ショートホラーストーリー
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発行者:眸恒平
価格:880円(税込)
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ジャンル:ホラー・オカルト

公開開始日:2010/11/30
最終更新日:2010/11/22 10:26

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ショートホラーストーリー 第1章 「雨」
今日。

 長い間とりかかっていた企画がやっと一段落したところだった。
 気がつくと、すでに翌日になっていた。
 深夜の2時。
 駐車場の車には、まるで雨が降った後のように、びっしりと夜露がかかっていた。
 ワイパーを何回か作動させ、フロントガラスの視界を確保した。
 よくなった視界に、たったひとつしかない駐車場を照らすライトが目に入った。
 さらに、目に入ってはいけないものまで目の端に入ってしまった。
 女がいた。
 ライトから少し離れたところに、白いコートを着て、立っていた。
 ライトの明るさから逃れて、その顔ははっきりとは見えなかったが、それが彼女だとぼくには判った。
 彼女の目は、真直ぐにこの車に注がれていた。
 もっと詳しく言えば、車の運転席に座っているぼくに、注がれていた。
 彼女――中畑佳子だ。
 つい最近まで付き合っていた。詳しく言うと、一ヶ月前まで。
 いや、婚約までしていた。
 しかし、今そこにいることはあり得ない。
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