「連絡して。 080-××××-×××× 岩田」
昨夜デスクに残されていた、岩田さんのメモ。
❀「////」
連絡して、って…書いてあるけど…
連絡…、したいけど…
……やっぱりできないよ///
だって…
一昨日はオフィスであんなことになって…
昨日は資料室であんなことになって…
❀「////」
恥ずかしくて、岩田さんと顔を合わせられない。
どうしよう…
なんて、思ってたら
岩「おはようございます。」
今日も爽やかな笑顔で出社してきた、憧れの王子様。
目が合って、慌てたように下を向く私。
……不自然すぎたかな?///
岩田さんにもらったメモは手帳にはさんで
バッグにしまった。
やっぱり…無理だよ。
ドキドキして…
「暑いから…こんな濡れてるの…?」
思い出すのは、昨日の色っぽい岩田さんの声。
「まだ溢れてくるよ…?」
岩田さんの指は、いくらでも私を翻弄して…
私の身体は、熱く熱く、昇り詰めた。
「抱き上げていい?」
そう言って私を抱える岩田さんの腕は
すごく男らしくて…
汗だくの二人の身体はそのまま熱く…熱く…
❀「////」
ダメ、思い出したりしたら…
また、、、
男「◇さん、おはよう!……あれ?顔赤いけど大丈夫?」
❀「…っ」
ある意味、大丈夫じゃないです…//
男「やっぱり昨日から調子悪いんじゃない?」
女「熱あるの?」
❀「あ、ううんっ///」
岩田さんとのエッチを思い出して
朝からこんな身体を火照らせてるなんて
恥ずかしすぎて…
男「やっぱり休んだ方が…」
❀「いえっ!!元気です!!」
女「無理しちゃダメよ?」
❀「大丈夫、ありがとう!//」
ダメ。
仕事中は岩田さんのことを忘れよう。
少しでも考えちゃうと、仕事にならなくなっちゃう。
主「お、❀❀さん、ありがとうな、資料。」
❀「えっ…」
あ、昨日頼まれてた23冊。
でもそれは…
思わず岩田さんの方に目線を向けると
私に向かって「シーッ」って人差し指を立てて
右目でウインクされた。
❀「////」
ドキドキ、胸がまた騒ぐ。
主「こんなにたくさん、重かったろう?」
❀「あ、いえ…、えっと…」
岩田さんが全部運んでくれたけど…
「シーッ」って言われちゃったから…
❀「…はい……//」
私は小さく頷いた。
男「もう主任~~~!❀❀さんに力仕事なんてダメですよ~」
女「体調もあまり良くないみたいなんで。」
主「なにっ!そうなのか?大丈夫か?」
❀「全然大丈夫です!!」
主「じゃあ追加で頼みたかった分は他の奴に…」
❀「追加ですか?!私が行きますっ!!」
主任が持っていた本のリストメモを強引に受け取って、私はオフィスを出た。
❀「……はぁ…//」
岩田さんに…
ウインクされちゃった。
❀「////」
それは…
昨日のあの出来事は、二人だけの秘密だよ、
ってことですか…?
ドキドキ…
ドキドキ…
落ち着かない胸をおさえて、今日も資料室のドアを開ける。
❀「あ、朝だと少しだけ涼しいかも…」
昨日岩田さんと抱き合ったこの部屋。
あの時は、二人の身体は汗だくで
熱くて熱くて、おかしくなりそうだった。
❀「……」
ここの、棚。
ここで岩田さんが…ジャケットを脱いで…
ここで…私の脚を持ち上げて…
❀「////」
ダメ、思い出しちゃうよ。
仕事中は考えちゃダメなの。
岩田さんの指の動きや…
熱い体温や…
そういうのを思い出すと、私…ダメになっちゃうから…
❀「……は…ぁ…//」
ああ…
シたくなっちゃう。
ダメなのに。
ダメって、わかってるのに…
身体が…疼くの。
我慢…出来なく…なっちゃう……
❀「岩田…さん…//」
小さく名前を呼んで、スカートへと手を伸ばしたその時だった。
__ガチャッ
❀「!!!」
私は慌ててスカートを元に戻す。
開いたドアから顔をのぞかせたのは…
❀「……岩田…さん…」
どう…して…?
