直「❀❀ちゃんおっはよーー!♡♡」
翌朝。
❀❀と現場に着くと、直人さんが嬉しそうに飛んできて、❀❀に抱きついた。
直「ん〜〜、今日も可愛いね♡」
❀「え、あ、あの…っ///」
直「とりあえずここ座んなさい、ほらw」
❀「いえ、私は仕事が…、///」
直「そんなのいいからw」
……なんだよ、これ。
岩「直人さん。❀❀は遊びに来てるんじゃなくて一応仕事しに…」
直「固いこと言わない言わない!w」
臣「うっわ、直人さんが見せつけてくる〜〜〜。」
隆「ほんとだ!イチャイチャしてる!」
臣「ムッカつくわ〜〜〜」
直「なんとでも言えw」
直人さんは俺の言葉なんて無視して、嬉しそうに❀❀の腰を抱いてる。
臣「ねぇ、なんで直人さんなの?どこがいいの?」
直「おいコラ失礼だぞ!w」
健「でも俺も聞きたいわ、それw」
隆「どこ好きになったの?」
❀「えっと…、///」
みんなからの質問攻撃に、❀❀はタジタジだ。
❀「直人さんは…優しくて…、年上ですごく頼り甲斐があって…なんでも知ってて…オシャレで…素敵だなぁって…///」
岩「……。」
俺が聞いた時と同じこと言ってる。
臣「俺だって優しいよ!年上だし頼り甲斐もあるし!」
隆「それを自分で言うとこが違うんじゃないw」
臣「はぁ?!」
健「臣ちゃんみたいなグイグイタイプは嫌なんちゃうw」
臣「くっそーーー、なんだよ…。」
臣さんはふてくされたように椅子に仰け反った。
臣「あーあ、直人さん。お願い。一回でいいから貸して。」
直「はぁぁ!?❀❀ちゃんは物じゃねぇんだよ!アホ!」
臣「一回だけヤラせてください、お願いします。」
❀「登坂さん…キライ。」
健「ぶっw」
隆「嫌われてやんのぉ〜〜〜w」
直「❀❀ちゃんは純情なんだから。お前みたいな汚れた男は相応しくない。」
臣「はぁぁ?!」
岩「……。」
直人さんだって変わんないじゃん。
散々遊んでるくせに。
つーかいつまでベタベタしてんだよ。イラつく。
直「❀❀ちゃんは俺が大事に大事に育てますから♡」
健「うわ、なんか言い方がやらしいw」
直「ね、❀❀ちゃん。」
❀「……ハイ///」
岩「……っ」
ああ、ダメだ。
胸がムカムカして、見てらんねぇ。
臣「つーかさ、❀❀ちゃんって岩ちゃん家に居候してんでしょ?それは直人さん的にいいの?」
直「うーん、あんまり良くはないよねー。俺ん家おいでよ、❀❀ちゃん。」
❀「えっ!///」
岩「……っ」
隆「まぁ直人さんと付き合ったんだから、幼馴染の家にいるより彼氏の家に行く方が自然っちゃー自然だよね。」
健「せやんな。」
臣「てか❀❀ちゃんと岩ちゃんってまだ一緒に寝てんの?」
直「まーさかw 別々に寝てるって言うから、俺もとりあえず口出ししてないんだよ。」
え…?
直「俺と付き合ってからは、岩ちゃんはソファーで寝てるんだってさ。」
臣「ああ、そうなんだ。」
岩「……。」
直人さんにそんな嘘ついてんの…?
