Love Trap
Love Trap
完結
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発行者:新菜
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ジャンル:恋愛
シリーズ:LOVEシリーズ

公開開始日:2016/05/07
最終更新日:---

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Love Trap 第13章 ー少しずつ…ー
〇)また来た。
臣)毎日来るよ。
〇)暇なのね。
臣)……
〇)若い時間が勿体無いわよ?
臣)〇〇に使う時間は
  何一つ勿体無くなんかない。
〇)……
臣)一番大事な時間だから。
〇)……


ためらいもせずそう言う彼。


臣)好きだよ。
〇)……


私が返事をしなくても
彼はいつもそう言う。

私の笑顔が見たいと、優しく笑う。


臣)職員室で食べないの?
〇)そうね…
臣)仲良い先生いないの?
〇)心配してくれてるの?
臣)だって…
  いつも一人でいんじゃん。
〇)いいのよ。
臣)……
〇)一人が落ち着くから。


職員室には
見たくない光景が広がってる。

私はここにいたいの。


臣)俺は寂しい。
〇)え?
臣)一人で弁当食うの寂しい。
〇)……
臣)だからここで食う。
〇)…登坂くんは…友達いるでしょう?
臣)……
〇)優しい子ね……


どうしてこんなに
毎日ここへ来るのかわからない。


臣)誰も来ないの?ここ。
〇)……
臣)……
〇)ヤンチャな生徒が一人
  毎日来るくらいかな。
臣)俺かよ…w
〇)……
臣)俺以外は…誰も来ないの?
〇)……そうね。


直人さんが来るのを
毎日待っているけれど

最近あの人は来てくれない。


………………………………………………………


登坂くんは
変な噂が立ったら困るから、と
窓から来るようになった。


〇)そんなこと考えてくれてたの?
臣)だって…
〇)……
臣)俺は気にしないのに
  「教師」と「生徒」だからって
  すげぇ気にしてるじゃん。
〇)……
臣)だから。
〇)……


そうじゃない。


〇)私は何言われてもいいけど
  登坂くんはダメ。
臣)……
〇)こんな英語教師と変な噂が立ったら
  申し訳ないから。
臣)なんだよそれ。
〇)……
臣)俺はいいんだよ。
〇)……
臣)俺は気にしてないんだから。
〇)……
臣)気にしてるのは〇〇だろ?
〇)……


登坂くんが
ちゃんとラインを引けるように

学校では名前で呼ばれても
答えない。

すると観念する彼は
私を「先生」と呼ぶ。


臣)先生。
〇)……
臣)なんで英語の教師になったの?
〇)……


久しぶりに聞かれた、そんなこと。


〇)理由は…もう忘れちゃった。
臣)……
〇)登坂くんは…英語好き?
臣)大っ嫌い。
〇)ふふ…
臣)つーか勉強なんか嫌いだよ。
〇)将来役に立つのに…
臣)……
〇)……
臣)じゃあ英語だけでもやろうかな…
〇)ふふ…素直ね。
臣)……//


輝かしい未来が待ってる高校生。


臣)先生の言葉は…
  自然と心に入ってくるから。
〇)すごく良い生徒ね。
臣)違うって。
  「先生」じゃなくて〇〇の言葉は、って意味。
〇)……
臣)……


名前で…呼ばないで…


臣)先生は…あの辺に住んでんの?
〇)え…?
臣)あの…公園の近く…
〇)……
臣)……
〇)近くはないわ。
臣)え、そうなの?
〇)……
臣)じゃあ…なんであんな時間に…
  あんなところに…
〇)……
臣)……
〇)…帰り道なの。
臣)帰り道??
〇)そう。
臣)どこの??
〇)……
臣)……


直人さんが奥さんと住んでるマンション。

そこで私は彼に抱かれてるの。

そう言ったら
あなたはどうする?


