〜剛典side〜
直「俺はねぇ、気に入った女はどんな手を使っても絶対食う。味見しないと気が済まないw」
臣「ゲスいなぁ〜〜直人さんw」
隆「自分に見向きもしてくれなかったらどうするんすか?」
直「だから言ってんじゃん、どんな手を使っても、って。」
隆「ま、まさか…ヤバイ薬とか使うんじゃ…、、」
直「馬鹿野郎!法は犯さねぇよ!w」
隆「焦った〜〜〜!w」
臣「俺は逆に自分に見向きもしない女の方がいいんだよな、最近。」
健「なんやそれ。モテすぎておかしなったんか臣ちゃん。」
臣「わかんないw」
隆「俺はどうせヤるなら俺のこと好きな女のコがいい。」
臣「えーー、それさ、飽きない?」
隆「は?w」
臣「いっつもいっつも自分にうっとりしてるような女ばっか抱いてたら飽きる。だから最近、そうじゃない方がなんか燃える。俺に全然興味なさそうなイイ女。」
岩「ふーん、そうなんだw」
今日は久々にみんなで酒を飲みながら。
どんな女を抱きたいか談議を繰り広げてる。
健「俺はぁ、最初に相手の顔面舐める。」
皆「はぁ!?」
健「それでも嫌がらへんかったら抱く。」
皆「キモい!!w」
お酒弱いくせにガンガン飲んで顔を真っ赤にしてる健二郎さんが放った一言に、全員で総ツッコミ。
臣「それド変態だよ健ちゃん、キモすぎるw」
健「なんでや!!」
直「顔面舐めるって…w」
健「それで嫌がる程度の女やったら追い返しますわ。」
隆「どんな判断基準なのそれ!w」
岩「あははは!w」
ほんと相変わらずアホな会話ばっかしてる俺たち。
バカで楽しいなーw
直「岩ちゃんは最近どうなのよ?」
岩「俺っすかぁ?w」
健「一番のモテ男やんけ。女食いたい放題やろw」
岩「そこまで遊んでないっすよ、俺w」
隆「またまたぁ〜〜〜w」
臣「岩ちゃんもあれっしょ?岩ちゃん見て目ぇハートにするような女は抱き飽きてきた頃っしょ?w」
岩「うん、それはちょっとわかるかもw」
健「カ〜〜〜〜ッ!ムカつくわぁ!何やねんこいつら!」
直「あははは!w」
臣さんの言いたいことはわかる。
この仕事してたら女なんてほっといても無限に寄ってくる。
「好きです」「応援してます」って、本当の下心を隠してみんな近付いてくるんだ。
本当は、あわよくば俺とワンナイしたいとか、そんなんで。
有名人とヤることをステータスに感じるような安い女ばっかり。
岩「俺明日早いんでそろそろお先に。」
隆「えー、帰っちゃうの?」
岩「はい。直人さん、このお土産二つ貰ってってもいいっすか?」
直「いいぞ。貪欲な末っ子よ。」
臣「二個も食うのかよ!w」
岩「だってこれ美味しいんだもんw」
なんて。
本当はあいつにもあげたいから。
岩「じゃあお先でーす!」
隆「なんか最近岩ちゃんゴキゲンだよなぁ…。」
健「せやねん。いつもニコニコしとんねん。」
直「なんかいいことあったのかな。」
臣「女だな、女。」
みんながぼそぼそ言ってるのを背中に聞きながら俺は店を出て、タクシーに乗り込んだ。
俺が最近ゴキゲンだとしたら、その理由はたった一つ。
臣さんが正解なようで正解じゃない、かな。
岩「ただいまーー。」
❀「おかえりーー!」
岩「はいこれ、お土産。」
❀「あ!これ!美味しいやつ!」
岩「お前好きでしょ?w」
❀「大好きー!剛典さんきゅー!!w」
岩「って、二個ともお前が食うんかーい!w」
❀「あれ、違った?w」
岩「貪欲なヤツだな!w」
ま、いいけど。
めっちゃ嬉しそうだし。
❀「へへ、美味しいぃぃぃ♡」
俺が手を洗ってる隙にもう二つ目開けてるしw
岩「一口よーこせ!」
❀「ああ!泥棒!!」
❀❀が持ってるお菓子を無理やりかじり取ると、❀❀が恨めしそうに俺を見た。
❀「あたしのお菓子…、、」
岩「俺が貰ってきてやったんだろ!w」
なんかほっぺ膨らませてるしw
岩「はぁ、疲れたー。」
ドサッと❀❀の隣に腰掛けると、❀❀は「お酒くさーーい」とか言って俺から少し離れていった。
