マンション屋上の死角
第4章 4章 奈落への下降
やがては それも 飽きてくる
スリリングな ときめきも 薄くなって
結局は 安全圏に 安住する 意識
「それじゃあ このまま エレベーターに 乗せちゃおうか?
だいじょぶだよ まず 誰も来ないし
もし なにか あれば オーナーの 管理人ですって
僕が 出て うまく 収めるから」
まるで 悪戯を 楽しむ 悪ガキのように 彼が言う
ともかく 刺激的なことに 貪欲になってる 私は 拒否しない
脚立ごと 磔の 全裸の 私は エレベーターの 中央に乗せられ
彼は ボタンを 1階に 押すと 乗らずに 外に出る
それは 一発で 全てが崩れる ロシアンルーレットのように
危険な 賭けを 含んで スリリング
大胆に 恥辱の姿の 私を 乗せた エレベーターは
いつでも 誰かの陵辱を 受け入れ 待つかのように
一つづつ各フロアを 降りていく
やがて 一階に 停止して 扉が 開いて
しばしの 待機時間は 胸の鼓動で 長く感じて
やがて 扉締まり 上昇していくときの 安堵感
「あはは おもしろかった?スリリングで」
彼は また 屈託なく笑って 出迎える
なにを 思ったか また 新しい遊び 思いつき
猿轡は 外してくれないで
彼は 今度は 全フロアの ボタンを 押して 全階停止にしてしまう
驚いて 目を 見張る 私に
今度は 目隠しを する
「このほうが 面白いでしょ?
また 行ってらっしゃい 楽しんでね」
ふいに 彼の意地悪な 暴力を 感じて
それに むしろ 疼いてしまう 私
視覚が奪われて 恐怖感は さらに高まり
エレベーターの 下降する 浮遊感は
背徳に 堕ちる ジェットコースター
全身を 貫く 悪寒のようで
失禁してしまいそうに さえ 感じていた
危険な 遊びごとの スリルな 陶酔は
それは 奈落への 下降だったのだけれど
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