2歳勝ち上がり馬診断
ボスジラ(牡)
7月21日 福島5R
メイクデビュー福島 芝2000m
時計:2:04.6(良)
騎手:田辺裕信
厩舎:国枝栄(美浦)
【プロフィール】
父:ディープインパクト
母:ミスパスカリ(母父:Mr.Greeley)
主な兄弟馬:マウントロブソン、ポポカテペトル、ハワイアンソルトほか
馬主:金子真人ホールディングス(株)
生産:ノーザンファーム
【回顧】
好スタートを切ると先団へ。向こう正面に入ると外目に持ち出して進出のタイミングを窺い、
3コーナー手前から徐々に進出を開始。4コーナーで早くも先頭に立つと、
追いすがる2着馬を突き放すことはできなかったが、最後まで並ばせることなく押し切った。
勝ちタイムは2:04.6で、上がり3ハロンは36.7。本馬の上がりは36.6。
開催最終週を迎えた福島の荒れ馬場ということもあってか、時計は特に目立つものではなく、
内容もインパクトに欠けるものだった。
とはいえ、まだまだ仕上げ途上だったことも否めないだけに、今後変わってくる可能性は
大いにありそうとT氏。そこまで切れるタイプではなさそうだが、
もう少し走りやすい馬場の方が力を発揮できそうだ。
【血統】
G1戦を2勝し、種牡馬としても活躍するクロフネの半妹にあたる母ミスパスカリは、
現役時代に22戦3勝。重賞タイトルには手が届かなかったが、
2005年のマーメイドSで3着に入るなど、芝の中距離で活躍。
繁殖入り後は、初仔のウィンターコスモス(父キングカメハメハ)を除いて
これまで6頭の産駒がデビューしているが、そのうち5頭がディープインパクトを父にもつ馬で、
3歳年上の兄マウントロブソンはスプリングSなど5勝、
2歳年上の兄ポポカテペトルも昨年の菊花賞で3着に入っている。
本馬もこうした兄たちと同様に芝の中長距離での活躍が期待されるが、
今回の一戦を見た印象ではポポカテペトルに似たタイプのように見えるとT氏。
パワーが要求される道悪を苦手とすることが多いディープインパクト産駒だが、
本馬は問題なくこなせるだろう。むしろ、瞬発力では分が悪い一族だけに、
パンパンの良馬場での上がり勝負となると不安が出てくる。
ウィクトーリア(牝)
7月22日 函館5R
メイクデビュー函館 芝1800m
時計:1:48.3(良)
騎手:岩田康誠
厩舎:小島茂之(美浦)
【プロフィール】
父:ヴィクトワールピサ
母:ブラックエンブレム(母父:ウォーエンブレム)
主な兄弟馬:ブライトエンブレム、アストラエンブレム、テスタメント
馬主:(有)シルクレーシング
生産:ノーザンファーム
【回顧】
スタートは決して速くなかったものの、気合いをつけられると先団に取り付き、
1コーナーではコーナーワークを活かしてハナに。
道中は1馬身ほどのリードを保ったまま逃げていたが、勝負どころでは後続が迫る。
しかし、手応えは楽なままで、いざ追い出されるとあっという間に後続を置き去りに。
最後は流す余裕を見せながらも、従来の2歳コースレコードを1.4秒短縮するタイムで
逃げ切り勝ちを収めた。
勝ちタイムは1:48.3。前述の通り、従来の記録を大幅に上回る2歳コースレコードで、
同日に行われた3歳以上500万下と同じ走破時計。
こうしたことから見ても、かなり中身の濃い一戦だったように思えるが、
時計に関してはある程度タイムが出やすいコンディションだった影響もあるだろう。
気性面に課題のある一族だけに、今後はそういった部分も含めて
慎重に見極める必要がありそうだとAH氏。
【血統】
母は2008年の秋華賞馬ブラックエンブレム。
現役時代には同レースのほかにもフラワーCを制しており、オークスでも4着に健闘。
繁殖入りしてからは、2番仔のブライトエンブレム(父ネオユニヴァース)が札幌2歳Sを制して、
翌年のクラシックでも健闘したほか、3番仔のアストラエンブレム(父ダイワメジャー)も
重賞で好走している。
本馬は母の6番仔で、牝馬では3頭目の産駒。
ディープインパクト、オルフェーヴルを父にもつ2頭の姉は、小柄なことから馬体の維持に苦労したが、
ヴィクトワールピサを父に迎えた本馬にそういった心配はなさそう。
ブライトエンブレムの活躍を考えると、ネオユニヴァースの直仔であるヴィクトワールピサと
母の相性も悪くないと思われる。
ただ、その一方で気になるのは前述した気性面。
母や兄、姉も悩まされてきた部分だけに、今後、使い込んでいく中で表面化しても不思議はない。
距離は気性次第という部分もあるが、マイルから2000m前後がベストだろうとAH氏。