scarlet
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発行者:新菜
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2020/01/17
最終更新日:2021/07/25 22:41

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scarlet 第25章 素直になれなくて
〜〇〇side〜





登坂さんが作ってくれた朝ごはんを一緒に食べて…

着替えようと思ったらまた登坂さんがブラをつけてくれて…

メイクし終わったらまた登坂さんが髪を巻いてくれて…


〇「////」


なんか至れり尽くせりすぎて…照れてしまう。
なんだろうこれ。


臣「腹大丈夫か。」
〇「はい///」


登坂さん…。
それもう10回目くらいです…。


……なんでこんなに心配してくれるのかな。
優しすぎない?

調子狂っちゃうよ…///




臣「それ俺が持つ。貸せ。」
〇「大丈夫です!これくらい!///」
臣「いいから!」
〇「……///」


登坂さんの過保護?は、朝だけじゃなくて、一日中続いた。


仕事してても、ご飯食べてても、何かと私を気にしてくれてるのが、わかって。


ほんとにこの人ジャイアンかな…?って思っちゃう。
あ、ジャイアンからはもう降格したんだけど!///

ん?降格?昇格…?
とにかくもう失格なの!///


リ「お、シロちゃんお疲れ!」
〇「あ、リーダー!お疲れさまです!」
リ「今日は臣は上?」
〇「はい、レコーディングしてます。」
リ「そっかそっか。」


その間に私は、資料室から持ってきた大量の過去雑誌を読み漁っている。


リ「なんでそんなん読んでんの?w」
〇「ちょっと知らないことが多すぎたので!」


入社する前に、作品とかは一通り見たけど…雑誌とかはノータッチだった。


〇「登坂さんが美容師だったとか…今市さんが職人だったとか…私全然知らなかったです。」
リ「そこぉ!?w」


リーダーはなぜかゲラゲラ笑ってる。


リ「ま、真面目なシロちゃんらしいやw 頑張ってね。それじゃ。」
〇「はいっ!」


私はそれからもしばらく雑誌を読み漁って…


「そろそろ終わるーー」


登坂さんからのLINEでハッと顔を上げると、もう2時間も過ぎてた。


〇「夢中になってしまった…!」


急いで雑誌を片付けようとすると…


隆「シロちゃん…。」


突然ふいに名前を呼ばれて、胸がぎゅっとなった。


この声は…、、


〇「今市…さん…、お疲れさまです…。」


そうだよね…。

一緒の仕事はなくたって…事務所にいたらそりゃ会うよね…。


隆「こんなとこで何してんの…?w」
〇「……っ」


優しく笑う今市さんに…胸がぎゅっとなる。


〇「えっと…、過去の雑誌を…読んでました…。」
隆「なんか探してたの?」
〇「あ、いえ…。ただの…情報収集です。」
隆「あはは、何それw」
〇「////」


この無邪気な笑顔を見ると、やっぱり胸がぎゅってなる。


隆「一昨日…、話したかったのに…臣に連れてかれちゃったから…。」
〇「あ、はい…っ、すみませんでした。」


黒ちゃんの歓迎会の夜。

今市さんに呼び止められたのに…私はそのまま店を出たんだ。


〇「えっと…、何か…ありましたか?」
隆「……ううん、なんもない…。」
〇「え…っ?」
隆「ただ…話したかっただけ…。」
〇「……っ」


どこか寂しそうな表情を浮かべる今市さん…。


隆「俺持つよ、雑誌。全部。」
〇「あ、大丈夫です!自分で片付けますから!」
隆「いいから。重たいでしょ。」
〇「大丈夫で…っ」


言いかけた言葉を塞ぐように、今市さんの人差し指が…私の唇に触れた。


隆「その代わり…ご褒美ちょうだい…?」
〇「え…?」


今市さんはそのまま雑誌を資料室に戻しに行って、私のところに戻ってくると…、


〇「!!!」」


そのまま私をぎゅっと抱きしめた。


〇「えっと…、あの…、今市さん…?///」
隆「ごめん…少し…こうさせて…。」
〇「////」


いきなり抱きしめられて、頭がパニック。


〇「あの…、っ」
隆「なんで…?ダメなの…?」
〇「えっと…、///」
隆「前はいつもしてくれてたのに…。」
〇「……っ」
隆「俺の担当じゃなくなっちゃったから…もうダメなの…?」


