scarlet
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発行者:新菜
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2020/01/17
最終更新日:2021/07/25 22:41

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scarlet 第3章 悲しみの涙
〜〇〇side〜





あの日以降、登坂さんは私とどこか距離を置くようになって…なんだかずっと避けられてるような気がしてる。


今市さんにお弁当を作る日は登坂さんにも渡してるんだけど…
それもそっけなく「ごっそーさん」って返されるだけ。


そんな態度に、少し傷ついてる自分がいることには、気付かないフリをして過ごしてる。


一方、今市さんは…
今まで通り…というか…///

毎朝、迎えに行った時と、帰りに送る時に、車の中でキスをする。


それだけの関係が、ずっと続いてた。


佐「昨日さ、初めて山下さんに褒められちゃった///」
〇「え!そうなの!?」
佐「大分仕事慣れてきたやーん、気が利くやーん、ってw」
〇「あはは、山下さんらしいね。よかったね、佐藤くんw」
佐「うん、なんかすげぇ嬉しかった///」


佐藤くん、いつも一生懸命頑張ってるもんね。


佐「シロちゃんの方はどう?」
〇「私は変わらずだよー。毎日バタバタあっという間に過ぎてく感じ。」
佐「ね、時間は常にないよねw」
〇「うん。」
佐「今市さんとは…、その…、どうなの?」
〇「えっと…、……変わらず、です///」
佐「片想い…継続中ってこと…?」
〇「……コクン///」
佐「そ…っか。」


佐藤くんには今市さんとキスしてるところを偶然見られちゃったから、私の気持ちを伝えてあるんだよね。

だから…
私が今市さんを好きだってことを知ってるのは、登坂さんと佐藤くんだけ。


最近は…登坂さんに避けられてるせいで、今市さんのことを誰にも相談できなくて、ちょっとモヤモヤしてる。


「ま、今まで通り相談くらいは乗ってやるよ、気が向けば。」


って言ってくれてはいたけど…、とてもそんな雰囲気じゃないんだもん…。


佐「登坂さん…は…?」
〇「え?」
佐「どう…なの…?」
〇「どう…って?何も変わらずだよ?仕事では相変わらず俺様でこき使われてるし…」
佐「そうなんだ…。なんか前より二人に距離ができた気がしてて。外から見てると。」
〇「……っ」


佐藤くんって…よく見てるんだな。


〇「まだまだ登坂さんの期待に応えられるだけの仕事は出来てないのかも、私。もっともっと頑張るよ!」
佐「俺も頑張る!山下さんにもNAOTOさんにも認めてもらえるように!」
〇「うん、一緒に頑張ろう♡」
佐「うんっ///」


佐藤くんと二人で気合いを入れ直して。


仕事に戻って今市さんの様子を見に、レコーディングルームへ向かうと…


バタン!!


隆「はぁ…っ」


すごく険しい顔をした今市さんが、勢いよく中から出てきてびっくりした。


〇「えっと…、」
隆「……っ」


今市さんは私に気付くと、そのまま私の腕を鷲掴みにして、隣の部屋に入った。


〇「今市さん…!?」


ガチャ!


