ごめんね
ごめんね
完結
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発行者:新菜
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ジャンル:恋愛

公開開始日:2021/05/08
最終更新日:---

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ごめんね 第1章 気付いてしまった気持ち
男「あれ?機嫌悪い?」
岩「別に!!」


なんで俺、こんなにイライラしてんだろ。

あいつと喧嘩したのなんて、初めてかも…。


原因不明のイライラに悩む俺を、さらにイライラさせたのは、今日もしつこい臣さんだった。


臣「ねぇ、なんで❀❀ちゃんの連絡先教えてくんないの?」
岩「……。」
臣「ほんとは岩ちゃん、好きなんでしょ、❀❀ちゃんのこと。」
岩「はぁ!??」
臣「…じょ、冗談だって。こえーよ、岩ちゃん…。」


思わず素ですごんじゃったよ…。


臣「つーかさ、聞いて。❀❀ちゃんのことばっか考えてて、昨日❀❀ちゃんとヤる夢見ちゃったw」
隆「お前どんだけだよ!w」
臣「すんげぇエロかったんだよ❀❀ちゃん、マジで可愛かった///」
隆「どんなんだったの?w」
臣「もうほんとエロエロ、俺に処女捧げてくれちゃって♡」
隆「処女なのにエロエロなの?w」
臣「そう、それがまたたまんねぇのよ!」


……ダメだ。
臣さんの話にイライラしかしない。

なんで俺ここんとここんなにイラついてんだ?
ほんとわけわかんねぇ。


臣「もうさ、想像通りにすっげぇ柔らかくて!」
隆「おっぱい?!」
臣「おっぱいだけじゃねぇよ、全部!」
隆「おおおお…!」
臣「マジで気持ち良かった。マジで抱きたい///」
隆「夢じゃなくて?w」
臣「うん、本物抱きたいw」
隆「ばかだなーーw」


……全然笑えない。なんでだろ。

別に連絡先くらい教えてあげればいいのに。
全然そんな気になれなくて。


臣「つーかさ、岩ちゃんち行けば❀❀ちゃんいるんでしょ?今日遊びに行っていい?」
岩「今日俺帰んないっすから。」
臣「え、なんで?」
隆「臣的には岩ちゃんいない方が都合いいんじゃないのw」
臣「あ、そっか、確かに!家の鍵ちょーだい!w」
岩「何言ってんすかw」


作り笑いするのがやっとだ。


その後もずっとしつこい臣さんをなんとかスルーしきって。
仕事を終えた俺はすぐにセフレの家に向かった。

このむしゃくしゃを今すぐに吐き出したくて。


女「岩ちゃ、…っ、んぅ…っ!///」


玄関を開けるなりキスで唇を塞いだ俺に、彼女は必死でしがみついてきた。


ビリビリビリ…!!


女「やっ、…あんっ、…あぁっ///」


ストッキングを破いて、あっという間にぐちょぐちょに濡れてるそこへ、思いきりぶち込んで。


女「あぁぁんっ!!///」


立ちバックで存分に突いた後、ベッドまで行くのも待たずに俺は彼女を床に押し倒した。


女「や、すっごく激しい…どうしたの?///」
岩「黙って抱かれてくんない…?」
女「コクコク!///」


うっとり目を潤ませた彼女は従順に俺に従う。


ああ、今日も。
溜まった鬱憤と一緒に欲を撒き散らして。

身体はスッキリしたはずなのに、心がモヤモヤしたままなのはどうしてだろう。


“女なら誰でもいいんでしょ?節操なし!”


……ああ、思い出したらムカついた。
別に誰でも良くないっつーの。
デブとブスはごめんだし。


“一生帰ってくんな!”