❀❀の顔をチラッと覗けば、❀❀は明らかに俺から目を逸らした。
直「早く俺ん家おいでー♡ うちはいつでも大歓迎だから♡」
隆「付き合ってすぐに同棲生活ってのも、どうなの。」
直「なんだよ隆二、文句あんのかよw」
隆「そんなん直人さんにあっという間にエロいことされんじゃん。」
臣「やめとけ!❀❀ちゃん!直人さん家はやめとけ!うちに来い!」
直「なんでそこでお前ん家になるんだよ!彼氏は俺だっつーの!w」
健「あははは!w」
岩「……。」
❀❀は…、、うちを出て直人さんの所に行くんだろうか。
昨日は俺とあんなにキスしたくせに…
今は直人さんの彼女ヅラして、直人さんの隣で顔を赤くしてる。
ムカムカする。
嫉妬でおかしくなりそうだ。
直「じゃ、お疲れさまでしたー!」
臣「お疲れっすー。」
直「❀❀ちゃん、また夜電話するね♡」
❀「あ、はい///」
直「じゃ♡」
❀「////」
全員での撮影を終えた後、直人さんは一人で次の仕事に向かった。
最後に嬉しそうに❀❀の頭を優しく撫でて。
臣「ねぇ、もっかい聞くけど…ほんとに直人さんでいいの…?」
隆「臣、しつけぇ!w」
臣「だってさー。」
❀「直人さんが…好きです///」
臣「あの人、鬼畜だよ?❀❀ちゃんバージンなんでしょ?それを直人さんに捧げちゃうわけ?後悔しない?」
岩「……っ」
その言葉を聞いて、想像したくもない画を想像してしまった。
❀「後悔しません…。直人さんがいいです///」
岩「……っ」
……ああ、俺もう…狂いそうだ。
いつの間にこんなに、❀❀のことを好きになってたんだろう。
こんなにも。嫉妬で狂いそうになるほどに。
❀❀が直人さんを好きになってからこんな気持ちに気付いたって、遅かったのに。
❀❀は本当に直人さんに全てを捧げるんだろうか。
直人さんとキスして、直人さんとSEXすんのかよ。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。
そんなの、俺が知ってる❀❀じゃなくなってしまいそうで。
臣「直人さんとする前に俺としとく?優しくするよー?」
隆「お前、何言ってんのw」
臣「気持ち良くしてあげるから。ね?」
❀「嫌です。」
臣「俺としてみたら、俺のこと好きになっちゃうかもよ?」
❀「私は…直人さんがいいです。」
臣「……はぁ、ダメか。……じゃあ、キスの練習だけでもしとく?」
❀「しません。」
健「臣ちゃんほんまにしつこいなぁ!ww」
臣さんはいつまで❀❀に執着する気なのか。
ほんとにしつこくて。
隆二さんと健二郎さんはそれを笑い飛ばしてた。
それから午後は俺もソロの仕事が入ってて、❀❀は俺についてきた。
男「いや〜、❀❀ちゃんがいてくれるとほんと助かるなぁ。正式にうちのスタッフになってくれないかなぁw」
岩「一応あいつ転職活動してるみたいだよ。」
男「え〜〜〜、残念だなぁ。うちに転職してくれればいいのに〜。」
テキパキ動いてる❀❀の背中を見ながら、マネージャーが呟いた。
もし❀❀が俺の付き人を続けてくれるなら、それは嬉しいけど…
7人一緒の仕事の時は、来て欲しくない。
直人さんとのツーショットなんて、見たくない。
男「ちょっと事務所戻って次の準備してくるわ。あとは❀❀ちゃんに任せてあるから。」
岩「わかった。」
一人になった控え室。
ドラマの台本に目を通すけど全然頭に入らない。
❀「ふぅ、終わったー。」
岩「……お疲れ。」
❀❀が控え室に戻ってきて、俺は台本をテーブルに戻した。
❀「帰りはあたしの運転だよ!キーもらっちゃったもんね!」
岩「うん。」
❀❀は少し誇らしげに笑って、俺の隣に座った。
❀「セリフ覚えてたの?」
岩「……。」
❀「……剛典?」
岩「……。」
俺は静かに❀❀の手を取った。
岩「直人さんとのこと、俺は絶対反対だから。」
❀「まだ言ってる…。」
岩「あの人と付き合うなんてやめろ。」
❀「なんで?」
岩「……っ」
❀「なんで反対するの?」
岩「……っ」
だって直人さんは遊び人だから。
❀❀のこと大事にするなんて言ってたけど…信じられない。
……でも。
反対する1番の理由は…、、
俺がお前を好きだから。
❀「ねぇ、なんで?」
岩「……。」
気付くのが遅すぎて…、今更言えるわけもない俺の気持ち。
❀「んん…っ、!///」
言えるわけないから、こんな風にキスするんだ。
❀「……はぁ…、っ……、また…練習してくれるの?///」
岩「……っ」
練習?
