夫の知らない妻の秘密
第6章 引き寄せられていく三人
翌朝いつものように
家の前を掃除していると、
隣の家からスーツ姿の御主人が
まず出てきて、
「おはようございます」
と挨拶をしながら通り過ぎていきました。
昨夜の出来事のせいで、
私はまともに彼の顔を見て
挨拶することができず、
通り過ぎていった後もまだ
体の中に熱が漂っていたのです。
あんなにも恥ずかしい姿を
見られてしまった相手が
すぐ隣に住んでいて、
毎朝顔を合わせなければいけないなんて。
そう考えるだけで
何とも言えない気持ちになったのです。
それでもそれは決して辛いものではなく、
むしろ刺激的な悦びだったのです。
しばらくすると隣の家から
高校生の男の子が出てきました。
今度は思い切って
彼の方を向いて顔を見ながら
「おはよう」
と作り笑顔を浮かべながら
挨拶をしたのです。
高校生の彼は、
そんな私の事を
どこか見下すような笑みを浮かべながら、
「おはようございます」と挨拶をすると、
また私のことを
じろじろと見つめながら
学校へと向かうのでした。
早朝のほんの一瞬の出来事でしたが、
私にとってはもう一日の大半が
過ぎたような気にさせられました。
義父母との同居生活、
夫とのすれ違いの毎日の中で
失いかけていた心の潤いが、
隣の家に住む親子によって
だんだん湧きあがってくるのを感じました。
きっと、隣の御主人も高校生の息子も、
今頃自分のことを考えているに違いないわ。
昨夜のことを何度も思い出して、
妄想に耽っているかもしれない。
そう考えるだけで、
私はなぜか興奮してしまうのでした。
それから毎晩のように、
私は隣の家の御主人と息子が
覗いていることを知りながら、
自分がこれまで抑えてきた感情を
解放したのです。
自分でも自分がどうしてしまったのか
分からないくらいに乱れ、
あられもない姿を晒しました。
そして、その翌朝には
清楚な人妻といった趣で
家の前を履き掃除して、
通り過ぎる彼らに
「おはようございます」と
作り笑顔を浮かべながら挨拶するのでした。
そうした日々が
二カ月近く過ぎた頃でした。
休日に突然、
隣の家の夫婦が
我が家に訪問してきたのです。
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