夫と結婚したのは四年前の春の事でした。
私より五歳年上の夫は、頼り甲斐のある男らしい感じの人で、
そんな所を私が好きになったはずでした。
ところが結婚生活は私が思い描いていたものとは
まるで違った方向へとすぐに向かっていったのです。
結婚してちょうど一年を迎えた頃、夫の両親が我が家にやって来た日、
私たちの結婚生活は大きく変わりだしたのです。
夫の両親の家をリフォームして、そこに私たち夫婦が暮らす、
それが突然発表された夫の両親と夫の考えた人生設計でした。
夫には姉も一人いて、まだ両親ともに元気だったので両親の面倒などみる必要もなく、
万一そうなったとしても、夫は両親と同居することなどないと
結婚前に私に散々話していたのです。
なので、それはある意味で夫の私に対する裏切りだったのです。
結局、同居に前向きな夫の両親の強行により、
私たち夫婦は夫の実家で生活することになり、
私の結婚生活は二年目を迎えた頃から次第に息の詰まる毎日になっていきました。
夫の両親と同居するようになった頃から、夫は仕事が忙しくなり出し、
家に帰って来る時間も毎晩遅く、夕食を共にすることも、
毎日の何気ない会話を交わす機会も、そして夫婦生活もめっきりなくなっていったのです。
専業主婦でまだ子供のいない私は、夫よりも夫の両親と過ごす時間が多くなり、
だんだん心もそして体も満たされなくなっていきました。
そうして、そんな生活が一年近く続いた結婚三年目の頃でした。
私の人生は転機を迎えることになったのです。
それは予期せぬ出来事からはじまりました。
夫の両親と暮らす家の隣はしばらく空き家だったのですが、
そこに私たち夫婦よりも少し年上の御夫婦の家族が引越してきたのです。
どこにでもいるようなごく普通の家族は、50代の夫婦と高校生の男の子の三人家族でした。
我が家に家族で挨拶に来た姿を見た時には、
この家族が私の退屈な毎日を刺激的にしてくれるとは、まるで思ってもいませんでした。
私は毎朝、姑に頼まれて家の前を掃き掃除をしていました。
するとちょうどその頃に、隣に引越してきた家族の
御主人や高校生の男の子が家を出ていく時間で、
私は毎朝彼らと挨拶をするようになっていったのです。
そうして一カ月が過ぎようとしていた頃、
会社員の御主人や高校生の男の子の私を見る目が
少しづつ変わっていくのを何となく感じていたのです。
単なるご近所さんとしてではなく、もっと別の視点から見られているような感覚、
特に高校生の男の子は露骨な視線を私の全身に向けてきたのです。
それは、男の子のなにかを妄想しているような
ギラギラした視線にほかなりませんでした。