ふざけんな。そんなんじゃない。
でも…
もういいや、どんな口実でも。
❀「あっ、…んんっ…、///」
この甘い唇と、キスが出来るなら。
❀「…は、ぁ…っ、んぅ///」
息もさせないほどに、夢中で❀❀の唇を塞いだ。
柔らかな舌を追い求めて、甘く甘く、絡ませ合う…。
❀「剛典…、っ、……くるし…、っ///」
岩「はぁ、っ///」
目を開ければ。
頬を染めて目を潤ませてる❀❀がいて。
その姿にたまらなくグッとくる。
ああ、俺…、ほんとに好きだ。
❀❀が好きなんだ。
❀「直人さん…も…、こんなキス…するの?///」
岩「……ッ」
知るかよ、そんなこと。
聞きたくない、直人さんの名前なんか。
岩「うるせぇよ。」
❀「んん…っ!///」
俺は❀❀の後頭部を抱え込んで、また無理やりに唇を奪った。
岩「……俺とおんなじようにして。」
❀「////」
まだぎこちなく舌を泳がせる❀❀。
もっと溶け合いたくて、優しく誘導するように、❀❀の舌に吸い付いた。
❀「なんか…力…抜けちゃう…よ…///」
岩「いいよ…。」
……ああ、ヤバイ…。
どんどんふにゃふにゃになっていく❀❀がすげぇ可愛い…。
どうしよう///
❀❀を好きな気持ちが俺の中でどんどん昂ぶっていく。
___コンコン。
❀「きゃっ///」
部屋のドアをノックする音が聞こえて、❀❀は慌てたように俺から飛び退いた。
岩「はい。」
女「初めまして、ナナミです/// ご挨拶にお伺いしました!」
岩「ああ、はい。」
とんだ邪魔が入った。
と思いながらも、俺は笑顔を作ってドアを開けた。
女「あ、あの、初めまして!ナナミです!今回初めてご一緒させていただく…、、///」
岩「うん。よろしくね。」
女「////」
俺を見て真っ赤になって固まってるよ、この子。
女「あの、ドラ、ドラマに出るのもっ、初めて…なので、ご、ご、ご迷惑をおかけしてしまうことも…あ、あるかもしれませんが…精一杯頑張りますので、ど、どうぞよろしくお願いいた…いたします!///」
岩「噛みすぎでしょ!w」
女「あ、あの…緊張してしまって…すみ…すみません!///」
岩「今からそんなんでどうすんのw」
女「あの、私…っ、いわ、いわ、岩田さんの大ファンで…っ///」
うん、見ればわかるw
岩「ありがとう。よろしくね。じゃ。」
女「あっ、」
丁寧に頭を下げてドアを閉めると、彼女の残念そうな声が小さく残った。
❀「……すごい…。剛典のこと好きなのダダ漏れだったね…。」
岩「まぁ珍しいことじゃないよ。」
❀「えっ!何その俺はモテます発言!」
岩「いや、別にそうじゃなくて…」
❀「そうじゃん!」
岩「……。」
だってあんなの、いくらでもいるし。
いつものことだし。
❀「はぁ、モテる男はあしらい方まで慣れてるわ。」
岩「だからそんなんじゃねぇって。」
つーか俺はそんな話がしたいんじゃなくて。
岩「さっきの続きする?」
❀「は!?」
岩「キス。」
❀「し、しないし!///」
あ、❀❀も真っ赤になった。
岩「じゃあ続きは帰ったらね。」
❀「は、…は!?///」
コンコン。
男「岩田さん、お願いします。」
岩「はい、今行きます。」
それから俺は読み合わせを終えて。
俺に熱い視線を送ってくるナナミちゃんをスルーして。
❀❀の意外に上手い運転で事務所に戻ってきて、今日1日の仕事を終わらせた。
岩「飯どーする?なんか食って帰る?」
❀「あ、そうする?あたし作ってもいいし。」
岩「今日はお前も仕事したし疲れたっしょ。」
❀「全然平気だけど…、あ、あたしおそば食べたい!」
岩「あ、じゃあいつものとこ行く?w」
❀「うん!♡」
俺たちには行きつけの店がいくつかあって。
今日はその中の蕎麦屋に二人で行くことにした。
岩「マネージャーがうちに就職すればいいのにって言ってたよ。」
❀「え、あたしのこと?」
岩「うん。」
❀「えーー、ありがたい。」
岩「その気ないくせにw」
❀「……。」
❀❀は少し考えた顔でわさびをといてる。
❀「もしもだけど…、ほんとに働かせてもらうってなったら、やっぱり剛典の付き人的な感じなのかな?」
岩「うん。」
❀「……直人さんに…なったりはしない?」
岩「は?なるわけねぇだろ。」
❀「あ、そっか、そうだよね、ごめんごめん!w」
岩「……。」
なんだよそれ。
直人さんの付き人やりたいわけ?
