ピンポンとカラオケとマージャンで全てが決まる娯楽極楽世界 宮野蹴鞠著
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発行者:宮野蹴鞠
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ジャンル:ファンタジー
シリーズ:卓球カラオケ麻雀

公開開始日:2017/12/03
最終更新日:2018/02/01 23:44

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ピンポンとカラオケとマージャンで全てが決まる娯楽極楽世界 宮野蹴鞠著 第3章 第二章:史上最弱のドラゴンスレイヤーと幽霊
◆悪霊退治(ボス)

 夜。
 お彩さんの作った夕飯を頂いてから、目的地へ到着。
 古ぼけてるけど、豪邸やなぁ。
 
「鍵は預かっとるよ、入ろか」

 堂々と入っていくナガターニャさんの後ろから、ちょっと腰の引けてるオレに寄り添うお彩さんという隊列(?)で進む。

《侵入者‥‥帰れ‥‥》

「きゃっ」

 姿を見せない、恐ろしい声に、お彩さんがオレにしがみつく。

「大丈夫、オレが守るよ」

 カッコイイ台詞と姿勢がチグハグやけど。

「勝手に住み着いたんはオマエらじゃろが、成敗したる!」

 数珠を手に、お経を唱えるナガターニャさん。
 オレとは別の宗派やな。

《ぐああ、キサマ‥‥》

 二体の霊体がオレの目にも見えるようになる。
 人の形‥‥とは、ちょい違う。
 自然と恐怖感が溢れてくるような姿。

 オレは称号を【卓球ルーキー(半年)】を装備。
 霊能者は【悪霊退散】のままで、効果は、悪霊との戦闘時、全能力Lv+2。

 卓球台が出現。
 ラケットを構えると敵にサーブ権。

《ルーキーだと、取り殺してくれる‥‥》

《そちらの娘も美味そうだ‥‥》

「お彩さんには指一本触れさせへんで!」

 左手で遮るように、お彩さんを庇う。
 図鑑に、悪霊は他の霊体エネルギーを吸収して強くなると書いてあったな。

*

 あっさり、ラブゲームで敗北し、カラオケが出現する。
 先攻はオレ達。
 ナガターニャさんの選曲は[一生の尊敬・女編]!?

「別に何もかもが理想やないけど、ずっと一緒にいたいんよ♪」

 予想外やけど、綺麗な歌声で熱唱‥‥82点!

「女性は皆レディーですね」

「わたくしも歌詞に感動しましたわ」

 二人で拍手。

「残念ながら主人には先立たれてしまったがのぅ‥‥お主が彼女連れでなければ口説いておったかもしれんの」

「それは光栄です」

 となると、オレも[一生の尊敬]を歌うか。
 早口な歌詞もあるし【神速のノリ】を装備。

「この歌をお彩さんに贈る‥‥ええ加減そうなオレやけど、尊敬しあえるキミと共に成長したいねん♪」

 お彩さんを正面にみつめて熱唱‥‥90点!
 合計172点なら、安全圏やろ。
 歌っている間、お彩さんは赤面したり悶たりと可愛らしい反応を見せてくれた。

「お主も‥‥惚れとるのか? ゆめゆめ忘れるでないぞ?」

 ナガターニャさんの耳打ち。

「ノリ様、わたくし悶え死ぬかと思いましたわ!」

 お彩さんはオレの胸をポカポカと叩いている‥‥可愛い。
 つか、もう死んでるのが残念でならない。

 そんなやりとりをしてる間に敵が演歌デュエットを歌い終わる。
 点数は85点‥‥あぶなっ、ギリギリやんけ。

《最近の若者はカラオケマナーがなっとらん‥‥》

《この屈辱‥‥麻雀で晴らしてくれよう》

「これは失礼‥‥」

 紳士道を志すオレとしたことが。

*

 さて、自動雀卓が出現。
 オレが称号を【ドラゴンスレイヤー】にした途端、驚愕する敵。

「フッ、一挙手一投足で手牌が透けて見えてくるで‥‥」

 東二局の親。
 三向聴の国士手か、ここは迷彩かけて、唯一の対子の西を一巡目に切るか。
 まあ聴牌(テンパイ)する前に何か重なるやろ。

 五巡目で一向聴の対子無しから中が重なって、1枚出てる北待ち。
 元々テンパイを隠すポーカーフェイスは苦手。
 いっそ、全開でテンパイ気配を出そう。
 リーチをかけてもいいけど、少し焦(じ)らそうかな。
 他からリーチかかった時に、当たりそうな牌と中を天秤にかけられるしな。

 萬子は一枚も切ってない。
 西の後は筒子切りで、今、索子を出した所。

《【ドラゴンスレイヤー】と言っても、そんなものか。高手の闇テンパイが見え見えよ‥‥》

 南家のスペクターが安牌の西を切る。
 西家のナガターニャさんも西を切る。
 ここまで順調すぎると笑える。
 五巡目の国士テンパイでオレを含めて西が三枚切れ。
 と言っても、アガれなければ何の意味もないが。

 北家のファントムが暫し悩んでから北切り。

「ロン、国士無双!」

 親の役満48000点、ドボン終了。

 悪霊は成仏する事も出来ず、消滅した。
 ひらひらと千円札が2枚落ちてくる。

「さすが【ドラゴンスレイヤー】じゃのう、助かったわい。これが報酬じゃ。悪霊の千円もつけとるからの」

「有り難く頂きます」

 一応、封筒の中身を確認。

「わたくし、まーじゃんは、よく分かりませんが、ノリ様は凄いのをアガられてのですわね」

「うん、一番点数の高い役満だからね」

 まあ、ダブル役満とかトリプル役満なんて奇跡的なのもあるけど。

「素晴らしいですわ☆」

 お彩さんが抱きついてきた。

「見せつけてくれるのぅ、夜道には気を付けなされよ」

 一人去ろうとするナガターニャさん。

「ああ、お送りしますよ。夜道に女性の独り歩きは危険ですからね」

「ほぅ、一端(いっぱし)の紳士じゃのぅ。ではお言葉に甘えようかの」

 ナガターニャさんを家まで送り届けてから、二人乗りで帰宅。
 さすがに報告は明日でいいやろ。

*

《Piko~N》

「ノリに【霊視の紳士】の称号が付与されました」

「おろ? 称号ついた」

「まあ、どんな称号ですの?」

 お彩さんにも分かるように称号を【霊視の紳士】にする。
 効果は、霊体が見え、敵対的な場合は全能力Lv+1、友好的な場合は成仏させるための行動にLv+5。

「霊体に特化した称号やな。お彩さんを成仏させるためにも有効な称号やと思う」

「わたくし、ノリ様を置いて成仏など致しませんわ。それに、わたくしは元気ですのよ?」

 あー、そうやった、お彩さんには幽霊の自覚無いんやった。
 そして、何だか胸がチクッとした。

*

 残りの三件の依頼も無事こなし、生活費以上に少し貯金できるようになった。
 お彩さんを養ってる事もあって、食費は2倍‥‥2.5倍くらいかな。
 栄養バランスを考えて、お彩さんが尽くしてくれるからな。
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