連立の命(れんりのいのち)
第11章 《第11章》
「係長。ありがとうございます。アフリカから帰ったら、きちんと考えることにします。私はこの病院から離れたくはありませんが、もし、私に出来ることがもっと他にもあると言われるのなら、運命に逆らわないで生きて行こうと思います。そのためにも、南アフりカに行って、私のドナーの家族にお会いして来たいと思います。私が心理カウンセラーの資格を取ったのは、実は私のドナーのお母さんの心を、出来るだけ穏やかに、そして悲しみを出来るだけ解いてあげたかったからなんです。今がその時だと思っています。私を許していただけるかどうか分かりませんが、精一杯尽くしてきたいと思います。係長、本当にありがとうございます」
倖は心から嬉しかった。そして自分の命を、自分の人生を、この先移植に捧げようと決心した。ユンカの命を無駄にしないような人生を、自分は歩かなければいけないのだと。
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