……ムカムカムカ。


女「ね、今日のエッチすっごく好きだったぁ♡」
岩「あ?」
女「いつもの岩ちゃんっぽくなくて…、ああいうのもすごく好きぃ♡」


あっそ。


女「なんかイライラしてたのぉ?」
岩「別に。」


“すんげぇエロかったんだよ❀❀ちゃん、マジで可愛かった/// “


……ああ、やっぱりイライラする。


“マジで気持ち良かった。マジで抱きたい/// “


岩「……っ」


臣さんの押しの強さなら、本当に❀❀とどうにかなるかもしれない。

そしたらあのセリフがリアルになる日だって本当に来るのかもしれない。


別に俺は臣さんを嫌いなわけじゃないのに、なんでこんなに嫌な気持ちになるんだろう。

今までだって臣さんに女の子を取り持ったことだってあるのに。


女「ねぇ岩ちゃぁん、」
岩「うるさいな。また黙らせてほしい?」
女「////」


ベタベタまとわりついてくる女が鬱陶しくて。
俺はもう一回抱いてやって、意識を飛ばした彼女に背を向けて眠った。


❀❀は今頃どうしてるだろう。
あの広いベッドで一人で寝てるんだろうか。

どうせ仰向けで大の字になって一人占めしてるんだろ。


……でも…、もしかしたら寂しがってるかな。

いや、んなわけない。
帰ってくるなって言ったのはあいつだし。


……でも…、、


そんなことをグルグル考えながら迎えた朝。
俺はすぐにシャワーを浴びて家に帰った。


岩「……ただいま…。」
❀「……。」


あれ、今日はシカトですか?


岩「まだ怒ってんの…?」
❀「……。」


返事くらいしろっつーの!


岩「つーかさー、」


……って、……え!??


岩「……っ」


もしかして…泣いてる?
嘘だろ…!!?


岩「な、な、なんで…、っ」


❀❀の涙に、俺は一瞬でパニックになって。

なんて声をかけたらいいのかわからなくてオタオタしてると、❀❀が静かに口を開いた。


❀「迷惑なら…、出てくから…言って…?」
岩「えっ?」


ヤバイ、動揺しすぎてマスオさんみたいになってる、俺。
声が引っくり返った。


❀「あたしがいるの…、迷惑なんでしょ…?」
岩「いや、えっと…」
❀「だから…三日連続で外泊して…、」
岩「いや…、それは…」


謎のむしゃくしゃのせいで…
お前のせいじゃ…


❀「あたし、剛典に甘えすぎてたね…。今日出てく…。」
岩「いや、ちょっと待って!!」


俺は慌てて❀❀の腕を掴んだ。


岩「迷惑とかじゃないから!マジで!」
❀「……っ」
岩「出てかないで!好きなだけいていいって言ったじゃん!!」


あれ、俺なんでこんな必死になってんだろ…。


でも。
俺が外泊することで、❀❀がそんな勘違いをするなんて思ってなかった。


岩「もう外泊しない!今日はちゃんと帰ってくるから!」
❀「いいよそんな無理しなくて…、」
岩「無理してない!ごめん!俺が悪かった!」
❀「別に悪くないよ。ストレス発散に女とヤリたくなるのが男なんでしょ?彼氏がいたことないあたしは理解できなくてごめんね。」
岩「いや、それも!ごめん!言いすぎた!なんか俺、最近むしゃくしゃしてて…八つ当たりもあったかも…。ほんとごめん!」
❀「そう…なの…?」
岩「……っ」


涙目で俺を見上げてきた❀❀が、うるうるキラキラしてて、俺は思わず言葉に詰まった。


岩「今日はさ、仕事も早く終わるし…、ちゃんと帰ってくるから。」
❀「ほんと…?」
岩「ほんと!約束する!」
❀「じゃあ…一緒にご飯食べれる…?作って待っててもいい…?」


あれ…?
なんか…❀❀が可愛く見えるのは…俺の気のせいかな…?


岩「うん、作ってくれたら嬉しい。」
❀「じゃあそうする!」
岩「……っ」


そう言って嬉しそうに笑った❀❀の笑顔が、眩しくて。


岩「……///」


あれ…?
なんだこの変な感覚。

胸が変にざわついてるような、そわそわするような。


❀「あたしも…ひどいこと言っちゃってごめんね…?」
岩「え…?」
❀「昨日、」
岩「ああ、うん、いいよ。」
❀「あ、携帯鳴ってない?」
岩「あ、ほんとだ。マネージャー着いたみたい。行ってくるわ。」
❀「うん。気をつけてね。行ってらっしゃい!」