岩「そんな飲んでないけどねー。」
❀「剛典たちはその基準ラインが一般人と違うから。」
岩「あははは、それはあるかもw」
❀「はぁ、美味しかったー!ごちそうさまー♡」
岩「おう。」
❀「歯磨きして寝よーっと!」
岩「俺もー。」
❀「え、やだ。シャワー浴びてよ。臭い。汚い。」
岩「ひどい言われようだな!w」
❀「そのままベッドに入るなんて許しませーん!」
岩「言っとくけど俺のベッドだぞ!w」
❀「ぶっぶーーー!」
❀❀は口を尖らせて×印を作ってる。
岩「はいはい、じゃあシャワーしてきますよw」
❀「よろしい!」
なんかおかしいな。
ここ俺んちなんだけどな。
まぁいっか…w
岩「……あ、寝てる。」
俺がシャワーから戻ってきたら❀❀はでかいベッドの真ん中で大の字になってたw
岩「おい、どっちかに寄れw」
❀「う〜〜〜ん。」
岩「一人で占領すんなw」
❀「……ふ…にゃ…。」
あ、寝ぼけてくっついてきた。
❀「ふふ、剛典…あったかぁい…。」
岩「はいはい、どうせ俺は湯たんぽですよw」
❀「…むにゃ…、、、」
……で、朝起きると…、、
岩「おい、重いっつーのw」
❀❀の足が俺の腹の上にどーんと乗ってる。
岩「ほんとお前は寝相悪ぃな!w」
❀「んぅ…?」
岩「この足をどけろ!w」
❀「あ…、重かったぁ?ごめーん…」
いや、別にお前の足一本くらい重たくなんてないんだけど。
岩「お前はよく俺んちでそこまで寛げるなw」
もう自分ちみたいになってるし。
❀「へへへ、だってこのベッドふかふかで気持ちぃーんだもーん!w」
岩「はいはいw」
❀「湯たんぽ剛典、つかまえたーー!w」
岩「うわぁ!w」
無邪気に抱きついてくるし。
ったく。
相手が俺じゃなかったらお前とっくに襲われてっからなー。
❀「よーし、そろそろ起きて朝ごはんでも作るかー。」
岩「お願いしまーすw」
❀❀がうちに来てから一番助かってるのはコレ。
割とお嬢育ちのくせに、地味に家事が万能な❀❀は、作るメシも美味くて。
朝はいつもコーヒーしか飲まない俺も、朝食の素晴らしさに目覚めちゃったんだよね。
❀「今日はー?お弁当もいるー?」
岩「あ、欲しい!」
❀「はいよー!」
こんな風に、俺がリクエストした時はお弁当まで作ってくれちゃうし。
岩「マジでお前が来てから俺すげぇ健康的だわw」
❀「ふっふふ〜〜ん!」
岩「なんだよそのドヤ顔!w」
❀「感謝したまえw」
褒めるとすーぐ調子乗るんだからw
❀「なんてね。家賃もなんも払ってないからこれくらいは。」
岩「そんなん気にしなくていーのに。」
❀「だって。親しき中にも礼儀ありじゃん?」
そういうところ、ちゃんとしてんだよなー❀❀は。昔から。
岩「ほんと気にしなくていいから。好きなだけいろよ。」
❀❀の頭をポンと叩くと、❀❀は嬉しそうに「ありがとう」って笑った。
だってそもそも、「俺んち来れば?」って言い出したのも俺だし。
岩「んじゃ、行ってきまーす。」
❀「行ってらっしゃーい!」
こんな風に誰かに見送ってもらえるのも、実はちょっと嬉しかったりするんだよね。
一人暮らしが長い身としては。
そう。
最近の俺がゴキゲンだとしたら、❀❀とのシェア生活というか同居生活が、思いのほか快適だから。
隆「うっわ、何この美味そうな弁当!手作りじゃん!!」
臣「うわ、マジだ!すっげぇ!!」
岩「……。」
しまった。
メンバーも一緒の現場でこれ出すの、初めてだった。
健「なんや!どこの女の手作りや!」
岩「俺の手作りです。」
直「んなわけあるか!!w」
ですよね〜〜。
説明すんの面倒くさいな…。
隆「こんな豪華なお弁当作ってくれるなんて…、彼女出来たの?」
岩「ううん。」
臣「彼女でもない女にこんなん作らせてんの?!」
直「さすが岩ちゃんだ…。」
岩「いや、そういうわけじゃ…w」
❀❀は一緒に暮らしてるけど彼女なわけじゃない。