今市さんは部屋の鍵を閉めた瞬間、私を壁に押し付けて…


〇「んん…ッ///」


気付いた時には、唇が塞がれていた。


……何かをぶつけるような、荒々しいキス。


こんなの、初めて。

今市さんのキスは…いつも優しいのに…。


〇「…っ、ん…、ふっ///」


あまりに激しいから、受け止めるのに必死で、苦しさに息が漏れる。


隆「はぁ…っ」
〇「……どう…したんですか…?」
隆「いいから…癒してよ…」
〇「ん…むっ///」


またキスで塞がれた唇に、熱い舌が強引に割り込んでくる。


ピチャ、っ…くちゅ、


れろれろ滑るように追いかけられて、捕らわれる舌。


気が遠くなるくらい、キスした後…、、

今市さんは私を力強く、抱きしめた。


隆「ごめん…すげぇむしゃくしゃしてた…」
〇「……っ///」


酸欠で、頭がクラクラする。


隆「シロちゃんに甘えて…ごめんね?」


そう言った今市さんは、もういつもの今市さんだった。しょんぼりと私を見つめてる。


〇「大丈夫…ですよ…///」


私は今市さんの頭をそっと撫でた。

私なんかが今市さんのイライラやむしゃくしゃを、少しでも解消できるなら、そんな嬉しいことはない。


〇「好きに…してください///」


今市さんのためなら、なんでもしたいから。


隆「……ほんと…ごめん、こんなことして///」
〇「大丈夫です///」


今市さんはお詫びのキス、と言いたそうに、私のおでこに優しいキスをして、隣の部屋に戻っていった。


〇「……はぁ、///」


何か…思い通りにいかないことがあったのかな?明日また…レモンのはちみつ漬け、作ってこようかな…。


なんて考えていたら、その日の帰り。


隆「シロちゃん…お腹空いてない?」


少し申し訳なさそうな今市さんに声をかけられた。


〇「えっと…晩御飯まだなので空いてますけど…」
隆「じゃあ…またお寿司とか、どうですか?///」
〇「えっ…」
隆「今日…あんなとこ見せちゃったし…なんか悪いことしたなって…反省してて…、お詫びというか、なんというか…、、、ダメ?行きたくない?」
〇「行きたいですっ!///」


私が慌てて返事すると、後ろから誰かにぶつかられた。


臣「はいはい、そーゆーのは邪魔にならないとこでやってねー。」
〇「……っ」


登坂さんだった…。


隆「なんだよ臣ぃ〜〜」


今市さんは登坂さんにぶつかられた私の肩を優しく撫でてくれた。


隆「じゃ、行こっか♡」
〇「はいっ///」


嬉しい。今市さんとお寿司。すごく嬉しい。


〇「……。」


今日の登坂さんの送迎はリーダーだけど…なんだか少し気になって後ろを振り返ったら…

登坂さんは後輩の女の子と楽しそうに笑い合ってた。


隆「シロちゃん、どうしたの?」
〇「あ、いえ!なんでもないです!」


私はそのまま、今市さんと二人でお寿司屋さんに向かった。


大「おお!また来てくれたのかい!いや〜〜嬉しいね!」


私のことを覚えてくれてた大将はすごく嬉しそうに顔を綻ばせた。


大「今日もいっぱい食べていきなよ〜〜!」
〇「はい、ありがとうございますw」


前と同じ席に座って、今日は私は車だからお茶をいただいた。


〇「あ、今市さんはお酒飲んでください、大丈夫ですよ!」
隆「ううん、シロちゃん飲めないなら俺も大丈夫。」
〇「気にしないでください!」
隆「ううん、いいの。今日はお酒飲まないでゆっくり話したいし、ね。」
〇「え…っ」


優しく微笑みながらそう言われて、胸がときめいた。


隆「シロちゃんは…最近どう?仕事とか…。」
〇「えっと…精一杯やらせていただいております///」
隆「ちょっと、固いよーーw シロちゃんが頑張ってるのは知ってるけどぉ。何か困ったりしてないかな、って。」
〇「えっ、えっと…大丈夫です!」
隆「ほんと?最近あんま臣と話してなくない?」
〇「い、いえ!そんなことは!」


今市さんにも変に思われちゃってたのかな?


