〜〇〇side〜
隆「お弁当ありがとう…。」
〇「あ、はい…っ」
夜までかかったレコーディングがやっと終わって、今市さんを迎えに行ったら…
今市さんはなんだかやつれきってた。
隆「お昼…一緒に食べたかったのに、どこ行ってたの?」
〇「あ…っ」
隆「気付いたらいなかった。シロちゃん…。」
〇「ごめんなさい…っ」
隆「俺に何も言わずにいなくなんの、やめて…?」
〇「…は…い…、」
疲れてるからいつもより低い声なのかな…。
なんか少し…、今市さんが怖い…。
最近たまに、そんな風に感じることがある…。
次の日はロケ撮影の仕事が入ってて…
外の空気を吸える方が、今市さんもリフレッシュできるかなって思った。
隆「へへ、今日もシロちゃんのお弁当だーー♡ いただきまーす♡」
〇「はい♡」
やっぱり。気分転換になったのかな。
今日は今市さんが笑ってくれてる。
隆「ほんとシロちゃんのご飯って美味しいなぁ。お嫁さんに欲しいくらい。」
〇「ええ!?w」
隆「へへへ♡」
そんな冗談も、前の私だったらすごくドキドキして喜んだんだろうな…。
隆「ねぇ、友達ってまだいるのー?」
〇「あ、はいっ。」
隆「帰ったら教えてね?」
〇「え?」
隆「そしたらシロちゃん、ご飯作りに来てくれる?」
〇「……。」
そうだよね…。
ずっと友達が来てるなんてさすがにおかしいかな。
隆「あ、ごめんごめん、困った顔しないでw 別に友達追い出せって言ってるわけじゃないから!」
〇「あ、はい…。」
隆「ずーっと泊まってるんだもん。仲良い子なんでしょ?」
〇「……はい。」
それが登坂さんだなんて…言えるわけもなくて…
嘘ついて…ごめんなさい。
次の日は、ロケじゃないけどスタジオで雑誌の撮影と取材が入ってて…
隆「お弁当おいしーーーーっ♡」
今市さんはまた調子が良かった。
今市さんが笑ってくれるとほっとする。
隆「シロちゃんのお弁当、もし売ってたら俺絶対買うな。」
〇「何言ってるんですかw」
隆「ほんとだって!絶対売れるよこれ!みんな食べたいと思う!こんなに美味しいんだから!」
〇「ありがとうございます///」
そこまで言ってくれると嬉しいな。
〇「今市さんは買わなくたって私がちゃんと作りますから大丈夫ですw」
隆「……特別?」
〇「そうですよ、私は今市さんのマネージャーなんですから。」
隆「へへ、ありがと♡」
もしかして今市さんは…歌の仕事じゃない時は笑顔が多いかもしれない。
ふとそんなことに気が付いた。
〇「あ。」
ポッケの中で振動してる携帯を取り出したら、お母さんからだった。
〇「ふふ♡」
隆「あー、何笑ってんのー。」
〇「可愛い写真が届いたんです♡」
隆「あ、わかった!シロとクロでしょ!」
〇「ええっ!覚えててくれたんですか?!」
隆「当たり前じゃーーん♡」
〇「お母さんが送ってきてくれました♡」
隆「俺にも見せて見せて♡」
〇「はいっ♡」
二人が仲良く寄り添ってる写真を今市さんに見せたら、今市さんの目元はふにゃーーんと優しくなった。
隆「相変わらず可愛いねぇ〜、へへへ♡」
〇「とっても可愛いんです♡」
隆「これっていつもお母さんが送ってきてくれるの?」
〇「はいっ!」
隆「また届いたらさ、俺にも見せてよ♡」
〇「え?」
隆「俺もファンだもん、この子たちのw」
〇「あははは、わかりました♡」
嬉しいな、そう言ってくれて。
隆「……はぁ、明日はレコーディングか…。」
〇「……っ」
昼間は元気だったのに、帰りの車では深いため息をついた今市さん…。
やっぱり…歌うことがしんどいのかな…?
隆「なんか俺…、不安定でごめんね…?」
〇「いえ…っ!」
今市さんも自覚してるのかな…。
そうだよね、不眠も続いてるって言うし…自分で一番わかってるよね、きっと。
一番つらいのは今市さんなんだ。
〇「よしっ!じゃあ明日のお弁当にはデザートも付けちゃいます!♡」
隆「ええっ!うっそー!ほんとに?!」
〇「はいっ♡」
隆「えーー!えーー!楽しみすぎるーー!!♡」
良かった、今市さんが笑ってくれた。
隆「デザートもシロちゃんの手作りってこと?」
〇「もちろんです♡」
隆「やったぁぁぁ♡」
私に出来ることなんて、これくらいしかないから。
本当は…キスだってもうやめたい。
そうじゃなくて…
キスなんかしなくても、今市さんの力になれるようになりたいから。
〇「着きましたよ。」
隆「ありがと。」
〇「……っ」
でも今市さんは今日も…当たり前のように私の唇を求めてくる。
隆「ん…、もうちょっと…、///」
〇「……っ」
お互いに気持ちがないのに、こんなことを続けるのはおかしいって…わかってるから。
どうか今市さんが…元の今市さんに戻ってくれますように…。
臣「お…?何作ってんのー?」
〇「明日のデザートです。」
臣「おおお!俺の分は?」
〇「もちろんありますよー♡」
ぎゅっ♡
〇「わっ///」
臣「へへ、やった♡」
〇「////」
急に抱きしめられちゃった…。
臣「でも明日またレコーディングだもんなぁ。バレないようにまた一緒に食う?」
〇「あ…っ」
どうしよう。
そうしたいけど…、
前に登坂さんと抜け出した時…、、
“お昼…一緒に食べたかったのに、どこ行ってたの?俺に何も言わずにいなくなんの、やめて…?”