ただの幼馴染で、仲の良い女友達の一人…、っていうか一番仲良いか。
昔はいつも一緒に遊んでたし、大学で偶然再会した時も、めっちゃ嬉しかった。
久しぶりに話してもやっぱり波長が合うというか、めちゃめちゃ気が合うし。
ヘタな男友達より、全然仲良いと思う。
二人で飯食いに行ったり飲みに行ったりもしょっちゅうだったし。
臣「へぇ!岩ちゃんにそんな女友達いたんだ!」
直「すげぇ意外!」
隆「その幼馴染がなんでこんなお弁当作ってくれんの?いいなぁ!」
岩「うーん、実は…、、」
ちょうど一週間前。
❀❀が住んでる部屋が上の階からの水漏れで、水浸しになっちゃって。
家具も全滅で、もう住める状態じゃないんだけど、上の階の人が海外で仕事してる人でしばらく帰国の目処が立たないらしく。
保険屋との話し合いも進まなくて困ってる状況で。
だったらその間、俺んち来れば?って流れになったわけ。
まぁそんな言葉があっさり出た自分にも少し驚いたけど。
それくらい❀❀とは仲良いし、俺も気を許してる相手だから。
健「ふぅ〜〜〜ん、幼馴染かぁ。俺はそんなんおらんからわからんわぁ。」
直「実家に帰るって選択肢はなかったのかね?いくら幼馴染とはいえ、岩ちゃんの家に来るとか無防備じゃない?」
岩「俺んち来たって別に何も起きないですよw」
実家って言ったって、あいつも実家は名古屋だし。
それにあいつは親の力を借りることを昔から極端に嫌うから。
親に頼れば金なんていくらでも出してもらえるくらいのお嬢様なんだけど、そういう境遇に甘えたくないって、大学の時から自力で一人暮らししてたんだよな。
俺もその気持ちはちょっとわかるし、大学通いながら必死にバイトしてた❀❀を尊敬してた。
直「なになに?岩ちゃんってば男女の友情は成立する派?w」
臣「絶対成立しないって!男女の友情なんて!」
岩「うーーーん、俺も成立しない派ですけど…、あいつに限っては成立するかなーw」
健「そうなん?」
岩「はい。ほんと昔から仲良いんで。」
幼馴染って、やっぱ普通の女友達よりも特別な感じがする。
ある意味、家族に近いような。
隆「その子可愛いの?」
岩「え?」
そう言われて、不意に言葉に詰まった。
どうなんだろ。
あいつをそういう目で見たことが今までにない…。
岩「まぁ、うん。普通に可愛いかな。」
臣「そんな可愛い子と一緒に住んでてなんにもないのぉ〜〜?」
岩「ないっすよ!w」
臣「俺なら絶対食っちゃう。」
岩「ないですって!幼馴染っすよ?!w」
俺とあいつが何かあるとか、天地が引っくり返ってもありえないw
臣「幼馴染ってそういうもんなの?」
直「男と女であることに変わりはないじゃんねー。」
隆「そーだよ。」
岩「ないない!100%ない!だってあいつ、俺を湯たんぽがわりにしてるくらいだし!w」
健「なんやそれ。まさか一緒に寝てんの?!」
岩「はい。だってうちベッド一つしかないし。」
隆「えええええ!!」
臣「そーゆー時はお前、あれじゃん。俺はソファーで寝るから、とかじゃん!」
岩「え、そうなんすか?あんまり考えてなかったな。二人で寝ても全然広いからいっかー、みたいな。」
直「そういう問題?!w」
なぜかみんなには理解してもらえないみたいだけど…、、、
一緒に寝てもほんとなんもないんだって。俺と❀❀は。
臣「なんとも思ってなくてもいくら友達でも、毎日女体が隣に寝てたら絶対ムラッと来る時あるわ俺ならw」
隆「そうだよ女体だよ岩ちゃん!」
岩「いや、だから…、女としては見てないっつーか…w」
健「でも可愛いんやろ!?」
直「会ってみたいなー、その子w」
岩「いや別にそこまでめちゃくちゃ可愛いとかでもないですからw」
いくら言ってもわかってもらえなそうだし、みんな変に面白がってるから面倒臭くなっちゃって。
俺はもうこの話を終わらせた。
それから仕事を終えて家に帰ると…、
岩「ただいまーー。」
あれ?
