〜〇〇side〜
登坂さんが作ってくれた朝ごはんを一緒に食べて…
着替えようと思ったらまた登坂さんがブラをつけてくれて…
メイクし終わったらまた登坂さんが髪を巻いてくれて…
〇「////」
なんか至れり尽くせりすぎて…照れてしまう。
なんだろうこれ。
臣「腹大丈夫か。」
〇「はい///」
登坂さん…。
それもう10回目くらいです…。
……なんでこんなに心配してくれるのかな。
優しすぎない?
調子狂っちゃうよ…///
臣「それ俺が持つ。貸せ。」
〇「大丈夫です!これくらい!///」
臣「いいから!」
〇「……///」
登坂さんの過保護?は、朝だけじゃなくて、一日中続いた。
仕事してても、ご飯食べてても、何かと私を気にしてくれてるのが、わかって。
ほんとにこの人ジャイアンかな…?って思っちゃう。
あ、ジャイアンからはもう降格したんだけど!///
ん?降格?昇格…?
とにかくもう失格なの!///
リ「お、シロちゃんお疲れ!」
〇「あ、リーダー!お疲れさまです!」
リ「今日は臣は上?」
〇「はい、レコーディングしてます。」
リ「そっかそっか。」
その間に私は、資料室から持ってきた大量の過去雑誌を読み漁っている。
リ「なんでそんなん読んでんの?w」
〇「ちょっと知らないことが多すぎたので!」
入社する前に、作品とかは一通り見たけど…雑誌とかはノータッチだった。
〇「登坂さんが美容師だったとか…今市さんが職人だったとか…私全然知らなかったです。」
リ「そこぉ!?w」
リーダーはなぜかゲラゲラ笑ってる。
リ「ま、真面目なシロちゃんらしいやw 頑張ってね。それじゃ。」
〇「はいっ!」
私はそれからもしばらく雑誌を読み漁って…
「そろそろ終わるーー」
登坂さんからのLINEでハッと顔を上げると、もう2時間も過ぎてた。
〇「夢中になってしまった…!」
急いで雑誌を片付けようとすると…
隆「シロちゃん…。」
突然ふいに名前を呼ばれて、胸がぎゅっとなった。
この声は…、、
〇「今市…さん…、お疲れさまです…。」
そうだよね…。
一緒の仕事はなくたって…事務所にいたらそりゃ会うよね…。
隆「こんなとこで何してんの…?w」
〇「……っ」
優しく笑う今市さんに…胸がぎゅっとなる。
〇「えっと…、過去の雑誌を…読んでました…。」
隆「なんか探してたの?」
〇「あ、いえ…。ただの…情報収集です。」
隆「あはは、何それw」
〇「////」
この無邪気な笑顔を見ると、やっぱり胸がぎゅってなる。
隆「一昨日…、話したかったのに…臣に連れてかれちゃったから…。」
〇「あ、はい…っ、すみませんでした。」
黒ちゃんの歓迎会の夜。
今市さんに呼び止められたのに…私はそのまま店を出たんだ。
〇「えっと…、何か…ありましたか?」
隆「……ううん、なんもない…。」
〇「え…っ?」
隆「ただ…話したかっただけ…。」
〇「……っ」
どこか寂しそうな表情を浮かべる今市さん…。
隆「俺持つよ、雑誌。全部。」
〇「あ、大丈夫です!自分で片付けますから!」
隆「いいから。重たいでしょ。」
〇「大丈夫で…っ」
言いかけた言葉を塞ぐように、今市さんの人差し指が…私の唇に触れた。
隆「その代わり…ご褒美ちょうだい…?」
〇「え…?」
今市さんはそのまま雑誌を資料室に戻しに行って、私のところに戻ってくると…、
〇「!!!」」
そのまま私をぎゅっと抱きしめた。
〇「えっと…、あの…、今市さん…?///」
隆「ごめん…少し…こうさせて…。」
〇「////」
いきなり抱きしめられて、頭がパニック。
〇「あの…、っ」
隆「なんで…?ダメなの…?」
〇「えっと…、///」
隆「前はいつもしてくれてたのに…。」
〇「……っ」
隆「俺の担当じゃなくなっちゃったから…もうダメなの…?」
今市さんの声が…すごく元気がなくて…
どうしたんだろう。
何かあったのかな。
隆「こうして…シロちゃんぎゅってすると…落ち着くんだもん、俺…。」
〇「そう…ですか…///」
私はすごくドキドキしてる…。
隆「毎日…チューしてたのに…、それもなくなっちゃったし…。」
〇「……っ///」
今度はじっと見つめられて…頬が焼けそうに熱くなる。
隆「俺…、あれでパワーチャージしてたんだよ…?」
〇「////」
少し拗ねたような言い方が可愛くて…胸がきゅぅってなる…。
隆「シロちゃん…、///」
〇「////」
顔が近くて…ドキドキして…、キスされそうな距離に、思わず目を瞑って俯いた。
隆「シロちゃん…?」
ダメ。
〇「あの…、ごめんなさい。」
どうしてだろう。
登坂さんの顔が浮かんだの。
〇「私…、もう行きますね。」
登坂さんが待ってる。行かなくちゃ。
隆「待って!」
〇「……っ」
隆「……お願い、もう少しだけ…っ」
私はまた今市さんの腕に包まれて、身動きできなくなった。
隆「少しだけで…、いいから…っ」
〇「////」
なんで…?