今市さん、怒ってた…。
〇「えっと、じゃあ!明日は私、久々のアホキャラで行きます!」
臣「え?!w」
〇「登坂さんもいる日だからまた二人分作ってきちゃいました〜!てへっ!って。」
臣「……わかったw」
〇「笑い堪えんのやめてください///」
臣「だってお前大根なんだもん!w」
〇「もぉっ!///」
明日は三人で食べよう。
お弁当とデザート。
どっちにしても、また日中登坂さんに会えるから、ちょっと嬉しい。
だって…
明後日から登坂さんはいよいよ海外だから。
一週間もいないから。
〇「あ…っ、あっ!あぁ…っ!///」
こんなに毎日抱いてもらって…こんなに毎日登坂さんと一緒にいるのに…
〇「やぁ…っ!気持ちぃ…っ!///」
そんな登坂さんが一週間もいないなんて、なんか想像できない。
私…、大丈夫かな…。
臣「……お前…、可愛すぎなんだけど…///」
〇「はぁっ、はぁっ…、///」
甘く甘く、やさしくて…あったかいぬくもり…。
〇「もっと…、ぎゅぅ…///」
臣「はいはい///」
どんなに抱かれても、キリがないほどに求めてしまう。
登坂さんは…私と一週間も離れて、どうするんだろう…。
きっと私の知らないところで、いっぱい誘惑されてると思うんだ、女の人に…。
〇「……だ…め、…っ///」
臣「え、何が?///」
他の人とこんなこと、しないでほしい…。
そう思ってしまって、登坂さんにしがみついた。
前は登坂さんに言わされた感があったけど…、でもやっぱりあの時から、それが私の本音なんだ。
他の人とキスしないでほしい。
エッチしないでほしい。
臣「何泣いちゃってんの?///」
〇「……っ///」
臣「また気持ちぃの?///」
〇「……コクンッ///」
気持ち良くて、登坂さんのことしか考えられない。
いっぱいいっぱい満たされて、切なくて、幸せで…、、
臣「……今日、おさまんないかも…///」
〇「コクン///」
臣「いい…?///」
〇「コクン///」
いくらでも、こうしてたい。
登坂さんの腕に、抱かれていたいの。
.
.
.
.
プチ。
〇「ありがとうございます。」
臣「……。」
〇「ん…?」
いつも通りブラをつけてもらったら、登坂さんが私の背中をじっと見てた。
〇「どうしたんですか?」
臣「いや、俺が留めてやったけど、また俺が外すかもなーって思って。」
〇「え?!///」
臣「ほら、今日。」
〇「////」
今日はまた久々に現場が一緒だけど…、、
臣「ちゃんとパンツ持っとけよ!」
〇「////」
またそういうことに…なるのかな?///
いや、でも!!
今日は三人で食べるつもりだし…!!
臣「はい、完成!」
〇「ありがとうございます!」
髪も綺麗に巻いてもらった。
臣「伸びたな、髪。」
〇「あ、やっぱり思いますか?切ろうかと思ってます。」
臣「え、なんで?!」
〇「え、…伸びてきたから。」
臣「いいじゃん!長いの似合ってるじゃん!」
〇「え…っ」
臣「切んなよ、もったいない。」
〇「……わかり…ました///」
って私は何をあっさり言うこと聞いてるんだ///
臣「俺、長いの好き。」
〇「はい、///」
じゃあ切りません///
それからいつも通り一緒にエレベーターを降りて、キスをして別れた。
私は今市さんの家へ。
今日は言ってた通り、デザートも持ってきたから…今市さん喜んでくれるといいな。
〇「おはようございます!」
隆「……ん、おはよ…。」
〇「!!!」
どうしよう…
今市さんがまた元気ないよ…っ
隆「今日…行きたくない。ダメ…?」
〇「……っ」
それは…歌う仕事だからですか…?
〇「納期を確認しないと今の時点ではなんとも…」
隆「ごめん、わかってる。ちゃんと行くよ。」
〇「……。」
大丈夫かな、今市さん…。
〇「着きましたよ…。」
車を事務所の駐車場に入れると…
隆「今日…まだキスしてない。」
〇「……っ」
そう言われた私は、そっと今市さんにキスをした。
隆「足りない。」
〇「……っ」
隆「ちゃんと、舌出して?」
〇「……っ」
言われた通りに舌を絡めたら、今市さんは私の後頭部に手を回して、もっとキスを深めてきた。
〇「んん…ッ!」
息が苦しくて…。
〇「はぁっ、はぁっ、」
やっと唇が離れた頃には、今市さんは何も言わずに無言で車を降りていった。