社「いやいや~~岩田くんの押しに負けたよ、ほんと。あっはっはww」
岩「いえいえ、本当にありがとうございます♡」
❀「……」
私は補佐だから、書類をまとめたり、お手伝いだけなんだけど…
大手の社長さんだから、少し緊張しちゃう。
でも、岩田さんすごいな。
こんなところからも契約取っちゃうなんて。
かっこいい…///
❀「ではこちらにご署名とご捺印、お願いできますでしょうか。」
社「うんうん、ちょっと待ってねぇ…」
バッグの中から手探りで印鑑を取り出して、私を見てニッコリ笑う社長さん。
社「こ~んな可愛い子にお願いされちゃったら、どんな書類でもハンコ押しちゃうよ~あっはっはww」
岩「あははは、では社長、もう一枚用意しますか?」
社「いやいや、岩田くん!うまいねぇ~!ww」
❀「あ、では今すぐ…っ」
岩「いやいや、❀❀さん、冗談だからw」
❀「えっ…///」
社「あははは、可愛いなぁ!w もう一枚はさすがに経理に怒られちゃうなww」
❀「わ、ごめんなさいっ///」
私ってば…
恥ずかしい…///
社「可愛くて素直な子だねぇ…」
岩「それが彼女のイイところなんで。」
社「うちで働かない?w」
❀「えっ!」
岩「社長、それは困りますw」
社「あははははw」
もう…
何が冗談かがわからない…ううう…//
社「君はうちの商品、使ったことあるかね?」
❀「えっ!」
わ、わたし?!
どうしよう…質問されてる!!
❀「えっと…」
うろたえる私の背中に、岩田さんがそっと手を当てて…優しく笑ってくれた。
岩「❀❀さん、確かポーチ使ってたよね?」
❀「えっ…」
どうして…知ってるんだろう、岩田さん。
❀「はい、ポーチ…使ってます…」
社「ほぅ。どうかね、使い心地は。」
❀「えっと…私、買う時にいろんなメーカーのを比べてみたんですけど…、サイズが一番ちょうど良くて…」
社「ふむ。」
❀「ダブルジッパーなのがとても使いやすくて、チャームもとっても可愛いんです!♡」
社「ふむ。」
❀「中の小分けのされ方も実用的で…手に取った時に、これだぁ♡って思って買ったんですけど…、今でもすっごくお気に入りなんです♡」
社「ふむ。」
❀「今度、友人の誕生日にもプレゼントしようと思ってます♡」
社「ふむ、そうか。」
❀「…は…っ」
私ってば、夢中で話しちゃった。
社「うーん、やっぱり岩田くん、もう一枚書こうか。」
岩「えっ!!!」
社「リアルな消費者の声が聞けたし…、こんなに嬉しそうに使ってくれてる女の子がいるなんて…とても嬉しいよ。」
❀「え…っ」
社「君の笑顔に、もう一枚♡」
❀「ええっ…」
岩「いいんですか…?」
社「男に二言はない!」
岩「ありがとうございます!!」
❀「わわっ、ありがとうございます…///」
……嘘みたい///
社「じゃあ岩田くん、よろしく頼んだよ!」
岩「はい!!」
社「私が次また来る時には、また❀❀さんでお願いするよ。」
岩「かしこまりましたw」
❀「ありがとうございますっ//」
社「では、また。」
岩田さんとビルの外までお見送りして…
社長さんはご機嫌で車に乗り込んでいった。
岩「と、いうことで…。また次もよろしくね、❀❀さん。」
❀「えっ!」
岩「社長ご指名だし♡」
❀「…あの…っ//」
岩「❀❀さんのおかげで、契約一本プラスになっちゃったな~♡」
❀「……//」
帰りのエレベーターで、ご機嫌の岩田さん。
❀「あの…」
チュッ♡
❀「?!!!」
突然の感触に、びっくりしてほっぺを押さえると…
岩「お礼♡」
岩田さんはニッコリ笑って、先にエレベーターを降りた。
❀「////」
バクバクバク…
心臓が…
❀「あのっ!」
後ろから慌てて呼び止める。
岩「なぁに?」
❀「商談室の片付けは、私がしておくので…先に戻っててください!//」
岩「え、いいよ。一緒に行くよ。」
❀「私一人で、いいです!//」
岩「……」
二人だと、緊張しちゃうし…
岩「俺、荷物置いてきてるんだよね。」
❀「あ、じゃあそれも私が届けますから!先にオフィスに戻っててください//」
岩「……」
返事をしてくれない岩田さんの横を通り抜けて、足早で商談室に戻る。
キィ、バタン。
さっきまで使ってた資料をまとめていると…
ガチャッ…
❀「…っ」
バタン。
入ってきちゃった、岩田さん。
岩「なに入ってきちゃった、みたいな顔してるの。」
❀「…っ」
岩「傷つくんですけどーー」
❀「えっ、あっ…えっと…」
だって…
ガチャン。
❀「え…っ」
岩田さんが、商談室のドアの鍵をかけた。