〇「何も困ってないです!大丈夫です!」
隆「……しいて言えば…俺に今日みたいなことされるのが、困るよねぇ…w」
〇「えっ///」


今市さんは少しからかうように私を見た。


〇「あれは…、えっと…、///」


確かにびっくりはしたけど…


〇「困りは…しません…///」
隆「えっ…」


だって…今市さんのことが好きだから。


隆「そんなこと…言われたら…俺、期待しちゃうよぉ?///」
〇「////」


期待も何も…私は今市さんが好きなんです。


隆「なんてね、ダメだよね、シロちゃんに甘え過ぎたら。今日はほんとごめんね?」


今市さんは手を合わせてぺこってした。


〇「あの…さっきシロとクロの写真が来たんですけど…見たいですか?///」
隆「へ!?」


今日のキスのことを、今市さんにそんなに気にしてほしくなくて…私は必死に話題をかえた。


〇「実家の母が送ってくれたんです。すごく可愛いですよ///」
隆「えーー!ハードル上げるじゃーんw 見たい見たい!♡」


今市さんは嬉しそうに私の携帯を覗き込んできた。


〇「縁側でお昼寝してるシロとクロです♡」
隆「え〜〜!何これぇ〜〜!w もう合体してるじゃん!気持ちよさそぉ〜〜!」
〇「はいw」


シロはクロの身体に顔を埋めてて、クロはシロの身体に顔を埋めてて…
二人で仲良くくっついてもふもふしてるんだ。


隆「ラブラブだなぁ♡」
〇「あ、すみません、どっちもオスです。」
隆「えええ!?夫婦かと思ったよー!!」
〇「夫婦!?w」
隆「オス同士でこんなイチャイチャしてんのぉ!?」
〇「そうですよ、仲良しなんですw」


驚いてる今市さんが可愛くて、思わずクスクス笑っちゃったら、ほっぺをむにっと摘まれた。


隆「俺と臣みたいだね、男同士でこんなイチャイチャして。」
〇「えええ!?今市さんと登坂さんもイチャイチャするんですか!?」
隆「ぶふーーっww するわけないじゃん、冗談だよw」
〇「びっくりした…///」
隆「そのリアクション待ってましたw」
〇「もぉ〜〜〜///」
隆「やだよあいつとイチャつくとか気持ち悪い。俺は女の子とイチャイチャしたいですw」
〇「……///」
隆「……って、あ、そういう意味じゃなくて、えっと…///」
〇「////」
隆「////」


なんかよくわかんないけど、恥ずかしくなって、お互い黙っちゃった。


「彼女とイチャイチャしたりしたいもん、俺だって。」


前にも今市さん、言ってたよね…。


今市さんと…、イチャイチャ…、、、


想像しただけで、顔が熱くなる///


隆「シ、シロちゃんはどうなのさ!///」
〇「な、何がですか!?///」
隆「その後、恋愛の方は。」
〇「ええ!?///」


あなたがそれを聞きますか!?

…ってびっくりして声がうわずっちゃったよ…。


隆「実はイチャイチャしてる相手とか…」
〇「いるわけないじゃないですか!///」


私が勢いよく答えると、今市さんはふははってまた無邪気に笑った。


こんな…毎日今市さんとキスしてるのに…他にそんな人、いるわけない。


〇「今市さん…だけだもん…///」
隆「え…っ///」
〇「////」
隆「////」


それ以上何も言えなくて、俯いたら…


隆「……良かった、安心した///」


今市さんはそう言って、カウンターの下で私の手をそっと握った。


〇「////」


ドキドキして、クラクラする。

……今市さんの手、大きくて…あったかい///


私が「今市さんだけ」って言ったら…
安心してくれるんですか…?

その答えにまた期待しちゃう私は
どうしたらいいですか…?


………はっ!


〇「……っ」


確かに…今は今市さんだけだけど…
ちょっと前まで登坂さんとしてたことを、今急に思い出しちゃった。


えっと…えっと…あれは、、
「イチャイチャ」ではないよね?違うよね?

ただの…練習だもん…。

別にお互い、気持ちもないし、イチャイチャではないもん。


私は必死にそう言い訳して、今市さんの手を握り返した。


隆「……シロちゃん…可愛い///」
〇「////」


私はもう、今市さんに後ろめたいことは絶対しない。


今市さん…大好きです///
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