〇)ほら、そろそろ帰って勉強しなさい。
臣)……


………………………………………………………


それから…
私と登坂くんの不思議な関係は続いた。


夜の公園で泣きながら私を抱く彼。

でも学校では無邪気な生徒として
部屋に遊びに来る彼。


でも…私にはどうでもいいことだった。

私が待っているのは直人さん。

私が好きなのは直人さん。


そう思っていたのに…


コンコン。

ガラガラッ


〇)直人さん?!
臣)……
〇)あ…っ


しまった、と思った。

登坂くんが一気に怪訝な表情を浮かべた。


臣)誰それ。
〇)……
臣)……
〇)びっくり…した…
臣)……
〇)廊下から来るなんて…
  珍しいのね。
臣)誰と間違えたの?
〇)……
臣)ナオトさんって誰?
〇)……
臣)……
〇)……
臣)俺しか来ないんじゃなかったのかよ…


不満そうにそう言う彼の前に
お茶を置いた。


〇)毎日来るのは登坂くんだけよ。
臣)……
〇)……
臣)そのナオトって奴はたまに来んの?
〇)…さぁ。
臣)……


最近は…全然来てくれない。


〇)ちょっとぼーっとしてたの。
  …ごめんね?
臣)……


隣に座ると強引に手を繋がれて
ほどこうとしても離してくれない。


〇)……
臣)……


そんな真っ直ぐな目で…見ないで…


臣)…好きだ。
〇)……


何度そう言ってくれたかわからない。


〇)登坂くんは…
  いつでも真っ直ぐね…
臣)……
〇)優しくて…真っ直ぐで…
臣)……
〇)なんだか眩しい…
臣)……


この子がどれだけ優しい子か
私はもう知っている。

だから…


〇)……
臣)俺には…
〇)……
臣)〇〇の方が眩しいよ。
〇)……
臣)〇〇が好きだよ。
〇)……


どうでもいいと…思っていたのに…

私の心は少しずつ…


臣)……
〇)…私は……
臣)……
〇)そんな風に想われる価値なんてない。
臣)……
〇)もう…私に構わないで。
臣)嫌だ。
〇)……
臣)……
〇)ここへ来るのももう終わり。
臣)嫌だ。
〇)……
臣)……
〇)登坂くんは…すごく優しいから
  同じ年代の可愛い子がいくらでもいるでしょう?
臣)……
〇)だから…
臣)嫌だ!!
〇)…っ


私の言葉を遮るように
強く強く…抱きしめられる。


臣)俺が好きなのは〇〇だって
  言ってんじゃん…
〇)……
臣)俺の気持ち…信じられない?
〇)…そうじゃ…なくて…
臣)……
〇)……


強く抱きしめられるその腕から…
彼の想いが
痛いくらいに伝わってくる……


〇)登坂くんは…
臣)名前で呼んで。
〇)……
臣)夜は…呼んでくれるじゃん。
〇)……
臣)広臣…って…
〇)……
臣)……呼んでよ…
〇)……
臣)……


学校では…
無理矢理「教師」の…フリをしてた。

呼び方だけにこだわったって…
仕方ないのに。


〇)……
臣)……
〇)広…臣…
臣)…っ


そう呼ぶと…
潤んだ瞳が私を見つめた。

気付けば私は無意識に
彼の頬を包んでいた。


〇)広臣には…未来があるでしょう?
臣)……
〇)…だから……
臣)……
〇)こんな所にいちゃダメよ……
臣)……


どうでもいいと…思っていたのに…

こんなことを言っている自分に
少し驚くーー


臣)俺は貴女が好きで一緒にいたい。
〇)……
臣)教師と生徒って立場がダメだって言うなら
  早く卒業するから。
〇)……
臣)もしそれも待てないなら
  学校なんて辞めて働くよ。
〇)…バカなこと…言わないで…
臣)本気だよ。
〇)……
臣)俺は…貴女が好きなんだ。
〇)……
臣)貴女以外…欲しいものなんてない。
〇)……


ああ…
痛いくらいに…真っ直ぐな想い。


こんな私なんかに…構わないで…


〇)貴方にはまだまだ長い未来がある。
臣)……
〇)それを私なんかのために棒に振らないで。
臣)……
〇)私は…あなたと一緒には
  生きていけない。
臣)どうして!!
〇)……
臣)俺が…子供だから…?
〇)……
臣)……


そんなに綺麗な瞳で
真っ直ぐに…見つめないで…


〇)ダメ。
臣)…っ
〇)今日はもう帰って?
臣)……
〇)……
臣)全然…わかってない。


背を向けた私に
彼は続けた。


臣)貴女は全然わかってない。
〇)……
臣)俺がどれだけ貴女を好きか
  全然わかってないよ。
〇)……
臣)明日…
〇)……
臣)また来るから…
〇)……


そう言い残して
彼は部屋を出て行った。
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