海の家 〜10年越しの恋〜
第1章 【臣】前半
店)おう!登坂ももうあがっていいぞー
臣)はい!あざっす!
お疲れっした!!
…あれ?
店)どうした?
臣)◇…さんは??
店)ああ、今日入った子かい?
ついさっきあがったよ?
臣)どこ…行ったんだよ…
女)あ、◇ちゃんなら一人で
あっちに歩いて行ったよーー
臣)あ、ほんとですか?
女)なんかね、ちょっと泣いてたっぽい。
臣)え!!な…んで…
女)わかんないけど…
臣)ありがとうございます!!
俺はすぐに追いかけた。
◇…
ずっと会いたかった。
小学校の頃からずっと好きで
離れて会えなくなって
それでもずっと好きだった。
今日俺の目の前に現れた時は
一瞬夢かと思って
信じられなかった。
だって…
まさかこんなところで会えるなんて思ってないし…
あいつ…すげぇキレイになってたし…
びっくりしたのと緊張とで…
思わず目を逸らしちゃったけど…
でも…
ちゃんと話したい。
「あの約束…覚えてる?」
俺のことなんか…もう忘れて
好きな男とかいるんだろうか…
◇……
どこ行ったんだよ…っ
臣)は…ぁ…、は…ぁ…
あっ…!!
いた!!
えっ…!!!!
男3人に絡まれてる?!!
俺は全速力で走った。
臣)おいっっ!!!!
近付くに連れて状況がハッキリした。
臣)◇…ッ!!!!
◇)臣君…っっ!!
こいつら…
◇のこと襲ってやがった。
臣)てめぇらぶっ殺されてぇのか!!!
男)やっべ…行こうぜ。
臣)ふざけんなッ!!!!
男)ほら、早く!!
男)行くぞ!!
俺がぶん殴ろうとすると
男共は慌てて逃げて行った。
臣)は…ぁ…、はぁ…
◇…、大丈夫か!?
◇)ううう…っ…
怖かったよな…震えて泣いてる…
俺はすぐにその身体を抱きしめた。
無事…だよな?
未遂だよな…?
良かった…
死ぬほど焦った…
臣)大丈夫。もう大丈夫だから。
◇)ひっく…、ひっく…
震える肩をさすって
頭を撫でる。
しばらく抱きしめていると
◇はやっと泣き止んだ。
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