「僕のカレンダー」~素人が書いたありのままの刑務所日記と壮絶な過去
第1章 第1章~はじめに~
2014年8月9日午後3時31分、たった今から僕はこの小説を書き始めた。一年で一番嫌いな梅雨もようやく明け、本格的な夏を迎えている。そして、太陽は容赦なく毎日のように強い陽射しを照りつけている。当然、エアコン無しでは耐えられないような暑さである。僕は今、エアコンの効いている涼しい部屋で着々とペンを進めているが、つい数日前までは、エアコンなど到底考えられないような事だった。それは、どんなに暑かろうと耐えるしかないという地獄のような所で生活をしていたからである。今、この机の上には僕の好きなタバコと缶コーヒーが置いてある。もちろん、僕自身が置いたのであるが、目の前にタバコと缶コーヒーがあることにとても違和感を感じている。そして、タバコ、缶コーヒーだけでなく、辺りを見回すと視界に入ってくる、ごく普通の家庭には必ずある家電や家具などがあること自体がまだ見慣れいない感じがする。なぜ、そう感じてしまうのか。社会で普通に生活をしていれば、まずそんなことは思うことはないはずであるのだから。しかし、僕が数日前まで生活をしていた、とある施設ではそんな一般常識を覆すように殆んど規則によって強制的に使用は認められなかった。そして、そこでは人間の基本的人権として憲法で定められている自由でさえも、法律によって規制を設けられていた。その施設とは「社会復帰促進センター」と名を称する、いわゆる「刑務所」である。そう、僕は3日前まで懲役受刑者として刑務所に収容されていた。現在は、社会にいるものの仮釈放中であり事実上は、まだ受刑者である。では、なぜ刑務所に収容されていたのか。それは、罪を犯したからである。では、なぜ罪を犯さなければならなかったのか。今回、この事件の真相、そして逮捕後からの今日までの経緯や出来事、更に罪を犯すまでに歩んできた波乱万丈とまでは言えないが、普通の一般社会人では中々経験することのないような、ある意味豊富な人生経験をありのままに書いていこうと思っている。これまでに、歩んできた僕の人生、決して良い人生とは言えない。むしろ、最悪なことばっかりだった。過去に何人かの知人に僕の人生経験を語ったことがあるが、みな、決まって言うのは「本にしたら売れるよ。」と、必ずいう。自分でも普通ではないと思っていたが、他人から見れば、酒のつまみになるぐらいおもしろい話もあれば、興味深い話もあるらしい。
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