奪われた従姉の体
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発行者:Tira
価格:330円(税込)
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ジャンル:その他

公開開始日:2012/12/07
最終更新日:2012/11/25 15:30

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奪われた従姉の体 第1章 憧れの存在
「ほら、しっかりボール拾えよ」
「は、はいっ」
「マジで下手や奴らだ。お前ら、そんな事じゃ絶対レギュラーになれないな」
「す、すみません……」
 北湖見高校の体育館では、今日もバレーボール部の厳しい練習が行われていた。空調の無い体育館は異様な熱気に包まれており、熱中症にならないようペットボトルが壁際に何本も並んでいた。
 三面張れるバレーコートは北側を男子バレーボール部、中央を女子バレーボール部が使用し、空いた南側のスペースでは剣道部が練習していた。他にもバスケットボール部やバドミントン部、卓球部等が使用するが、それぞれ曜日で使い分けを行っていた。
 男女バレーボール部は水曜から金曜日の三日間使用できるのだが、その時間を少しでも有効に使おうと練習にも熱が入る。部活を楽しむというよりは、苦痛に感じる部員も多いようだ。しかし、本当に運動が好きな生徒、またレギュラーになりたいと思う生徒は、先輩のいじめにも似た練習を必死に耐えていた。
 それは、先輩が後輩に対して行ってきた儀式のようなもの。その厳しい練習のおかげで進学校にも関わらず、複数の部が県大会や全国大会の出場経験を持っていた。
 バレーボール部は男女共、全国大会に出場した実力を持っている。男子は女子よりも全国大会出場回数が少ないため、男の意地とばかりに、かなりきつい練習を行っていた。
 昨年、高校生になった城谷敬雄も男子バレーボール部に入部し、同じ一年生の部員と共に玉拾いから先輩の使い走りまで行っていた。不満だらけの部活動だが、彼には目標とする人がいるので頑張ってゆける。それは、男子バレーボール部の先輩ではなく、女子バレーボール部にいた。
 一年生からレギュラーに抜擢されている樋浦華奈美だ。
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