……バタン。ガチャッ。
岩「……」
❀「……」
言葉もなく、見つめ合う瞳。
しばらくすると岩田さんが、ふわりと笑った。
岩「どうしてまた力仕事、引き受けちゃうの?w」
そう言って私に近づいてきて…
岩田さんが一歩一歩、私の方に来るたびに
胸がドキン、ドキン、と…音を立てる。
岩「ほら、貸して。俺がやるから。」
❀「あ…っ」
岩田さんに見とれてる間に、岩田さんの綺麗な指が、私の手元からメモをするりと引き抜いていった。
岩「……朝だと、昨夜より涼しいね、ココ。」
❀「……」
同じこと、私も思いました。
思って…それで…
昨夜のことを一人で…思い出して…
岩「どうしたの?ボーッとして…」
❀「…っ」
その声で我に返って、岩田さんを見つめる。
❀「……」
岩「……」
どうして岩田さんは…そんなに普通なんですか…?
私はこんなに…
岩「そんな目で見られたら…思い出しちゃうからやめて?」
❀「え…っ」
思い出しちゃうって…
岩「昨夜のこと。」
❀「…っ」
その言葉に、顔がカァッと熱くなるのが自分でもわかった。
岩「…どうして…」
岩田さんはそう言いかけて、視線を本棚へ移した。
手元のメモを見ながら、本を一つ一つ集めていく。
岩「どうして…連絡してくれなかったの?」
❀「…っ」
あの携帯番号の…ことだよね…?
だって…
ドキドキして…
あのメモとにらめっこしたまま
全然眠れませんでした///
岩「ずっと待ってたんだけどな、俺…」
え…っ
岩「もしかして、俺……」
岩田さんの視線が、また私に戻ってくる。
岩「嫌われちゃった…?❀❀さんに……」
❀「えっ…!」
そんなありえもしない言葉に、私は全力で首を振って否定した。
❀「岩田さんのこと…っ、嫌いなんて…っ」
思わず岩田さんのジャケットを掴むと…
岩田さんの綺麗な指が…
私の指に、そっと絡んだ。
岩「こういう可愛いこと…、しないで…」
❀「……っ」
絡み合う指先は、そのまま繋がれて…
二人の距離は、グンと近くなる。
岩「俺、さ…、仕事中なのに…、何度もダメだって思うのに…、すぐ❀❀さんで頭がいっぱいになっちゃうんだよ……」
え…、それって……
岩「だから…、さ?」
岩田さんのもう片方の手が、そっと私の頬に触れた。
岩「こんな風に近い距離に来られると…、いろいろ思い出したりなんだりで…、俺…おかしくなりそうだから…」
私の頬を少しだけ撫でた岩田さんの手のひらは、そのまま握り拳になって自分のおでこをコンコンって叩いた。
岩「……自分で手伝いにきたくせに…何言ってんだろな、俺…」
そう言ってくるっと背中を向けられた。
岩「ごめん、忘れて…」
そう言った岩田さんの耳は…少しだけ赤くて…
❀「////」
ドキン…
ドキン…
ダメ、我慢…できなくなっちゃう…
触れたく、なっちゃう……
❀「岩田…さん…//」
後ろからもう一度、ジャケットの裾を掴んだ。
❀「……私も…一緒…なんです…//」
岩田さんがこっちを見てないから、少しなら素直に言える。
❀「岩田さんの近くにいると…ドキドキ…して…」
ほら、今だって。
こんなに心臓が…
❀「仕事中は考えないようにしようって、何度思っても…」
そんなの、無理なの。
❀「岩田さんのこと…思い出しちゃうと…」
身体が熱くなって、ドキドキが止まらなくて…
❀「私、どこか…おかしいのかな…//」
言ってて恥ずかしくなってくる。
でも本当なの。
私の言葉に何も言ってくれない岩田さんに、少し寂しくなって…
❀「ね……、、」
もう一度ジャケットをクイッと摘んだ。
❀「こっち…、向いて…?//」
私のその言葉に、ゆっくりこっちを向いてくれた岩田さんは…
その表情を確かめる間もなく…
❀「きゃっ…///」
私をぎゅっと、抱きしめた。