scarlet
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発行者:新菜
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2020/01/17
最終更新日:2021/07/25 22:41

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scarlet 第59章 優しくしちゃう理由
〜臣side〜





臣「夜はどっか食いに行こっか?」
〇「行きたいところ、ありますか?」
臣「お前は?何食いたい?」
〇「……。」
臣「どこでもいいよ?」
〇「……。」


〇〇は少しためらいがちに、俺をじっと見上げてきた。


〇「……おじさんの…ところ、」
臣「へ!?」
〇「おじさんのご飯…、食べたい///」
臣「おじさんって…、おっちゃんとこ!?」
〇「はい!」
臣「は!?あんなとこでいいの?!」
〇「あんなとこってなんですか!おじさんに失礼ですよ!」
臣「いや、だって…、、」


ちょっともじもじしてるからどんな高い店リクエストしてくんのかと思ったら。
おっちゃんの店かよ…w


臣「……お前って…ほんと可愛いな…?w」
〇「え!?///」


なんか愛しくなって、思わずおでこにチュッとキスをした。


臣「じゃあ行くか、おっちゃんとこw」
〇「はい///」


〇〇はおでこに手を当てて、嬉しそうに笑って俺についてきた。


臣「今日は俺が運転しよっかな。」
〇「ええっ!?」


〇〇の声が駐車場に響いた。


臣「なんだよ、声でけぇよw」
〇「私が運転しますよ!」
臣「だって…オフだし。」
〇「オフがなんか関係あるんですか?」
臣「……。」


いつもの運転席と後部座席、じゃなくて…
お前を助手席に乗せて走りたいんですけど…?


臣「いつも運転してくれてるから。」
〇「だから今日も私が運転しますよ!」


ごちっ。


〇「いたっ//」
臣「オフの日くらい仕事モードやめろ。」
〇「え…?」
臣「おとなしくそっち乗れ。」
〇「////」


俺がバタンと運転席に乗り込むと、〇〇は静かに助手席のドアを開けた。


〇「こっち…ですか?///」
臣「おう。」
〇「乗って…いいんですか?」
臣「早くしろ。」
〇「はい、///」


俺はエンジンをかけて、隣に座った〇〇の手を握った。


〇「ほぇ!?///」
臣「ぷっ、何そのまぬけな声!ww」
〇「だって…いきなり手、繋ぐから…///」
臣「文句あんの?」
〇「ない…です、///」


それから俺たちはおっちゃんの店を目指して出発した。


〇「登坂さんは…、」
臣「ん…?」


赤信号で止まると、〇〇がやっと口を開いた。


〇「運転する時は…いつもこういうスタイルなんですか…?」
臣「……こういう、って?」
〇「あの…、その、……ずっと…手を繋いでるのかな…って///」
臣「あ、いらなかった?」
〇「あ、やだっ!」


俺が離しかけた手を、慌てて〇〇が握ってきた。


〇「……いり…ます///」
臣「そうですかw」
〇「////」


〇〇は少し照れたように、でも嬉しそうに。
俺の左手をにぎにぎしてる。

たまにはいいな、こんなのも。

飯食ったらそのままドライブでも連れてってやるかな。


臣「ん…?」
〇「あ、いえ!///」
臣「……。」


なんかさっきからチラチラ視線を感じるんだけど…。


臣「何見てんだよ。」
〇「見てませんけど!?///」
臣「見てんじゃん。」
〇「……鼻、高いなーって思って…。」
臣「なんだよそれ!w」


ずっと俺の鼻、見てたわけ?!w


〇「綺麗だなー、羨ましいなーって。」
臣「俺いっつも横顔ばっかり褒められんだけど、なんなんだろw」
〇「だから鼻が高いからですよ!少しは私に分けてくださいよ!」
臣「別にお前、低くないじゃん。」
〇「割とペチャですけど…。」
臣「そーお?俺に食われてなくなったんじゃない?w」
〇「じゃあもう二度とかじらないでください!///」
臣「あはははw」


なんてふざけてるうちに、すぐに着いたおっちゃんの店。


男「おおお!臣ちゃんと〇〇ちゃん!!」
〇「わ、名前覚えててくれたんですか?嬉しい!」
男「当ったり前だろ〜〜、臣ちゃんが初めて連れてきた女の子なんだから!しかもこんなかわい子ちゃん!」
臣「は?かわい子ちゃん?どこにいんの、そんなん。」
〇「……。」
臣「いってぇ!」


前回と同じく、脇腹にパンチを食らいました。


男「あっははは!ほんと最高だな、〇〇ちゃん!w」


おっちゃんは嬉しそうに笑ってるし。


〇「もう無性におじさんのご飯が食べたくなっちゃって♡」
男「おお、嬉しいね〜!なんでも作ってあげるよ〜!w」
臣「じゃあ今日はお任せにしよっかなー。」
男「なんでもいいのかい?w」
臣「うん!」
男「よし、じゃあ色々出してくよ!」


俺はおしぼりで顔を拭いて、ぷはーっと一息ついた。


〇「登坂さんでもそういうおじさんくさいことするんですね。」
臣「え、おじさんくさかった?w」
〇「仕事帰りのサラリーマンがよくやるじゃないですか、顔拭いてぷはーって。」
臣「確かにw」
〇「私あれ見ていつもいいなーって思うんですよ。」
臣「え?」
〇「気持ち良さそうだもん。女だって拭きたいですよ。特に夏とか。」
臣「拭きゃいいじゃん。」
〇「化粧取れるでしょーが!!」
臣「ああ、そっかw」