いつもはすぐ「おかえりーー」が聞こえてくるのに、今日は返答なし。
ガチャ。
岩「あ。」
電話中だったか。
❀❀が「ごめん」ってジェスチャーしてる。
❀「だから元気だってば、うん。大丈夫!……え?荷物送った?!…いや、えっと…、うん。見ておく。出かけてる間に来てたのかなーアハハ。てゆーか毎回毎回食料送ってこないでよ、もう子供じゃないんだから!w」
ああ、おばさんと電話してんのかな。
❀「うん、でも気持ちはありがとね…。うん、またこっちからも連絡するし。うん、うん。……わかったよー!じゃあねー!」
電話を切った❀❀はふぅとため息をついてソファーに腰掛けた。
❀「ヤバイ。家にいないことがバレちゃうとこだった。」
岩「おばさんでしょ?話してないの?」
❀「話してないよー!そんなこと言ったらパパもママも無駄に心配して勝手に新しいマンション契約して100万くらい振り込んできそうだもん!」
岩「ぶっ…ww 確かにやりかねないなw」
❀❀は一人娘で溺愛されてるから。
❀「まぁ剛典の家にいるって言ったら心配はしないだろうけど。」
岩「いやいや、それは心配するだろ!w」
❀「え、なんで?剛典なら安心するじゃん。」
岩「……。」
どうなんだろ。
❀❀の家とは昔から親も顔見知りだし、俺もよくしてもらってて…
信頼してもらってるとは思うけど、同居してるってわかったらそれはまた別の話になるような気が…、、
俺たちがいくら何もないって言ったって、側から見りゃ一応男と女なわけだし。
❀「怪しまれないように明日荷物取りに行かなくっちゃ!」
岩「……。」
俺は❀❀の隣に静かに腰掛けた。
岩「あのさぁ。」
❀「うん?」
岩「お前って…、男女の友情は成立する派?」
❀「へ?何よいきなり。」
岩「いや、今日さ、そんな話になって。」
❀「ふぅん?だってまさに成立してるじゃん、ココ。」
❀❀は自信満々に俺たちの間を指差した。
岩「ですよねぇ。」
❀「うん。剛典ってヘタな女友達より話合うし仲良いと思う。」
岩「ぶっw」
俺とおんなじこと思ってるやw
❀「女の親友はマヤだから、剛典は男の親友!」
誇らしげにそう言ってくれた❀❀がなんか嬉しくて、俺は思わず❀❀の頭を撫でた。
岩「だな、親友だな。」
❀「おう!」
岩「たまに妹みたいでもあり。」
❀「はぁ?なんであたしが妹なのよ!同い年でしょーが!てか誕生日的には剛典の方が遅いんだから剛典が弟でしょ!」
岩「ぷぷ…っw」
こうやってムキになるところが子供っぽいんだよなw
岩「はいはい、じゃあ俺が弟でいいですよーw」
❀「何その譲ってやった俺、大人感!ムカつくーー!w」
岩「あはははw」
なんかほんと家族みたいに距離感近いんだよな。
だから一緒にいてもほっとして落ち着くし。
気を遣わなくていいからラクなんだ。
岩「今日の弁当も大変美味しゅうございました。」
❀「えっへんw」
岩「みんなにジロジロ見られたけどw」
❀「みんな?」
岩「うん。今日久々にメンバーと一緒の現場だったから。」
❀「あ、そうなんだー。」
ちなみに❀❀は芸能界に興味なさすぎて、EXILEと三代目がどっちがどっちかもよくわかってないレベル…w
俺が二つのグループに所属してることも、部活の掛け持ちみたいなもんだと思ってるしw
❀「剛典の職場って一回見てみたいなー。」
岩「え、マジで?なんで!?」
こいつからそんな言葉が飛び出すとは!
❀「なんでって…、自分と違う職種っていうか自分の知らない世界ってそれだけで面白くない?興味あるー。」
岩「へぇ…。」
ちなみに❀❀は現在、無職。
転職活動を始めようとした矢先に水漏れ被害に遭ったという、とんでもなくツイてない女。
岩「お前は次どんな仕事すんの?」
❀「いろいろ探してるんだけどねー。あまりピンとくるものがなくて。」
岩「そっか。」
❀「今までブラックだっただけに、せめて一ヶ月くらいはゆっくりしたいしねー。」
岩「いいんじゃん?ここにいれば家賃もかかんないし。」
❀「ほんとにいーの?」
岩「いーよ?」
❀「もう、剛典ってばほんといいヤツ!明日も美味しいお弁当作ってあげるー!w」
岩「ありがとうございまーすw」
❀❀は笑いながら俺の頭をワシャワシャと撫でてきた。
そう。
ほんと❀❀との生活は快適なんだ。
一つだけ難があるとすれば、好きな時にオナれないこと。
だから仕方なく、トイレとか風呂場で済ませてるけど。
さすがに女も連れ込めないから、そーゆー時はホテルか相手の家になるかなぁ…。
❀「へへ、剛典あったかぁーーいw」
岩「はいはい、湯たんぽ岩田ですよw」
❀「あははは!それ商品にしたらめっちゃ売れそう!w」
岩「湯たんぽ岩田がぁ?w」
❀「うん!絶対ヒットする!等身大の剛典人形でね、お湯入れれるようになってるの!」
岩「どんだけデカイんだよ!w」
❀「抱き枕にもなって一石二鳥!どう!?」
岩「じゃあ今度のメンプロそれにするわw」
❀「あはははw」
なんて笑いながら、俺にくっついてすぐスヤスヤ寝ちゃうんだよこいつは。
やっぱ子供みてぇだなw