ピンポンとカラオケとマージャンで全てが決まる娯楽極楽世界 宮野蹴鞠著
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発行者:宮野蹴鞠
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:卓球カラオケ麻雀

公開開始日:2017/12/03
最終更新日:2018/02/01 23:44

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ピンポンとカラオケとマージャンで全てが決まる娯楽極楽世界 宮野蹴鞠著 第2章 第一章:万屋ギルド・ダンディー
◆白熱のバトル!?

 翌日の朝練、スクールをこなし、昼飯から戻ると、

「おい、ジュニア。そろそろ初仕事してもええ頃や、これ片付けてこい」

 昼間から酔っ払ったオーナーが依頼書を一枚、ひらひらとさせた。

*

【依頼書:万屋ダンディー様】
【畑を荒らすゴブリンを退治して下さい。数は6匹です】
【報酬:13,000円】

 あとは依頼人の名前と地図が添付されている。
 13,000円っていうたら土木作業の日当くらいか‥‥。

 ゴブリンと言えば最初の雑魚モンスターとしてファンタジー世界の定番やけど、オレには剣も魔法も無い。
 西部劇でお馴染みの拳銃も無い。
 どないして戦えっちゅーねん!

「何をボケッとしとるんや、はよ行け」

「は、はい‥‥」

 オーナーの眼力に逆らう事などできず、オレはチャリで現地へと向かった。

*

 この家やな‥‥確かに畑が荒らされとる。
 インターホンは無いみたいで、ノック。

「ダンディーから来たノリっちゅう者ですけど‥‥」

「さすがダンディーは手配が早いな、ほな宜しく頼んまっさ」

「は、はい‥‥」

 しゃーない、畑の見張りするかぁ‥‥冬やし寒いなぁ。

*

《《GoBu‥‥GoBu‥‥》》

 暫くすると5匹のゴブリンと1匹のホブゴブリンが出現した。
 ホブゴブリンがボスか、これも定番やな。

 ええい、ままよ!

「オラッ! 畑荒らすんやめんかい!」

 言葉が通じるかは分からんけど、畑の前に立ちはだかる。

《HoBuGoBuッ!》

《《GoBuGoBuッ!》》

 ボスの命令(?)でゴブリン5匹が戦闘態勢に入る。

 アカン、絶対ボコられる!
 と思った瞬間、目の前に卓球台が出現した。
 ゴブリン5匹はラケットを構える。

 そして、オレの服が下に着てる卓球ルックになりよった!?
 Oh~寒くなーい♪

「なんじゃこりゃ!? やったろうやんけ!」

 ラケットを持つとピン球が現れた。
 どうやらサーブ権はオレらしい。
 ダブルスの5人バージョンやろか?
 となると、左側にサーブを入れたらええんかな。

 卓球台の中心線に身体を合わせて、足を大きく開く。
 ピン球を持つ左手をパーにして相手に見せ、やや前傾姿勢で右側に構える。
 レシーバーのゴブリン1がこっちに向いて構える。
 守備位置が台に近いな。

 わざとラケットを下斜め45度に構える。
 下切りのカットサーブ予告みたいなもんやけど、ピンポンは、そんなに甘くない。
 って、まだピンポン歴4ヶ月半のオレが言うても説得力ないけどな。

 静まり返る中、トス。
 プレイ中は騒がないというのはピンポンでは当たり前。
 ゴブリンでも卓球マナーくらいは知っているらしい。

 顔までの高さ、やや自分方向にトスが上がる。
 まだ、バラつくんはしょうがない。

 斜めに振り下ろしつつ、目線は卓球台自分側の縁ギリギリ。
 低めの位置で90度にしたラケットで手首のスナップを利かせて弾く。
 そのまま斜め45度で振り上げるフェイク。

 親父から伝授されたV字サーブ!
 カット・ナックル・ドライブを同じフォームで打てる。
 オレが選択したのはスピード重視のコーナーを狙ったナックル!
 って言うても、オレの実力やと大したスピードは出ないし、フェイクも子供騙し程度。

 ワンバウンド目は目線の自分の台の縁。
 まあまあのスピードで飛んでいくピン球と台全体を見渡せる守備位置に即座にステップ。
 狙いより、ちょっと手前にツーバウンド目。
 まだコーナーを狙えるほどの正確なサーブなんて出来ない。

 しかし、所詮ゴブリンなのか、詰まった体勢で辛うじて打ち返してきた球はチャンスボール!
 慌ててゴブリン1が守備位置から移動して、次のゴブリン2が守備位置に入る。

【スマッシュ!】

 無理せず、入れる事を重視した本気の50%くらいのスマッシュ。
 安全に相手コートの真ん中を狙う。
 だいぶズレたけど、そこそこのスマッシュが突き刺さる。

 ゴブリン2は見事に空振り。

「ワン・ラブ」

 どこからか女性らしき声。
 空中に表示された得点ボード。
 こういうトコはファンタジー世界っぽいな。

 サーブは二本交代なので、もっかいオレのサーブ。
 守備位置にはゴブリン3。
 そこらは特殊ルールなんかな?

 今度はカットサーブをすると、ゴブリン3は無難に突っついてくる。
 下手くそで切れてないチャンスボール!
 右足を球筋に合わせ、ラケットを下に溜めて‥‥左足を踏み込み、

【ドライブスマッシュ!】

 所謂(いわゆる)三球目攻撃と言われる流れ。
 アイ・コーチに伝授された、その名の通り、ドライブとスマッシュのイイトコ取りの決め球!
 まだ伝授されてから日の浅いドライブスマッシュも確実性を重視。
 ゴブリン4がブロックし損(そこ)ねて、ピン球は明後日の方向へ。

「ラブ・トゥー」

 次はゴブリン5のサーブやな。
 点数はサーブ側から宣言される。
 ・
 ・
 ・
 下手くそ同士の試合は割愛して、11-4で勝利!

*

 今度はカラオケセットが出現。
 どうやらピンポンは1セットマッチらしい。

 先攻はゴブリンっぽい。
 選曲された歌は、知らないゴブリン語(?)で合唱してる。

 採点モードらしく、69点。

「ふはは、これは貰ったで!」

 オレのカラオケ・アベレージは90点くらいやからな!
 ロックのラブソング[愛してよ、愛してる]を選曲。

「オレはきっと愛をもっと出せる~♪」

 採点結果は92点!

 すると、ゴブリン5匹が消えてチャリンと硬貨が落ちてきた。
 ホブゴブリンを警戒しつつ拾う。

 50円玉やな‥‥ゴブリン5匹分の戦利品か?
 とりあえず財布に入れとこう。

 そして、ホブゴブリンがラケットを出すと、また卓球台が出てきた。
 ピン球(サーブ権)はホブゴブリンが持ってるようやな。
 ザコならオレのサーブ、ボスなら敵のサーブかもしれん。

*****
【モンスターデータ】

ゴブリン:背の低い最弱の雑魚モンスター、数だけは多い。卓球Lv1、カラオケLv1、麻雀Lv1。

ホブゴブリン:普通の人間より一回り大きい。卓球Lv3、カラオケLv1、麻雀Lv2。
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