まぁ俺らもメイクしてる時は思いきり拭けないし。それと一緒かw


男「今日は仕事だったのかい?」
臣「ううん、俺もこいつも休み。」


おっちゃんが先付けを出してくれた。
イクラが美味い。


男「仲良く休みだったのかい!せっかくのデートがこんな店でいいのかい?!」
〇「デ、デートじゃないです!///」
臣「こいつのリクエストなんだもん、ここがいいってw」
男「いんや〜〜!ほんと〇〇ちゃんはイイ子だ!!」
臣「あはははw」
〇「あ、リーダーから電話だ。ちょっと出てきますね!」
臣「ああ、うん。」


〇〇が席を外すと、おっちゃんがニヤニヤしながら俺を見た。


男「いい加減、付き合ったのかな?w」
臣「だからそんなんじゃないっつーの///」
男「どっからどう見てもラブラブだけどねぇ。」
臣「全然違うし!///」
男「だって臣ちゃん、丸くなったよ。」
臣「え…?」
男「前回来た時も思ったけど、今日も。そんな優しい顔してる臣ちゃん、初めて見たよ、俺。」
臣「……は?///」
男「あの子と話す時、ほんと優しい顔してる。」
臣「してないし!!///」
男「はっはっは、自覚なしか!それもまたいいねw」
臣「////」


意味わかんねぇし。
何言ってんだおっちゃんは。


臣「……たまに…、」
男「ん?」
臣「…自分でも…、思う時は…あったりする…けど…、///」
男「……。」


すげぇ優しい声で…甘やかすように喋ってる時があったり…、

気付いたらなんでだよって自分でもツッコミたくなるくらい、優しくしちゃってたり…とか、


臣「自分でもわかんねぇんだもん…///」
男「わかんないの!?」
臣「え?」


おっちゃんが少しびっくりした顔で俺を見てる。


男「なんでか、理由わかんないの?!」
臣「……っ」


え、逆に何?
おっちゃんにはわかるわけ?


臣「…なんなの…?教えてよ…。」
男「……っ」


おっちゃんはまた目を丸くしてる。


〇「すみませんでした。」
臣「ああ、おかえり。」


〇〇が戻ってきたから、おっちゃんは口を閉じちゃって。
でもうんうん頷いて優しい目をして俺を見た。

なんなんだ!?
意味わかんねぇし!!


〇「どうしたんですか?」
臣「ああ、いや…、、……リーダーなんだったの?」
〇「あ、えっと…、明日のお弁当よろしくって。」
臣「へ!?」
〇「……今市さん、今日ご機嫌ナナメだったみたいで…、明日はお弁当作ってあげてね、という用件でした。」
臣「……。」


リーダーから頼むようなことかよ。
こいつは家政婦じゃないんだっつーの。


〇「登坂さんも…また明日から食べてくれますか?」
臣「え?」
〇「お弁当。」
臣「うん。食べたい。」
〇「じゃあ作りますねっ♡」
臣「……っ」


〇〇の顔がパッと明るくなった。


〇「あ、お母さんだ。」
臣「ん?LINE?」
〇「はい!」
臣「シロとクロか?w」
〇「はい、写真きました!♡」


〇〇が見てる画面を一緒に覗き込むと…


臣「ぶはっww」


二匹はほっぺをくっつけ合って伸びきって寝てた。


臣「こんな感じ?w」


俺が真似して〇〇に頬を寄せると、


〇「こんな感じです♡」


〇〇も俺にほっぺを寄せてきた。


臣「////」


くっついたほっぺとほっぺに、思わず照れる。


男「おっ、なんかイチャイチャしてるなぁ〜〜?w」
〇「えっ!!///」
臣「別に…してないし///」
男「ほいよ、お待たせ!」
〇「わぁ、美味しそう〜〜!!♡」
男「いっぱい食べてね!」
〇「ありがとうございますっ♡」


〇〇は嬉しそうに料理を頬張ってる。


臣「この後はどっか行きたいとこある?」
〇「ふぇ??」
臣「ぷっw」


口の端にソースついてるしw


臣「お子ちゃまかw」
〇「んんっ///」


ぺろっと舐めてやったら、〇〇は喉に詰まらせたのか胸をドンドン叩いてる。


〇「ありがとう…ございました///」
臣「おう。」
〇「行きたいところ…、特にないです。」
臣「せっかくのオフなのにぃ?w」
〇「登坂さんこそないんですか?」
臣「……お前が喜びそうなところ。」
〇「え!?」
臣「に、連れてってやりたいんだけど。」
〇「……っ」
臣「俺が行きたいとこは別にないかなー。」


お前の笑顔が見たいだけだし。


〇「私が…喜ぶのが…目的なんですか…?///」
臣「え?うん。」
〇「////」


なんで?
俺なんか変なこと言った??


臣「////」


あれ、言ったのか!?


〇「だったら…、私は…登坂さんと一緒にいたら楽しいので、それだけでいいです…///」
臣「……は?///」


何言ってんだコイツは。


臣「欲のねぇヤツだな///」
〇「そんなこと…ないもん…///」


だったら予定通りドライブでいいか。


臣「星でも見に行くー?」
〇「ええっ!?///」
臣「……っ」


何気なく言ったのに、〇〇の顔がめっちゃ輝いた。


臣「嬉しい…の?」
〇「見たい…です///」
臣「あっそ///」


なんだよ。
そんな喜ぶなら最初から言えっての///


男「そっか〜〜二人はこの後、星空デートかぁ♡」
〇「だからデートじゃ…っ///」
男「デートじゃないの?二人で星見に行くのに?」
〇「////」
男「いいなぁラブラブで。羨ましいな〜〜w」
臣「もういいから!お勘定!///」
男「はいはいw」

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