なんで今市さんはこんなことするの…?
落ち着くから…とか…パワーチャージとか…言ってくれるけど…、でも。
“隆二くんね、ミキのこと大好きみたい♡”
“ちょっと優しくしてもらったからってマネージャーの分際で勘違いしないでね?”
今市さんが好きなのは…ミキさんなんでしょ…?
思い出すと、ズキッと痛む胸。
〇「離して…くだ…、」
臣「何やってんの?」
〇「!!!」
後ろから聞こえた声にびくっとした今市さんは、そのまま私を離してくれた。
臣「こんな鍵もねぇとこで。誰かに見られんぞ。」
隆「……っ、…鍵があるとこならいいのかよ…。」
臣「あ?」
〇「……っ」
どうしよう。
なんかすごく空気が悪い。
隆「マジでお前いっつも邪魔…。」
今市さんがはぁとため息をつくと、登坂さんは私を見た。
臣「レコーディング終わったんですけど?」
〇「あ、はい!すみません!」
私は慌てて荷物をまとめた。
〇「お送りします!」
臣「おう。」
〇「えっと…、今市さん…、お先に…失礼します。」
隆「うん…。」
今市さんは頼りない瞳で寂しそうに笑って見せた。
……胸が…ざわざわする…。
どうして…あんな顔するの…?
どうして…、
臣「おい。聞いてんのか。」
〇「はっ!すみません!」
帰りの車の中、ついぼーっとしちゃって…
後ろからは少し不機嫌な声。
臣「飯どうするって言ってんの。」
〇「はっ…そうですね、どうしましょう。私何か作りましょうか?」
臣「……って思ったけど、お前腹痛いんでしょ?休んでなきゃダメじゃん。」
〇「え…っ」
臣「俺が作るか?」
〇「ええっ!」
臣「なんだよ。」
〇「……っ」
だって…朝も作ってくれたのに…
〇「登坂さんが…優しすぎると…なんか戸惑います…。」
臣「なんでだよ!///」
〇「でも…登坂さんのご飯…食べたいです…。」
臣「おう。じゃあスーパー寄れ。」
〇「はいっ!」
それから近くのスーパーに車を停めると、私には車で待ってろって言って、登坂さんはサッとお店に入っていった。
大丈夫かな。バレないかな。そわそわしちゃう。
臣「お待たせ。」
〇「はやっ!」
もう戻ってきた!
〇「誰にもバレませんでした?!」
臣「まったく。」
〇「すごい…。」
臣「オーラ消してたもん。」
〇「自分で操れるんですか…オーラ…。」
臣「俺ともなるとね。」
〇「すごい…。」
そんな技を持ってたなんて…。
臣「よし、お前は座ってろよ。寝ててもいいし。」
〇「はい…。」
家に帰ってくると、登坂さんはいそいそと腕まくりをして…
あらわになった腕の筋肉がカッコイイな…なんて見惚れちゃって、ハッと我に返った。
見惚れるって何よ!おかしいでしょ!
ふんだふんだ///
〇「……。」
登坂さんは携帯をチラチラ見ながら料理してて…
何を作ってくれるのかわかんないけど、きっと作り方とか調べながら頑張ってるんだと思う…。
きゅん…。
…はっ!
だから!なんできゅんなのよ!おかしいでしょ!
ふんだふんだ///
〇「……ふぅ……。」
お腹はそこまで痛くないけど、身体は重たくて…
なんだか少し…眠たくなってきた…。
キッチンからは…だんだんいい匂いがしてきて…
………ああ…。
誰かがご飯作ってくれるって…なんかすごく幸せだなぁ…。
あったかくて…ほっとする…。
トントントンっていう…包丁の音も…
ぐつぐつ煮込んでる…火の音も…
全部が耳に…心地いい……。