❀「……剛典…、顔が怖いんだけど…。」
岩「ムカついたから。」
❀「何に?なんでムカついたの?」
岩「……。」
そりゃー❀❀は直人さんの彼女なんだから、どうせ付き人やるなら俺より直人さんがいいんだよな。
でも俺は認めてないから。
お前が直人さんの彼女だってことも、お前が直人さんを好きだってことも。
岩「早く別れろ。」
❀「また言ってる!」
岩「ずっと言い続ける。」
❀「なんで?なんで別れて欲しいの?」
岩「……。」
俺がしつこいせいか、今日は何度もなんでなんでって聞かれるな。
岩「もういい。黙って食え。」
❀「はぁ?!」
❀❀はどこか納得いかないような顔でそばを平らげて。
食い終わった俺たちはそのまま真っ直ぐ家に帰ってきた。
岩「……やっぱりお前の飯が食いたかった。」
❀「なんじゃそりゃー!w」
ぼそっと呟いた俺の言葉に、❀❀が笑い出した。
❀「だから作る?って聞いたのに!w」
岩「いや、違うんだって。別にそばも美味しかったんだけどさ。やっぱお前のご飯が一番美味いから。」
❀「なんだよ…嬉しいこと言ってくれるじゃん///」
あ、なんか照れてる。
……可愛いかも。
岩「あのさ、」
❀「さ!お風呂お風呂!///」
……逃げられた。
話の続き、したかったのに。
話の続きっていうか、キスの続き。
❀❀は直人さんを好きだと言いながら、俺とのキスは拒まない。
だったら俺にもまだ望みがあるんじゃないかって。
期待してしまうのは当然で。
……今夜こそハッキリさせよう。
そう決めて、俺は❀❀の後に風呂に入った。
でも風呂から上がると、リビングから話し声が聞こえて。
会話の内容で、直人さんと電話してるんだってすぐにわかった。
ガチャッ。
❀「あ、///」
岩「……。」
❀❀は俺が戻ってきたのに気付いて、俺に背を向けるようにして声を小さくした。
❀「えっと…、あ、はい、そうです///」
……早く切れよ。くそ…っ
❀「えっ、うそ…っ、いや、えっと…、あの///」
なんだよ。
何話してんだよ。
❀「わかり…ました、…はい///」
デートの約束でもしてんのか。
……ああ、イライラする。ダメだ。
❀「じゃあ…、はい。おやすみなさい、直人さん。……大好き…です///」
その言葉を聞いて、身体がカッと熱くなったのがわかった。
岩「何今の…。」
❀「えっ、///」
もじもじと携帯をテーブルに置いた❀❀の手を、俺は思わず掴んだ。
❀「か、彼氏に好きって言って…何が悪いの?///」
岩「……っ」
ダメだ。聞きたくない。
やめてくれ。
❀「直人さんのことが好きだから好きって…、きゃっ///」
俺はそのまま❀❀の手を引いてソファーに押し倒した。
❀「や、剛典…っ、あ…、んっ///」