夢中現実遊戯
第1章 明け方の3時
今、何時くらいなんだろう。少年の感覚が正しければ、午前3時くらいの時間ではないかと思われる。
(……)
小学生5年生の真治は思い出そうとしている。確か正式な名称があったはずだと。この、現実と夢の間に落ちたような感じ。思い出そうとしても思い出せない。というより、難しい言い方は知らないが圧倒的に多い。体が変だ。意識が変だ。おかしな場所にある穴に落ちたんだと自覚がある。こういう感じの正式名称は、やっぱり思い出せない。
今日は6時間授業だというのに、憂鬱な火曜日だというのに、そういう時に限ってイヤな時間に目が覚めてしまう。時々こういう事が起こると、寝返りを打つ真治は自分が神さまにイヤガラセをされていると思うのだった。
目の前に夢がある。現実の世界で目を開いているのに夢がチラつく。考えようによっては得しているかもしれない。やたらと出くわす事態じゃないから、レアな経験をしていると思えば得かも。重たい体を真っ直ぐにして真っ暗な天井を見上げた。今日は火曜日、6時間、何も良い事がない。
今日はきっと良い事がないんだろうなって、午前3時に目が覚めたから意識はマイナーコードに転調していた。憂鬱、奇妙にイラつく不快感。体が重い鎖にかかったような刺激。もし数時間後に太陽が出てこなかったら別の世界に連れて行かれるんだろうなと、そんな想像力だけが刺激されていた。
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