ダンススクール
第3章 溢れる涙
溢れ出てくる涙を何度も拭いて
あたしはなんとかトイレを出た。
目が赤い。
みんなには…先生には…バレたくない。
◇)しっかり…しなきゃ…
あたしは
モヤモヤを吹き飛ばすように
レッスンは休憩も取らずに
ずっと踊り続けた。
もう…何も考えたくない。
踊ってる間は…忘れていられる。
直)はい!!
じゃあ今日はここまで!!
今日の動きは少し複雑だから
ちゃんと復習しておけよー!!
皆)はーーーい!!
直)じゃあ解散。おつかれーー
タオルで汗を拭きながら
更衣室に戻る。
女)なんか今日、直人先生見るたびに
○○ちゃんとエッチしたんだって
そればっかり考えちゃったw
女)ちょっと、やめてよーw
一応隠してるんだから。
そんな会話が聞こえてきて
耳を塞ぎたくなる。
女)今日も誘ってみちゃおっかなー♡
女)え、ほんとに?!w
女)このあと♡
女)やだ〜〜〜ww
嫌だ、嫌だ、嫌だ!!!
聞きたくない!!!
あたしは急いで着替えて
更衣室を出た。
女)この先生の顔〜〜〜ww
直)俺半目じゃん!!ww
女)あはははww
入口の近くでは
またみんなが先生と楽しそうに話してる。
そのまま帰ろうとすると
また先生に腕をつかまれた。
直)な、見て見てこれw
◇)……っ
直)俺めっちゃブサイクw
先生たちが見てるのは
この間の懇親会の写真だった。
直)でもこっちはカッコイイの。
女)自分で言ってるw
直)だってちゃんと目ぇ開いてるもんw
ほら。
◇)……
それは
あたしと一緒に写ってる
ツーショットの写真だった。
直)この俺イケメンだから
待ち受けにしよっかなーw
女)あはははw
何それーー◇ちゃん迷惑だよw
直)なんでだよ!!w
女)ねぇ?w
◇)……
言葉が…全然出てこない…
直)どうした?
お前…具合悪いのか?
先生があたしのおでこに手をあてた。
◇)……っ
その時だった。
後ろから○○ちゃんたちが来て…
女)先生、ちょっといいですかぁ?
直)え……
あたしはとっさに先生の腕を掴んだ。
◇)せん…せいっ
直)…どうした?
◇)あの…話したいことが…
直)うん?
◇)…っ
先生はあたしの頭に手を置いて
直)じゃあ、行こ。
手を引いてくれた。
女)ちょっと、先生!!
直)なに。
女)あとで電話するからいいです。
直)……
○○ちゃんは
そのまま帰っていった。
あたしはそのまま
先生に手を引かれて相談室へ…
直)お前ほんとに大丈夫?
◇)え…?
直)体調、悪い?
◇)……いえ…
直)今日ずっと…様子変だから…
◇)……
あたしのこと…
見ててくれたの?
直)話って…なに?
◇)……
話があるなんてウソ。
○○ちゃんと…
またホテルに行っちゃうのが嫌で
先生を引き止めただけ。
あたしがずっと俯いてると
先生があたしの横に来て
頭を撫でてくれた。
直)ほんとに…どうした?
◇)……っ
やっぱりダメだ…
この手に触れられると
好きな気持ちが…止まらなくなる。
◇)あたし…帰りますっ
直)え、ちょっと!待てよ!!
後ろからドアを押さえられた。
ガチャン。
◇)え…っ
どうして…
鍵…かけるの?
直)気になるから…
ちゃんと言ってよ。
◇)…っ
直)何があった?
後ろを振り向くと
先生があたしをまっすぐ見つめた。
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