MaraSon Part2
第10章 7
二人には「ごゆっくり」と、シャワーを浴びさせた。大樹君のことだから、父親の性器なんかも洗ってあげようとしてるかもね。あと、彼自身のお尻の中も、父親の前できれいにしなきゃいけない。そんな光景を見たり撮ったりはしてみたいが、僕が見ていたんじゃ同じ状況は訪れない。隠しカメラでも仕込んでおけばよかったかな。
二人が元通り服を着て(温もっているからセーターは着ていない)、僕が待つリビングに戻ってきた。僕の向かいに二人並び、また正座だ。かしこまられるのも困るし、あと正座だとただでさえでかいこの父親の威圧感がすごいんだよな。
「二人とも足、崩して下さい」
今度はすぐに、父親はあぐらに、大樹君は足を伸ばしてこたつに足を入れて、楽にしてくれた。
「二人ともお疲れ様でした」
僕が笑顔で頭を下げると、二人とも同時に、小さく頭を下げた。大樹君には相当な疲労があるだろうが、目つきや表情から、気力は戻っているように見えた。父親も行為の前みたいな真っ暗な顔はしていない。
「まずはお父さん、これをお納め下さい」
僕はこたつの上に封筒を滑らせ、父親に渡した。父親はおずおず、それを受け取り、中を覗き、僕の目を困惑したように見た。
「ちゃんと出して、数えて下さい」
二十万円。ATMから出てきた札は、全ては新札ではなかったがまあ、きれいな方だった。父親はそれを数え、なおそれを受け取りがたく、また返しがたく、困っているようだった。
「きちんと受け取ってもらわないと困ります。それからこれ」
僕は今度は一枚の紙切れとボールペンを、父親の方に滑らせる。
僕宛の領収書。金廿萬円確かに受領しました。名目は「肖像権使用料として」だ。
「そこにサインを」
71
NIGHT
LOUNGE5060