今市さんの声が…すごく元気がなくて…
どうしたんだろう。
何かあったのかな。


隆「こうして…シロちゃんぎゅってすると…落ち着くんだもん、俺…。」
〇「そう…ですか…///」


私はすごくドキドキしてる…。


隆「毎日…チューしてたのに…、それもなくなっちゃったし…。」
〇「……っ///」


今度はじっと見つめられて…頬が焼けそうに熱くなる。


隆「俺…、あれでパワーチャージしてたんだよ…?」
〇「////」


少し拗ねたような言い方が可愛くて…胸がきゅぅってなる…。


隆「シロちゃん…、///」
〇「////」


顔が近くて…ドキドキして…、キスされそうな距離に、思わず目を瞑って俯いた。


隆「シロちゃん…?」


ダメ。


〇「あの…、ごめんなさい。」


どうしてだろう。
登坂さんの顔が浮かんだの。


〇「私…、もう行きますね。」


登坂さんが待ってる。行かなくちゃ。


隆「待って!」
〇「……っ」
隆「……お願い、もう少しだけ…っ」


私はまた今市さんの腕に包まれて、身動きできなくなった。


隆「少しだけで…、いいから…っ」
〇「////」


なんで…?

なんで今市さんはこんなことするの…?

落ち着くから…とか…パワーチャージとか…言ってくれるけど…、でも。


“隆二くんね、ミキのこと大好きみたい♡”

“ちょっと優しくしてもらったからってマネージャーの分際で勘違いしないでね?”


今市さんが好きなのは…ミキさんなんでしょ…?


思い出すと、ズキッと痛む胸。


〇「離して…くだ…、」

臣「何やってんの?」

〇「!!!」


後ろから聞こえた声にびくっとした今市さんは、そのまま私を離してくれた。


臣「こんな鍵もねぇとこで。誰かに見られんぞ。」
隆「……っ、…鍵があるとこならいいのかよ…。」
臣「あ?」
〇「……っ」


どうしよう。
なんかすごく空気が悪い。


隆「マジでお前いっつも邪魔…。」


今市さんがはぁとため息をつくと、登坂さんは私を見た。


臣「レコーディング終わったんですけど?」
〇「あ、はい!すみません!」


私は慌てて荷物をまとめた。


〇「お送りします!」
臣「おう。」
〇「えっと…、今市さん…、お先に…失礼します。」
隆「うん…。」


今市さんは頼りない瞳で寂しそうに笑って見せた。


……胸が…ざわざわする…。


どうして…あんな顔するの…?

どうして…、


臣「おい。聞いてんのか。」
〇「はっ!すみません!」


帰りの車の中、ついぼーっとしちゃって…
後ろからは少し不機嫌な声。


臣「飯どうするって言ってんの。」
〇「はっ…そうですね、どうしましょう。私何か作りましょうか?」
臣「……って思ったけど、お前腹痛いんでしょ?休んでなきゃダメじゃん。」
〇「え…っ」
臣「俺が作るか?」
〇「ええっ!」
臣「なんだよ。」
〇「……っ」


だって…朝も作ってくれたのに…


〇「登坂さんが…優しすぎると…なんか戸惑います…。」
臣「なんでだよ!///」
〇「でも…登坂さんのご飯…食べたいです…。」
臣「おう。じゃあスーパー寄れ。」
〇「はいっ!」


それから近くのスーパーに車を停めると、私には車で待ってろって言って、登坂さんはサッとお店に入っていった。

大丈夫かな。バレないかな。そわそわしちゃう。


臣「お待たせ。」
〇「はやっ!」


もう戻ってきた!


〇「誰にもバレませんでした?!」
臣「まったく。」
〇「すごい…。」
臣「オーラ消してたもん。」
〇「自分で操れるんですか…オーラ…。」
臣「俺ともなるとね。」
〇「すごい…。」


そんな技を持ってたなんて…。





臣「よし、お前は座ってろよ。寝ててもいいし。」
〇「はい…。」


家に帰ってくると、登坂さんはいそいそと腕まくりをして…
あらわになった腕の筋肉がカッコイイな…なんて見惚れちゃって、ハッと我に返った。

見惚れるって何よ!おかしいでしょ!
ふんだふんだ///


〇「……。」


登坂さんは携帯をチラチラ見ながら料理してて…
何を作ってくれるのかわかんないけど、きっと作り方とか調べながら頑張ってるんだと思う…。

きゅん…。


…はっ!
だから!なんできゅんなのよ!おかしいでしょ!
ふんだふんだ///


〇「……ふぅ……。」


お腹はそこまで痛くないけど、身体は重たくて…
なんだか少し…眠たくなってきた…。


キッチンからは…だんだんいい匂いがしてきて…


………ああ…。

誰かがご飯作ってくれるって…なんかすごく幸せだなぁ…。

あったかくて…ほっとする…。


トントントンっていう…包丁の音も…
ぐつぐつ煮込んでる…火の音も…

全部が耳に…心地いい……。
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