……ああ、やっぱり…❀❀にこうやって見送ってもらえるのがいい。


仲直りできたことにほっとして、俺はそのまま迎えの車に乗り込んだ。


男「あ、今日はいつもの岩ちゃんだ。」
岩「え?」
男「昨日はご機嫌ナナメだったじゃん。」
岩「……。」


つーかさっきの俺、めちゃくちゃ必死だったよな。

そんなに俺、❀❀に出てってほしくないのかな…。


❀❀がいたら女連れこめないし好きな時にオナれないし、不便なのに。

それでも俺はあいつに家にいてほしいんだ。

……変なの。


男「てゆーか❀❀ちゃん次はいつ手伝いに来てくれるのー?」
岩「え?」
男「毎日待ってるんですけどー!」
岩「ああ、ごめん、言っとくわw」
男「頼むよ〜〜!」


それから俺は仕事を全部片付けて、約束通り真っ直ぐ家に帰った。


❀「おかえりーー!」
岩「ただいまw」


ああ、なんかすげぇいい匂いがする。


❀「ご飯もうすぐ出来るよー!」
岩「ありがと、手洗ってくるw」


なんかいいな、やっぱり。
すげぇほっとする。嬉しくなる。

❀❀が笑顔でおかえりって言ってくれて、美味しい匂いがする家に帰ってこれること。


❀「どうしたの?なんかニコニコしてる…。」
岩「んー?…なんか…、お前ってほんと家族みたいだなぁって思ってw」
❀「あはは、何それ!w」


家族みたいにほっとして、落ち着くんだよ。


❀「ほら、座って座ってー」
岩「はーい。」
❀「じゃあ、せーのっ、」
岩「いただきまーすw」
❀「ちょっと!早い!フライング!w」
岩「あはははw」


❀❀が作ってくれた料理はやっぱりどれもこれも美味くて。


岩「ああ…生き返る…。」
❀「ええ?!w」


自分の身体が健康になっていく感じがするんだよなぁ。


岩「お前はほんとこの料理の腕だけでいつでも嫁に行けるわw」
❀「マジか!w」
岩「おう。俺が保証してやるw」
❀「やったぜ!w」


こんな料理出されたら、どんな男でも毎日真っ直ぐ帰ってくるだろ。絶対。


❀「ママがさ、料理は出来て損することは絶対ないからやっておきなさいって。小さい頃から教えてくれてたから。」
岩「ああ、よく一緒に作ってたよな。俺のおふくろ羨ましがってたもんw」
❀「そうなの?w」
岩「うん。私も可愛い娘と一緒にお料理とかお菓子作りしたかった〜〜ってw」
❀「そうだったんだ!あはははw」


確かに❀❀のおふくろさんの料理も何度もご馳走になったけど美味しかったな。


岩「あれ、あのダンボールなに?」
❀「ああ、あれ!ママからの荷物!」
岩「あんなデカイ荷物だったんかい!w」
❀「うん。宅配ボックスに入ってたー。無添加のお野菜とか色々入ってたから、今日の料理に使ったよー♡」
岩「おお!」
❀「ありがとうってママに電話したら、また送るとか言ってたw」
岩「ははは、ほんと愛されてんなw 今度届いたら言えよ。乗せてってやるから。」
❀「ほんと?ありがとー!」


❀❀のマンションはうちから近いけど、ダンボールを運ぶ距離ではないからな。


岩「うちのおふくろもよく色々送ってくるからなー。」
❀「やっぱり?w」
岩「うんw」
❀「もう大人なんだから、って思うけど…、きっと親にとっては何歳になっても子供は子供なんだろうねぇ。」
岩「それおふくろにいつも言われるw」
❀「あはは、やっぱり!w」


俺たちは食事を終えた後、ちょっと晩酌もしちゃったりして。

懐かしい思い出話に花を咲かせたり、俺の仕事の話をしたり、❀❀の転職活動の進捗を聞いたり、色々と話は尽きなかった。


岩「いやー、でもお前が慶応のキャンパスにいた時はほんとビビったわw」
❀「だって驚かせようと思って内緒にしてたんだもんw」
岩「受けるなら受けるって言えよなーw」
❀「それだとサプライズにならないでしょw」
岩「いや、普通そんなのサプライズにするとこじゃないから!w」
❀「あはははw」


昔は毎日のように一緒にいた❀❀とも、俺が中学でこっちに来てからは疎遠になって。
長い休みに実家に帰った時に会う程度になってた。

でも大学で再会してから、またつるむようになったんだよな。


❀「別に剛典を追いかけて慶応入ったわけじゃないからねー。勘違いしないでよねーw」
岩「はいはい、学びたいことがあったんでしょ?w」
❀「そうですーーw」


毎回言われるコレw


岩「まぁでも結果的にそれでまた仲良くなったんだからいいじゃんw」
❀「まぁねw」


昔からお互いを知ってる分、やっぱり心許せる存在なんだよな。


❀「まぁ久々に再会した剛典のチャラさにはビビったけどねw」
岩「ぶっw」
❀「頭ん中エロいことしかないし、飲み会の度に女の子お持ち帰りして食い荒らすし。」
岩「若気の至りってやつよw」
❀「今も大して変わらんだろ。」
岩「あはは、確かにーーw」


