の架空の動物。二足で翼を持ったドラゴンの代用動物。紋章学上ドラゴンは王家しか使用出来なかったために、王家ではない諸侯が使用する目的で考えだされた。
岐阜市
岐阜県南部に位置する県庁所在地。文化不毛の地と評され、過去には発展性の無い街日本一にランキングされた。また、日本一の不法産廃が市北部で発見された。主な産業はアパレルだが、中国に仕事を奪われ不況のただ中に有る。
観光やコンベンション都市を目指しているが、岐阜駅に降り立った人々は死角に設置されている観光案内所を当然見逃し、駅前をさ迷う事が出来る。駅前で黄金の織田信長が迎えてくれるが、元々土岐氏の土地であり、斎藤道三と娘婿に乗っ取られたと言うのが正しい。さらに、明智光秀は土岐氏であり、黄金の織田信長像は仇討ちの記念碑との解釈もできる。
ー能登島秀彦氏のブログより抜粋
クラブ創設篇
-第1話はじめに
私は、別にサポーターでもなかったし、サッカーのルールもちゃんと知らなかった。でも彼の事は少し知っていた。
名前は膝肩敏文(ひざかた としふみ)16歳で、FC岐阜ユースのセンターディフェンダー。それで、16歳なのにキャプテン。
小6の弟がサッカー少年で、私は付き添いで、メモリアルセンターのスタジアムに来ていた。
それは何気ないプレーに見えた。ゴール前にボールが上がって、膝肩君と2人が飛び上がった。ボールは膝肩君の頭に当たり、外に弾き飛ばされた。
「トシッ!ナイスクリアー!」
と弟が叫んだ。
そして3人は重なりあって芝に落ちた。2人は立ち上がったが、膝肩君はその瞬間から2度と立ち上がる事はなかった。
その日からちょうど一年目に、私は彼に再会した。
彼も私も17歳で、私は学校からの帰り道。激しく自動車が行き交う横断歩道で彼は、車椅子で独り信号を待っているように見えた。私は自転車から彼が目を閉じている事に気づいた。手は震えながら、タイヤのバーを握りしめている!
私は急ブレーキで自転車を飛び降りて走った…彼の腕がゆっくりと動いて行く。信号は赤なのに!
車道に入ろうとする両脇に、後ろからなんとか手をねじ込んだ。私は、なんとか後ろに倒れ…そのまま彼と車椅子が私の上にのしかかった。そして笑い声が降ってきた。
「何もかも駄目か!自殺までちゃんとやれない」
「何…」
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