二回の商談
二回の商談

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発行者:新菜
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ジャンル:恋愛
シリーズ:オフィスシリーズ

公開開始日:2017/05/12
最終更新日:2017/05/11 22:09

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二回の商談 第1章 【岩】お礼のキス

社「いやいや~~岩田くんの押しに負けたよ、ほんと。あっはっはww」

岩「いえいえ、本当にありがとうございます♡」

❀「……」



私は補佐だから、書類をまとめたり、お手伝いだけなんだけど…

大手の社長さんだから、少し緊張しちゃう。



でも、岩田さんすごいな。

こんなところからも契約取っちゃうなんて。


かっこいい…///



❀「ではこちらにご署名とご捺印、お願いできますでしょうか。」

社「うんうん、ちょっと待ってねぇ…」



バッグの中から手探りで印鑑を取り出して、私を見てニッコリ笑う社長さん。



社「こ~んな可愛い子にお願いされちゃったら、どんな書類でもハンコ押しちゃうよ~あっはっはww」

岩「あははは、では社長、もう一枚用意しますか?」

社「いやいや、岩田くん!うまいねぇ~!ww」

❀「あ、では今すぐ…っ」

岩「いやいや、❀❀さん、冗談だからw」

❀「えっ…///」

社「あははは、可愛いなぁ!w もう一枚はさすがに経理に怒られちゃうなww」

❀「わ、ごめんなさいっ///」



私ってば…

恥ずかしい…///



社「可愛くて素直な子だねぇ…」

岩「それが彼女のイイところなんで。」

社「うちで働かない?w」

❀「えっ!」

岩「社長、それは困りますw」

社「あははははw」



もう…

何が冗談かがわからない…ううう…//



社「君はうちの商品、使ったことあるかね?」

❀「えっ!」



わ、わたし?!


どうしよう…質問されてる!!



❀「えっと…」



うろたえる私の背中に、岩田さんがそっと手を当てて…優しく笑ってくれた。



岩「❀❀さん、確かポーチ使ってたよね?」

❀「えっ…」



どうして…知ってるんだろう、岩田さん。



❀「はい、ポーチ…使ってます…」

社「ほぅ。どうかね、使い心地は。」

❀「えっと…私、買う時にいろんなメーカーのを比べてみたんですけど…、サイズが一番ちょうど良くて…」

社「ふむ。」

❀「ダブルジッパーなのがとても使いやすくて、チャームもとっても可愛いんです!♡」

社「ふむ。」

❀「中の小分けのされ方も実用的で…手に取った時に、これだぁ♡って思って買ったんですけど…、今でもすっごくお気に入りなんです♡」

社「ふむ。」

❀「今度、友人の誕生日にもプレゼントしようと思ってます♡」

社「ふむ、そうか。」

❀「…は…っ」



私ってば、夢中で話しちゃった。



社「うーん、やっぱり岩田くん、もう一枚書こうか。」

岩「えっ!!!」

社「リアルな消費者の声が聞けたし…、こんなに嬉しそうに使ってくれてる女の子がいるなんて…とても嬉しいよ。」

❀「え…っ」

社「君の笑顔に、もう一枚♡」

❀「ええっ…」

岩「いいんですか…?」

社「男に二言はない!」

岩「ありがとうございます!!」

❀「わわっ、ありがとうございます…///」



……嘘みたい///



社「じゃあ岩田くん、よろしく頼んだよ!」

岩「はい!!」

社「私が次また来る時には、また❀❀さんでお願いするよ。」

岩「かしこまりましたw」

❀「ありがとうございますっ//」

社「では、また。」



岩田さんとビルの外までお見送りして…

社長さんはご機嫌で車に乗り込んでいった。



岩「と、いうことで…。また次もよろしくね、❀❀さん。」

❀「えっ!」

岩「社長ご指名だし♡」

❀「…あの…っ//」

岩「❀❀さんのおかげで、契約一本プラスになっちゃったな~♡」

❀「……//」



帰りのエレベーターで、ご機嫌の岩田さん。



❀「あの…」



チュッ♡



❀「?!!!」



突然の感触に、びっくりしてほっぺを押さえると…



岩「お礼♡」



岩田さんはニッコリ笑って、先にエレベーターを降りた。



❀「////」



バクバクバク…


心臓が…



❀「あのっ!」



後ろから慌てて呼び止める。



岩「なぁに?」

❀「商談室の片付けは、私がしておくので…先に戻っててください!//」

岩「え、いいよ。一緒に行くよ。」

❀「私一人で、いいです!//」

岩「……」



二人だと、緊張しちゃうし…



岩「俺、荷物置いてきてるんだよね。」

❀「あ、じゃあそれも私が届けますから!先にオフィスに戻っててください//」

岩「……」



返事をしてくれない岩田さんの横を通り抜けて、足早で商談室に戻る。



キィ、バタン。



さっきまで使ってた資料をまとめていると…



ガチャッ…



❀「…っ」



バタン。



入ってきちゃった、岩田さん。



岩「なに入ってきちゃった、みたいな顔してるの。」

❀「…っ」

岩「傷つくんですけどーー」

❀「えっ、あっ…えっと…」



だって…



ガチャン。



❀「え…っ」



岩田さんが、商談室のドアの鍵をかけた。

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