俺は笑いながら❀❀のグラスに酒を注ぎ足した。


岩「でもさ、男なんてみんなそんなもんよ?頭ん中にエロがない奴なんているわけないね。」
❀「剛典はありすぎだって言ってんの!」
岩「いいや!俺なんか普通!みんな無限にエロは持ってるけどそれを何パー表に出すかってだけ!」
❀「そういう…もんなの?」
岩「そ!男はみんなエロ!」
❀「断言すんなよ…。」


❀❀は呆れたように笑って、俺のグラスに酒を注いでくれた。


❀「だってさ、ほんとに男が全員エロいとしても、ちゃんと一人の人を愛し抜く人と、浮気しまくる人がいるわけじゃん?そこはどうなのよ。」
岩「うーん。」
❀「剛典は後者だろうけど。」
岩「ぎくっw」
❀「ほんと最低なんだから。」
岩「いやいや、だってさーw 俺だって彼女がいる時はそれなりに大事にしてきたよ?」
❀「はぁ?どこがよ!」
岩「してたって!俺なりに!でもさ、他から誘惑されると…やっぱりそっちにも手を出しちゃうじゃん?w」
❀「出しちゃうじゃん?じゃねーわ!w」
岩「だって可愛い女の子なんていくらでもいるし。」


据え膳食わぬは…、って言うだろ。
可愛い子に誘われたらとりあえずいただきますしないと。


❀「付き合ってる彼女のこと、それなりに大事にしてるとか言いながら、本気で好きじゃなかったんでしょ。」
岩「え…?」
❀「本当に本気で好きだったら、浮気なんてしないと思うもん。」
岩「……。」


まぁ、それは一理あるけど。


岩「それを、彼氏いたことないお前が言う…?w」
❀「……っ」
岩「本当に本気で好き、っていうのを一度でも自分が体験してから言ってくださーいw」
❀「うるさい!バカ剛典!」
岩「いてっ!w」


でもさ、ほんとに。


「本気」とか「本当に好き」とか「本物の恋愛」とか…
そんなの知ってる奴がこの世にどれだけいんの?

わかってない奴の方が絶対多いと思うんだけど。

だからこの世は浮気や不倫で溢れてるし、俺は可愛い子ならみんな食っちゃうんだよ。


岩「ま、とりあえずお前はそんな男に引っかかんなよ。」
❀「そんな男って?」
岩「……。」


俺みたいな、ヤレればいいだけの男。


岩「ほら、臣さんとかさ…。気をつけて。」
❀「は?登坂さん?」
岩「うん。」
❀「なんであたしが登坂さんに引っかかるのよ。」
岩「熱心に口説かれたらほだされるかもしんないじゃん。」
❀「ない。」
岩「お前、男に免疫ない分、一回ヤッたらどハマりしそうだし。」
❀「はぁ?!」
岩「ヤリ捨てされそう。って自分でも言ってたじゃん。」
❀「それは登坂さんがそういう人に見えるってだけで、あたしは登坂さんとそんなことには絶対なんないもん!」
岩「……。」


なんでだろ。
そう言い切った❀❀に、どこか少しほっとしてる自分がいる。


❀「全然タイプじゃない。絶対やだ。」
岩「ぶっw」


そういうことだそうです、臣さんw


……でも。
じゃあ逆に、こいつのタイプってどんな男なんだろ…?

ってふと思ったけど。

別に聞くこともなく、俺は酒の瓶を片付けた。


岩「さ、寝るかー。」
❀「明日は仕事だー!」
岩「うん、よろしくw」


マネージャーが❀❀を待ってるって話したら、早速明日からまた手伝ってくれるらしい。


❀「とりあえず今週はもう用事もないし、剛典の現場で働くわ!」
岩「おうw」


また臣さんが一緒の時もあるけど、❀❀のこの感じなら心配要らなそうだし。


❀「はぁ、やっぱ剛典がいるとあったかいわーw」


❀❀は嬉しそうに布団の中で俺に足を絡めてきた。


岩「俺を湯たんぽ扱いする女なんてお前くらいだからなw」
❀「ふふふふw」


まぁ俺も。
なんの下心もなしにこんな風に一緒に寝れる女なんてお前くらいだけどw


岩「確かに二人いるとあったかくなるのが早いw」
❀「でっしょー?w」


俺たちは二人で笑いながら、酒も飲んだせいかあっという間に眠りに落ちていった。
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