〇「申し訳ありませんでした!!!!」
からかう俺たちに震え上がった彼女は、持ってた瓶をテーブルに置いて、いきなりその場に土下座した。
臣「いやいや、ちょ…っ」
隆「何してんの?」
〇「…っ」
遅れてきた隆二が驚いたように彼女の肩を掴んだ。
隆「顔上げなよ。どうしたの?」
〇「あの…っ」
健「今な、臣ちゃんにビールばっしゃーかけてもーてんw」
岩「それで臣さんに殺されそうになって、いきなり土下座を…w」
隆「は…?」
臣「いや、別に…俺がさせたわけじゃ…」
隆「気にしなくていいよ、顔上げなって。大丈夫だから。」
〇「…っ」
「気にしなくていいよ」は言うとしたら俺が言う言葉だろ。
なんで俺が悪者みたいになってんだよ。
つーかなんでこいつもいきなり土下座とかしてんの。
うざ…。
〇「あの…、本当に申し訳ありませんでした!!」
臣「別に最初から怒ってねーし…。」
健「こわー!余計にこわーー!w」
岩「臣さんは顔が怖いんだよw」
臣「はぁ!?」
生まれつきこの顔だわ!
〇「ごめんなさい!私が悪いんです!あの、弁償…しますから!!」
臣「は…?弁償って…何を…?」
〇「あの…濡れてしまったお洋服を…、、」
臣「……。」
これがいくらするかわかって言ってんのか?
お前に払えるわけねーだろ。
隆「濡れただけなんだから洗えば済むじゃん。なんで弁償になんのw」
だから…、
それも言うとしたら俺のセリフだから!
ビールかけられたの、お前じゃなくて俺ね!!
隆「ほら、もういいから座んなよ。」
〇「…っ」
隆「ね…?」
〇「////」
隆二が彼女の頭をポンポンと叩くと、彼女は一気に顔を赤くして固まった。
臣「……。」
何これ。
なんかすっげぇイラッとくる。
なんなんだよこの女。
隆「てかさ、そもそも〇〇さんと佐藤くんの歓迎会なんだから!そんなお酌とかして気を遣わなくていいから、みんなといっぱい話そうよ!」
〇「ありがとう…ございます…///」
ああ、そう。
佐藤くんといい感じなんじゃなくて、そっちね。なるほど。
わかりやすすぎんだろ。
E「ねぇねぇ〇〇さんはどこ出身なのー?青森?」
N「ぶっw お前は〜〜、どこ出身って聞いといてなんで青森一択なんだよ!w」
岩「あははは!w」
〇「あの…、青森ではないんですが…、みなさんおそらくご存知ないくらい北の北の小さな島です。」
直「へぇ!そうなんだ!」
健「だから色白やねんなぁ!むっちゃ白いもんなぁ。」
隆「うん。すごく肌が綺麗。」
〇「////」
それからみんな彼女に話しかけて色々盛り上がってたけど、俺はただ黙ってその様子を見てた。
色白な彼女は照れて赤くなるとそれが人よりもすごくわかりやすくて…
しかもその相手は隆二だけ。
それがなんかイラつくんだ。
E「色白だから、あだ名はシロちゃんでどう?」
健「そのまんまやんけ!w」
N「でもシロちゃんいいね、呼びやすいしw」
〇「実家で飼ってるネコが…シロなんです。」
岩「えーー!すごい偶然!w」
〇「二匹飼ってて…、シロとクロなんですw」
N「ネーミングセンス!w」
隆「写真ないの?見たい見たいー!わ、これ?すげぇ可愛いじゃん!♡」
〇「////」
隆「じゃああだ名はシロちゃんでいいのかな?」
E「シロちゃん!決まり!」
隆「よろしくね、シロちゃん!」
〇「ありがとう…ございます…///」
臣「……。」
何がシロちゃんだよ。
どうでもええわ。
E「ねーねーシロちゃんは彼氏いるの?」
〇「えっ!!…いや、…あの、その…、い、い、いません…。」
岩「へぇ。いつからいないの?」
〇「………。」
岩「ん…?」
〇「……ずっと…、いません……。」
岩「え…?ずっとって……、」
〇「彼氏がいたこと…、ありません……。」
皆「ええええええ!!!!!」
N「じゃあ処女?!処女なの!?」
直「NAOTOさん、ストレートすぎます。」
N「いや、だってさー!」
健「処女なん!?」
〇「……ハイ…、」
E「マジで!?すっげぇ〜〜!!」
岩「おもしろーーーーい。」
N「国宝もんじゃん。すげぇわ。」
隆「もう、みんな騒ぎすぎ。別に面白い話じゃないじゃん。やめなよ。」
〇「……っ」
隆「みんながごめんね?気にしなくていいからね?」
〇「……はい…、///」
臣「……。」
お前みたいな地味子が処女だろうとなんだろうと、どうでもいいっつーの。
臣「……トイレ。」
バカバカしくて席を立って部屋を出た。
……あーあ。
このままとんずらしちゃおうかなー。
どの女呼ぼうかな。
すぐ来る奴なら誰でもいっか。
〇「あ、あの…っ!」
臣「…っ」
げ、なんで付いてきてんの。
〇「先ほどは申し訳ありませんでした!きちんと謝罪させてください!」
臣「……。」
〇「クリーニング代、出します!もし綺麗にならなかったら弁償もしますので!」
そう言われた俺は、その場で勢いよくシャツを脱いだ。
〇「きゃぁっっ!」
驚いて顔を隠す彼女に、シャツを押し付けて。
臣「じゃあよろしく、〇〇さん。」
誰がシロちゃんなんて呼ぶか。馬鹿馬鹿しい。
嫌味も込めてそう言ったら、彼女は俺のシャツを握りしめて大きく頷いた。
〇「責任を持って綺麗にさせていただきます!」
臣「……。」
……ああ、やっぱりなんか…
イラッとくるなーー。
臣「もしダメだったらお前になんか絶対払えないからその時は身体で払えよ。」
壁に手を付いて彼女を見下ろしたら、彼女は両手で自分の顔を覆った。
〇「あの…、あのっ…!なんでもしますから!だから…それ以上…っ」
臣「……。」
ほんとに男に免疫ねぇんだな。
臣「それ以上、何…?」
わかっててわざと距離を詰めたら、彼女は泣きそうな顔で俺を見上げた。
〇「裸…、やめてください…っ」
臣「………ぶっ、ww」
裸やめてくださいって、何?
あまりに必死なテンパりぶりに、思わず吹き出した。